友引にお葬式はできない?してはいけないって本当?葬儀と友引について
更新:2023.02.17
「友引に葬儀はできない」「友引に葬儀を行うのは避けたほうがいい」
本当なのか気になってインターネットで調べても「避けた方がいい」「避ける必要はない」どちらの内容も散見されます。
実際はどうなのだろう、お困りの方も多いのではないでしょうか。
これらの異なる意見は、地域性や宗派の違いから生まれています。
この記事ではどこにお住まいの方がご覧になっても納得いただけるように、葬儀と友引の関係性についてわかりやすく解説させていただき、お悩みを解決したいと思います。
友引に葬儀をしてはいけないという風習の由来
友引はもともと「共引き」という字が使われ、仏滅、大安、赤口、先勝、先負、共引きの6つの暦のことを言います。
中国から始まった占いの一種で、六曜と言います。
勝つ、負ける、滅、などの字から連想できるように、戦を行う前に自軍にとって良い日取りを占っていたのです。
共引きは、共に引き分け、勝ち負けなしという意味です。
この六曜が鎌倉時代に日本にも伝わり、戦国時代でも使われ、江戸時代に入って庶民の間でも流行したそうです。
何かを行おうとする時、縁起を担ぐというのはこの頃から日本人の当たり前の風習になっていったのです。
「共引き」がいつしか「友引」の字に変化し、葬儀においては「友引に葬儀は行わない」という風習が定着していきました。
理由は「友を引く」という字から「友をあの世に連れていく」「近い人が道連れにされてしまう」と連想され、縁起が悪いとなったのです。
しかし本来、六曜と葬儀は全く関係ありません、六曜と仏教も全く関係ありません。
それにも関わらず風習として残っているのは、縁起を担ぐ事を好む日本人の性格から起因しているものと思われます。
結論 友引に葬儀をしても構わない、しかし考慮すべき点がある
このように友引は、仏教や葬儀と本来は無関係なことから、結論として「友引にお葬式をしても構わない」が正解です。
但し、お葬式をしても構わないのですが、風習を気にして友引を避ける方が多いのは事実ですし、火葬場が休日のため、そもそも葬儀を行いたくても行えないという地域もあります。
友引に関する認識は人それぞれで、例えば「友引の日は火葬場が休み」という認識が幼少期から当たり前で育った方が、友引の日に葬儀を行うのを目の当たりにすると大変驚かれます。
風習を気にして友引は避けた方が良いというご親族がいらっしゃる場合、友引に葬儀を行えば、後で何か言われてしまう要因にもなりかねません。
筆者の住む広島県では、友引の日も通常通り火葬場は営業しています。
「友引を気にする必要はない」とおっしゃるお寺様も広島県には多くいらっしゃいます。
お寺様がおっしゃるなら・・とその場が収まる場面をこれまで何度も見てきました。
このように友引に対する考え方や葬儀のあり方は、地域によっても全く異なるのです。
いずれにしても様々な地域から親族が集まる葬儀の場です、参列の皆様が納得する形で行われることが最良な方法だと思います。
友引と葬儀の関係性を正しく理解しよう
正しい認識
■友引に葬儀をしてもよい
友引の日に葬儀を行なっても良いが、周囲の理解があって進めることが大切。
自分だけが気にしないと思っていても、周囲が気にしている場合、温度差が生じて葬儀自体が上手くいかない可能性がある。
■友引は火葬場が休みのため、葬儀ができない地域もある
友引でも火葬場が営業している地域があれば、休みの地域もあります。
事前に確認が必要です。
火葬場は土日関係なく年中稼働しているため、友引を職員の休日にすることや、設備メンテナンスの日にする所もあります。
■友引に葬儀をしてもよいが、避ける方は多い。
友引を気にする必要はないとされる浄土真宗の門徒が多い広島県でも、友引を避ける方は一定数いらっしゃいます。
結婚式を大安の日に行うのと同様、理由の大半は験担ぎです。
■友引に葬儀をする地域もある
広島県では先述したように友引も火葬場は営業しています。
そのため通常通り葬儀も行われています。
例えば日曜日の友引に葬儀を済ませる、友引を避けて月曜日に葬儀を行う。
どちらが家族にとって最良か、このような選択を迫られた時、風習に捉われるよりも家族の日程的都合を優先することもあります。
誤った認識
■友引に葬儀をしてはいけない×
してはいけないと禁止されているわけではなく、縁起が悪いと敬遠する方が多い。
■友引に葬儀はできない×
「友引の日は、火葬場が休み」
このような地域では友引の日に葬儀はできません。
しかし友引の日でも火葬場が営業している地域もあり、その場合、葬儀は可能です。
友引に葬儀を行うかどうかを決める上で大切なこと
葬儀の大半が家族葬で行われている今の時代、ご家族の都合、親族の都合というのは大切な部分になります。
そのご親族が全員同じ県に在住しているということは、極めて稀ではないかと思われます。
あちこちに散らばって生活しており、年代も職業もさまざまでしょう。
「孫の○○君が受験だから、○日までには戻りたい」
「○日から大切な出張があるから、○日までには自宅へ戻りたい」
色々な事情を抱える中で、その時を迎えます。
お亡くなりになられた方が、「みんな今日は来てくれてありがとう」
そう思っていただけるように日程を調整することが大切で、最後に顔を見てお別れをしたいと思っている親族の方がいらっしゃるならば、その方の到着を待つのも大切です。
その日程調整の中で友引が登場してくるわけですが、友引に関しては葬儀を行う地域で葬儀が行える地域なのか、行えない地域なのかが異なります。
その地域の事情を理解した上で、家族、親族が納得する形で進めていくことが望まれます。
後から親族に何か言われてしまうのは避けたいという方は、最初から友引は避ける方向で進めていくのも一つでしょう。
「友引を避けるために長女が葬儀に間に合わなかった」というのも本末転倒でしょう。
ご家族だけで判断するのではなく、経験豊富な葬儀社にアドバイスを受けながら進めていくのが最良です。
この記事を書いた人
廣田 篤 広島自宅葬儀社 代表
葬儀業界23年、広島自宅葬儀社代表。厚生労働省認定技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。前職大手葬儀社では担当者として 1500 件、責任者として1万件以上の葬儀に携わる。実母の在宅介護をきっかけに広島自宅葬儀社を立ち上げて現在に至る。広島市内だけでなく瀬戸内海に浮かぶ島々から、山間部の世羅町、神石高原町まで広島県内あらゆる地域の葬儀事情に精通する広島の葬儀のプロ。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。