納骨堂とは?種類や費用、相場はどのくらい?わかりやすく解説します
更新:2022.11.18
近年、とくに都市部で納骨堂の人気が高まりつつあります。
納骨堂とは屋内にたくさんの納骨スペースを設けた建物で、個別のスペースが小さい分、一般的なお墓よりも費用が抑えられます。
但し、幾つか注意点があり、正しい予備知識を持つことは大切です。
この記事ではどんな種類があるのか、それぞれの費用相場についても分かりやすく解説させていただきます。
納骨堂とは
納骨堂とは、たくさんの骨壺が収容されている建物のことです。
一つの大きなお墓にたくさんの骨壺が入っているイメージから、一般的なお墓が「一軒家」なら納骨堂は「マンション」だ、という例え話もあります。
メリットは、一般的なお墓よりも安い費用で済むこと、雨が降っても傘を差さずにお参りできること、草むしりや墓石清掃などの手間が省けることです。
後々のことを考えた時に子ども達に迷惑をかけたくないと生前から自分達のために契約する方も増えています。
また、都市部では駅の近くに設けられることが多いため、アクセスの良さもメリットの一つといえるでしょう。
東京のような都市部で一般的なお墓を求めようとすると、交通の便が良いところほど値段が高くなります。
300万円を超えてしまうようなことも珍しくありません。
このように交通の便が良好にもかかわらず、値段が比較的安価であるため、年々注目を集めています。
また、近年ではこの他にもさまざまな埋葬方法が登場しています。
さらに安価な方法もありますので、興味のある方は下記の記事も合わせてご覧ください。
納骨堂の種類と費用相場
種類は、主に以下の5つです。
それぞれの特徴と費用相場を詳しく解説します。
機械搬送型
参拝室の機械にICカードをかざすと、建物の内部から骨壺が自動的に搬送されてくるタイプの納骨堂です。
参拝室にはお花や電子線香が用意されており、手ぶらでお墓参りができます。
最新式であり、待ち合わせロビーや施設内カフェなど設備の整ったところが多いため、今、最も注目度が高く人気があります。
お値段は平均して一人用なら50万~100万円、夫婦2人用なら80万円~150万円ほどです。
納骨されてからの管理費は、年間1万~2万円です。
機械のメンテナンス等が必要なので、納骨堂そのものの費用も、管理費も、他のタイプよりも高い傾向があります。
ロッカー型
コインロッカーのような個別スペースがズラリと並んでいる納骨堂です。
ロッカー内に骨壺や故人ゆかりの品を預け、カギをかけて管理します。
お供え物やお花などは、個別スペースで管理できる範囲内であれば許可されているところが多いでしょう。
このタイプは、お墓ができるまでの間、仮に安置する場所として長く使われてきました。
よって寂しいイメージを持っている人もいらっしゃるかもしれません。
しかし最近では、ロッカーの表面に美しい桜の装飾が施されていたり、きらびやかな蓮の花がデザインされていたりといった、厳かながら明るいイメージのタイプが増えています。
お値段は平均して、1つのロッカーにつき20万~50万円ほどです。
複数の骨壺を安置したい場合、1つのロッカーに骨壺が納まりきらないのであれば、もう一つを契約することになります。
家族で使える大きめのロッカーを設けているところもあります。
年間管理費は、5千円~1万円です。
仏壇型
個別のスペースが、小さな仏壇になっている納骨堂です。
仏壇の中にはご本尊が安置され、骨壺や位牌が置けるようになっています。
小さなお鈴、供物台など、お参りに必要なものが一式用意されているところもあります。
お値段は平均して、50万~120万円ほどで、仏壇の大きさによって値段が違ってきます。
仏壇が大きければ、複数の骨壺を安置できます。
家族で使える大きな仏壇を設けているタイプも存在します。
年間管理費は1万円ほどです。
墓石型
建物の中に、やや小さめの墓石がズラリと並んでいる納骨堂です。
屋内墓地といってもいいでしょう。
墓石の下に骨壺を納めることができ、一般的なお墓と同じようにお墓参りができます。
墓石型は数が多いわけではないため、価格の相場はありません。
ただ、納骨堂といっても墓石によるお墓を建てるわけですから、ロッカー型や仏壇型より値段もやや高めです。
100万円を超えるとみていいでしょう。
合祀型
大きな一つのお墓にたくさんの人の遺骨を納めることを、合祀(ごうし)といいます。
納骨堂の中に設けられた大きなスペースに、契約者の遺骨を納骨するのが、合祀型です。個別のスペースはありません。
お墓参りをする人は、大きな合祀墓の前に立ち、祈りを捧げることになります。
多くの場合、骨壺から遺骨を取り出して合祀されるため、後から遺骨を個別に取り出すことはできません。
合祀型なので個別のスペースを設けないため、納骨堂の中で最も安価になります。
お値段は平均して10万~30万円で、年間管理費は必要ありません。
永代供養つきの納骨堂が流行している
納骨堂の費用は、永代供養がついているかどうかによっても、大きく変わります。
永代供養とは、お墓の承継者の代わりに、霊園の管理者が供養や管理を担ってくれるシステムのことです。
霊園の管理業者やお寺が、お墓周りの清掃をしてくれたり、合同供養をしてくれたりするので、承継者はお墓参りやお墓掃除をする必要がありません。
年間管理費もいりません。
承継者がいなくても成り立つお墓なので、お墓の跡継ぎに悩む人から人気があります。
納骨堂の中にも、永代供養がついているものがあります。
10年、20年といった契約年数を設けて個別スペースを使い、契約年数が過ぎたら合祀型納骨堂へ遺骨を移動するのです。
契約年数分の年間管理費を一括して最初に支払ってしまえば、お墓の承継者は何もする必要がありません。
お金のことも、管理のことも考えることなく、参拝に専念できます。
下記で詳しく紹介していますので、興味のある方は合わせてこちらもご覧ください。
納骨堂を選ぶときには、別途費用に注意しよう
納骨堂の料金は、個別スペースの利用料だけにとどまりません。
各種費用について、しっかり確認してから契約しましょう。
例えば永代供養つきの場合、契約年数分の管理費を一括して支払うため、当然ながら合計費用は高くなります。
使用料が50万円、年間管理費が1万円、合祀費用が10万円の納骨堂を20年契約した場合、支払う料金は80万円ほどになります。
「50万円だと思って契約したのに、30万円も高くなった」と驚いてしまうかもしれません。
他にも様々なことで費用がかかる可能性があります。
納骨堂を選ぶときには以下に注意しましょう。
永代供養を希望した場合、別途料金が必要なことも
所定の契約年数分の管理費が、あらかじめ利用料に含まれている場合もあります。
永代供養つきの場合、合祀のための別途費用が必要なことも
合祀費用があらかじめ利用料に含まれていることもありますし、そうでないこともあります。必ず確認しましょう。
納骨のタイミング(納骨式)で費用が発生することも
1人分の遺骨を納骨するごとに納骨式が行われ、儀式のための費用が必要な場合もあります。
プレートへの彫刻で費用が発生することも
ロッカーや仏壇、機械搬送の際に使われる骨壺を安置した厨子などにプレートを設け、「○○家」などと彫刻する場合があります。
このとき、彫刻料金が新たに発生することがあります。
ICカードを追加で作る場合の費用はどうなるの?
機械搬送型納骨堂では、お墓参りのためのICカードが配られます。
兄弟姉妹別々にカードを持ちたいなどの場合、2枚目のカードを作るための追加料金はいくらなのかを確認しましょう。
ホームページなどで詳しく確認するほか、とくに気になる点は電話や現地の見学で、霊園スタッフに尋ねてみるのがおすすめです。
自分と家族に合うものを
ご紹介したとおり、納骨堂には様々なタイプがあり、お値段もそれぞれ違います。
また、1人用か2人用か、はたまた家族用なのか、永代供養を希望するのかなどによっても、支出が大きく変わってきます。
購入する際は家族に必ず希望を確認し、自分も家族もしっかり納得できる形を見つけましょう。
この記事を書いた人
廣田 篤 広島自宅葬儀社 代表
葬儀業界23年、広島自宅葬儀社代表。厚生労働省認定技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。前職大手葬儀社では担当者として 1500 件、責任者として1万件以上の葬儀に携わる。実母の在宅介護をきっかけに広島自宅葬儀社を立ち上げて現在に至る。広島市内だけでなく瀬戸内海に浮かぶ島々から、山間部の世羅町、神石高原町まで広島県内あらゆる地域の葬儀事情に精通する広島の葬儀のプロ。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。