納骨はいつまでに行う?適切な時期や法要のマナーについて解説
更新:2022.06.02
お葬式が終わると、遺骨が残ります。
遺骨をお墓に埋葬することを納骨といい、納骨式が行われます。
納骨をいつまでに行うのが良いか、またふさわしい時期はいつかを考えていると、迷ってしまう人もいることでしょう。
この記事では、納骨時期や納骨式のマナーについて解説させていただきます。
目次
納骨はいつまでに「やらなければならない」というものではない
まず、納骨は絶対に「しなければならない」ものではありません。
「お墓に納骨してしまうなんて寂しい。いつまでも遺骨を家に置いておきたい」「なかなかお墓を買うことができない」という事情がある人もいるかもしれません。
その場合は、いつまでも自宅で供養していいのです。
よって、「納骨はいつまでにしなければならない」といった期限はありません。
遺骨を自宅で供養していて問題になるのは、自宅の庭などにお墓をつくり、遺骨を土の下へ埋めてしまうようなケースです。
墓地として認められた場所以外に遺骨を埋めることは、法律で禁じられています。
一方で、自宅の仏壇に骨壺を安置したり、祈りのスペースをつくって骨壺を祀ったりすることは法律違反ではなく、「手元供養」という供養方法として確立されています。
ただし、年配者のなかには、「ずっと遺骨を家に置いておくと、成仏できないのでは」と心配する人もいらっしゃいます。
また、骨壺を安置する場所がなく放置されていたり、何年も置かれて埃をかぶってしまったりしては、適切に供養されているとはいえません。
やはり一般的には、お墓に納骨するのが一番安心といえるでしょう。
納骨は絶対に行わないといけないものではない、そして期限もない。
この2つを踏まえつつ、納骨に適した時期について解説します。
納骨に適した時期1:四十九日法要に合わせる
納骨に適した時期として一般的に知られているのは、四十九日法要の日です。
亡くなってから四十九日目は、それまで霊となって浄土への旅を続けていた故人の魂が浄土へ到着し、仏になる日であるとされています。
よって四十九日法要は重要視され、納骨式をはじめ、仏壇に魂を入れる日としてもふさわしいとされているのです。
またこの日は、葬儀後初めて親族が集まります。
後日、改めて納骨式を行うとなると、親族をまた集めなければなりません。
こういった事情もあり、四十九日法要の日に納骨も済ませる人が多いのです。
納骨に適した時期2:葬儀の当日
お葬式当日に納骨を済ませる地方は、東北を中心に多く見られます。
「四十九日まで待っていると雪で墓地が埋まってしまうから」「儀式の最後に墓地へ行って埋葬をする土葬時代の名残」など、風習の由来はさまざまです。
お葬式当日に納骨を済ませれば、葬儀後に納骨のことで頭を悩ますこともありません。
「そのうち納骨をしなければ」などと考えることもありません。
また、無宗教葬などの理由で後の法要を行わない場合は、納骨式のためだけに親族を集めることもなくなり効率的です。
ただ、葬儀当日に納骨まで行うとなると、タイムスケジュール上の管理が少し大変になります。
日没してからでは、暗くて納骨が行えないためです。
午前中に葬儀を行うことがおすすめです。
葬儀社としっかり打ち合わせをし、霊園管理者にも事前に伝えておくことが大事です。
納骨に適した時期3:一周忌法要に合わせる
四十九日までにお墓を建てることができない人や、「どうにも寂しくて、もう少しだけでも遺骨を家に置いておきたい」と考える人は、一周忌に合わせてはいかがでしょうか。
一周忌も、四十九日と同様にたくさんの親族が集まります。
同時に納骨式も済ませられればスムーズです。
一周忌法要と同時に納骨をする際は、親族への周知が不可欠です。
とくに年配者など、これまでに法要へ参加する機会が多かった人は、「一周忌は、法要と会食が終われば解散」という心づもりで参加する場合があるため、案内状には「当日は納骨式も行います」と明記する必要があります。
法要をする場所とお墓が離れている場合には、移動時間のために「予定の電車に乗り遅れた」という人が出ないよう、しっかり通知しましょう。
納骨に適した時期4:家族の都合が良い時期に、いつでも
法要の日、葬儀の日が晴天とは限りません。
しかし、土砂降りの中で納骨するのは困難です。
日にちを選べない法要や葬儀に合わせると、納骨だけ延期を余儀なくされることも大いにあり得ます。
改めて親族を集めるのは、金銭的にも身体的にも負担が大きすぎると感じるときは「今日はあいにくの雨で納骨ができませんから、後日、家族だけで納骨式を行います」と親族たちに伝えると良いでしょう。
法要後、1週間ほどをめどに納骨だけを行い、親族には電話などで「本日、無事納骨を済ませました」と報告します。
納骨式のマナー
納骨時期を決めたら、納骨式のマナーについても確認しましょう。
法要と同時に納骨をする際はとくに、納骨の準備を忘れてしまいがちです。
時系列でご案内させていただきます。
1.日程については菩提寺と相談する
納骨式の日程は、菩提寺と相談して決めましょう。
希望日を3つほど提案するのが丁寧です。
皆が休暇を取って集まりやすい土日は、お寺にとっては法事を承ることが多い日です。
ときには他の家の方と重なることもあります。
希望日が決まれば、その日に実施できるように早めにお寺へ伝えることをおすすめします。
2.移動手段を整えておく
お寺で法要を行った後、裏の寺院墓地に納骨し、貸切りバスで会食場所へ移動するといった段取りならスムーズですが、法要をする場所からお墓までが遠い場合もあるでしょう。
法要をする場所からお墓まで、またお墓から会食をする場所までの移動手段を整えておきましょう。
3.日程が決まったら霊園管理者に連絡
納骨の日程を霊園の管理者に連絡しておきましょう。
骨壺を納めるカロートが重くて開けづらい場合は、指定石材店に立ち会ってもらいます。
4.前日までにお墓掃除をしておく
とくに葬儀と同日に納骨する場合は、お墓掃除をうっかり忘れがち。
担当を決めておくとよいでしょう。
5.前日までにお墓参り用の供物などを準備しておく
線香、ロウソク、マッチ類、花束一対、果物やお菓子などの供物を用意します。
6.服装は葬儀や法要に準じる
納骨式の服装は、もし葬儀や法要と同時に行うのであれば、喪服となります。
納骨式だけを独立して行う場合は、動きやすく地味目な平服でも構いません。
服装については親族にも伝えましょう。
7.お布施は個別に用意する
葬儀や法要と同時に納骨式をする場合でも、お布施は個別に用意しましょう。
お布施専用の袋、あるいは不祝儀袋に「御布施」と表書きし、その右肩に「納骨法要」と小さく書き入れます。
手元供養という選択肢もある
前述したように、遺骨はいつまでも手元に置いて供養することが可能です。
手元供養を選ぶ場合は、遺骨を手元供養用の骨壺に納め直したり、小さな仏具やリンを骨壺の周りに置いて祈りのスペースをつくったりするのがおすすめ。
手厚く供養していれば、誰も「家に遺骨をずっと置いておくなんて」とは言えなくなります。
また、手元供養であれば「納骨もして、家でも遺骨を供養する」という選択が可能になります。
骨壺から少しだけ遺灰を取り出し、小さな骨壺などに納めて自宅で供養するのです。
この方法であれば、故人はお墓でご先祖様と一緒に眠ることも、生前のように愛する家族とともにいることもできます。
迷ったら、手元供養という方法もあることを、ぜひ知っておいてください。
納骨をいつまでにやるか迷ったら、お寺や親族に相談しよう
以上のように、時期について明確な決まりはありません。
もしもいつまでにやるか迷った場合は、お寺や親族の年長者などに意見を伺うのも一つです。
そして、最終的には家族みんなで話し合い、施主が判断するのが理想です。
この記事を書いた人
奥山 晶子
葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。