お葬式は何日後がいい?亡くなった日から葬儀までの理想的なスケジュール
更新:2024.05.17
人が亡くなってお葬式をしなければならなくなったとき、「何日後に行うのがいいのだろう?」と疑問に思う人も多いでしょう。
お葬式は亡くなってから2日間~1週間で行われるのが一般的ですが、最近では通夜を省略したり、お葬式自体を行わなかったりといった選択をする人も増えてきました。
理想的なお葬式のスケジュールについて解説します。
目次
一般的には、お葬式は何日後に行われる?
お葬式が行われるのは、一般的に何日後に行われるのかという質問に対する答えは非常に難しい問題で、正しい回答は地域によって異なると筆者は考えます。
全国的に当てはまる一般回答であれば、葬儀は亡くなった日の翌日~亡くなった日から1週間の間で行われる、これが模範回答でしょう。
しかし実際には、筆者の住む広島県では亡くなった日の翌日、もしくは翌々日でほとんどの葬儀が行われています。
1週間後に葬儀を行う方はいらっしゃらないので、広島県民は先ほどの回答に違和感を感じます。
一方で横浜市に住む方の場合、亡くなった日の翌日に葬儀を行うというのは、まず斎場の予約が取れないため、あり得ないこと、違和感を感じるでしょう。
このように地域によって葬儀の一般的スケジュールは、かなり異なるのです。
本来、お葬式の前にはお通夜があり、また日本には亡くなってから24時間以内に火葬をしてはいけないという法律があることから、最低でも1日は日をまたぐことになります。
つまり最低2日間必要です。
このように最短でスケジュールを組むとすれば、朝に亡くなってその日にお通夜を行い、翌日お葬式と火葬を行うという日程が可能ですが、亡くなってから2日間で全てを済ませてしまう人は、全国的には少数派になります。
参列する側が間に合わないなどの都合を考慮する場合、斎場の空き状況を考慮する場合など様々な要因から亡くなった翌日〜亡くなった日から1週間の間で行われることが多くなっています。
あなたの地域の慣例はどうなのか、年配の親族、あるいはお住まいの地域の方々や葬儀社スタッフに聞いてみることをおすすめします。
以前は遺体の傷むのを恐れ、なるべく早くお葬式をするのが一般的でしたが、最近は遺体保全技術が進んだことから一週間ほど余裕を持つことも珍しくなくなりました。
亡くなってからお葬式までの流れ
亡くなってからお葬式までは、いくつかの儀式があります。
ここでスケジュールを含めた基本の流れをご紹介しておきましょう。
安置(1日目)
亡くなったら、病院などの霊安室から自宅や安置のための施設へ故人を移動させます。
儀式までの間、故人は安置場所でお休みいただきます。
菩提寺がある場合は、安置場所にご住職が訪れ、枕経(亡くなったときあげるお経)を行うことがあります。
訃報(1日目~2日目)
お葬式のスケジュールが決まったら、参列対象者に訃報を出します。
納棺(1日目~6日目)
納棺は故人を棺に納める儀式です。
故人の手足などを拭き清め、着替えをさせて、最後の身支度を行います。
通常、お通夜の前に主な親族を集めて行いますが、亡くなってからお通夜まで日が空く場合は、前もって納棺を済ませることもあります。
お通夜(1日目~6日目)
お葬式の前日にお通夜を行います。午後5時~7時の間に始まることが多いでしょう。
お通夜では、僧侶がお経をあげるなどの宗教儀式があり、その後に通夜振る舞い(会食)が行われます。
お葬式(2日目~7日目)
火葬の前にお葬式を済ませる地域では、お葬式が午前中に行われることが多いでしょう。
午前10時、11時など、開式時間は出棺の時刻から逆算して決められます。
お葬式よりも火葬が先に行われる地域では、午前中に火葬、午後に葬儀となるケースが大半です。
出棺、火葬(2日目~7日目)
お葬式の後、棺の蓋を開けてお別れの時間があり、定刻になったら出棺となります。
一般参列者は霊柩車を式場の玄関前で見送り、近親者だけが火葬場までついていきます。
火葬の所要時間は1時間から2時間です。
火葬後、あるいは火葬の間に「精進落とし」と呼ばれる会食が行われます。
火葬場の空き状況や僧侶の予定と付き合わせてスケジュールが決まる
お葬式のスケジュールは、喪主の意向だけで決まるわけではありません。
お葬式の日程は、次の4つの要素により決定します。
遺族、親族の都合
最も大事なのが遺族や親族の都合です。
近親者に遠方から訪れる人がいる場合、その人が到着する日程に合わせなければなりません。
とくに海外から駆けつける人がいるなら、お通夜やお葬式に間に合うよう余裕を持った日程を組む必要があります。
参列者が訪れやすいようにと、土日のお葬式を希望する遺族もいます。
火葬場の空き状況
お葬式の日程は、火葬の時間から逆算して決められます。
火葬が午後1時からなら葬儀は午前11時からという具合に、儀式が滞りなく進むよう葬儀社が調整します。
つまり、希望の時間帯に火葬場が空いていなければ、また別の日程を考える必要があります。
宗教者の都合
僧侶や神主、神父・牧師など、儀式を司る宗教者の都合とすりあわせなければなりません。
このため、スケジュールの打ち合わせには必ず宗教者が同席します。
同席できない場合は、本決まりになる前に電話などで相談します。
式場の空き状況
希望する式場がある場合は、式場の空き状況も考慮しなければなりません。
風習によりお葬式をしない日がある
多くの地域では、友引にはお葬式をしないという風習があります。
友引とは、大安や仏滅と同じ「六曜」の仲間で、日本人は古くから「結婚式は大安に行い、仏滅は避ける」など、六曜で日取りの吉凶をうらなってきました。
弔事において、友引は「友を引く」と読めるため、友引にお葬式をすると不幸が続くという言い伝えがあり、友引のお葬式が避けられてきました。
このことから、友引を休日としている火葬場もあります。
最近では言い伝えを気にせず、友引でもお葬式をするケースは少なくありません。
また、日本仏教の中でも浄土真宗は「言い伝えに惑わされない」という考えのため、友引でもこだわりなくお葬式をします。
ただ、火葬場がお休みなら、お葬式はできません。
お葬式のスケジュールを考えるときは、とくに友引の日に気をつけましょう。
また、「4」は「死」につながることから、亡くなって4日目には葬儀をしない風習のある地域があります。
お葬式をする地域の風習を確認しながら打ち合わせを進めるのが大事です。
お通夜をしない、そもそもお葬式をやらないという選択肢もある
お葬式は2日後から1週間後に行うのが一般的ですが、それはお葬式の前にお通夜があることや、お葬式自体を行うことを前提としています。
最近では近親者以外の参列者がいないなどの事情から、お通夜を省略したり、そもそもお葬式をやらないという選択肢をとったりする人もいます。
お通夜をしない場合のスケジュール
お通夜を行わず、お葬式だけを行うケースは「一日葬」や「ワンデーセレモニー」と呼ばれています。
参列者が近親者しかおらず、お通夜とお葬式の顔ぶれが同じ場合などに選ばれます。
儀式が1日で済むため、遺族の経済的負担や、参列者の身体的負担が軽減されます。
お通夜をしない場合は、亡くなってから24時間以内は火葬をしないという決まりさえ守れば、最短でご逝去の翌日にお葬式が可能です。
ただ、最短日程では火葬場や式場の予約が取りづらかったり、近親者がお葬式に間に合わなかったりする可能性があるため注意しましょう。
お通夜もお葬式もしない場合のスケジュール
お通夜もお葬式もしないケースは「直葬(ちょくそう)」と呼ばれ、火葬だけを行うことになります。
遺族だけなど参列者が極端に少なく、経済的負担を最小限にしたい場合に選ばれます。
亡くなってから24時間以内は火葬をしないという決まりさえ守れば、最短で翌日に直葬(火葬)が可能です。
最後、僧侶にお経だけでもあげてもらいたいと願う場合は、出棺前に短いお経をあげる「炉前読経」ができる葬儀社を選びましょう。
遺族、僧侶、宗教者の三者で最も良い日にちを決めよう
以上、お葬式は亡くなってから何日後に行うかについて解説しました。
お通夜とお葬式を行うスタンダードな日程にするのか、それとも一日葬や直葬を選ぶのかを含め、親族間でよく話し合って希望を決めましょう。
遺族としての希望が固まった上で、葬儀社や宗教者とやりとりし、火葬場の予約状況を見ながら最終的にスケジュールを決めるのがおすすめです。
この記事を書いた人
廣田 篤 広島自宅葬儀社 代表
葬儀業界23年、広島自宅葬儀社代表。厚生労働省認定技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。前職大手葬儀社では担当者として 1500 件、責任者として1万件以上の葬儀に携わる。実母の在宅介護をきっかけに広島自宅葬儀社を立ち上げて現在に至る。広島市内だけでなく瀬戸内海に浮かぶ島々から、山間部の世羅町、神石高原町まで広島県内あらゆる地域の葬儀事情に精通する広島の葬儀のプロ。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。