お葬式・葬儀に花を贈りたい!種類・相場・名札の書き方を解説
更新:2022.07.07
葬儀へ参列すると、会場内には多くの花に溢れて、華やかに彩られています。
これから葬儀に花を贈る際に、どのような花をどこで購入して、名札はどう書けば良いかわからない方もいらっしゃるのでは?
そこで今回は、近々、葬儀へ花を贈る方へ、花の種類と購入先、金額相場と名札の書き方、手配方法と注意点も合わせて解説していきます。
葬儀に贈る供花の意味と目的
「供花(きょうか・くげ)」とは、故人の霊を慰めるという意味があり、大切な家族を亡くされたご遺族への弔意を表すために葬儀場へ飾る花のことです。
例えば、日本では毎年4月8日はお釈迦様の誕生日として、全国各地で「花まつり」が行われます。昔から日本人は「花」で気持ちを表す風習があるのです。
葬儀においては、花や草木の植物は再生する生命の象徴として、死者へ花を手向けられるようになりました。
気持ちを捧げる目的の他にも、例えば樒などの植物は腐敗を防ぎ、臭いを軽減するため、実用的な意味で捧げられることもありました。
現在における「供花」は、葬儀場に集う全員が「共感の花」として、故人を失った悲しみを共有するためのツールになっています。
私は20年以上、葬儀業界に携わっている中で、ご遺族様が思いがけない方からお花が届いて、感動して涙する場面を見てまいりました。
このように、葬儀における供花は現代においても意義ある葬儀の風習だといえるでしょう。
どういう場合に供花を送るの?
葬儀へ弔意を表す方法としては、一般的に「香典」での場面が挙げられます。
ただし、香典と供花のどちらかを選択するのではなく、供花はあくまでも香典にプラスアルファで行なうものです。
では、ここからは供花を送る方に共通する事例を見ていきましょう。
事例1
・故人または遺族と親しい間柄(個人、法人)
・香典以外にも弔意を表したい
事例2
・遠方に住んでて葬儀へ参列出来ない
・香典を郵便書留で送るのも間に合わない
・弔意を何かで形にして葬儀へ参加したい
事例3
・香典とは別で弔意を形にして表したい人
・複数人でお金を出し合い供花を出すケース
事例4
・供花を出す団体( 町内会やライオンズクラブや各種企業、団体に所属している方が亡くなった場合)
供花の手配方法
Q.供花を手配するには?
A. 供花を手配する方法は3つの方法があります。
①.葬儀社へ電話して手配を依頼する(ネット注文できる場合もあり)
②.実店舗の花屋・花キューピッドに手配する
③.ネットショップに手配する
②実店舗の花屋、③ネットショップの場合は自分で決める手間と時間がかかりますので、「①葬儀社で手配する」とスムーズです。
実際に、葬儀社以外で手配されるのは5%にも満たず、多くのケースでは、ほとんどが葬儀社へ電話で手配されているのが現状です。
お気に入りの花屋がある方や葬儀社の花の金額に不満がある場合は葬儀社に依頼するのを躊躇しがちですが、見た目が浮いてしまう事があるので要注意。
注文する花屋が違えば、商品の花が異なるのは当然ですから、葬儀場に並ぶ供花の中で、見た目が異なるため目立ってしまうリスクがあります。
「自分の好きな花を送りたい」というお気持ちは分かりますが、ご自身のお気持ちだけでは決断されないこともマナーです。
意図して葬儀場で目立つ目的なのであれば結構なのですが、意図せずに自分の知らない所で葬儀場で目立ってしまったとなる事は避けないといけません。
例えば、日本人には作法があり、席順、座る位置、エレベーターの中でも車に乗る時でも上座と下座があります。
それと同様に、社会的地位の高い方、自身の先輩、上司、恩師、得意先がどんな種類の供花を出しているのか、把握しておく必要があります。
葬儀社に手配をすれば、バランスを取って用意してもらえますが、一般的な花屋の場合は当日にならないと分からないため、リスクがあるのです。
葬儀社に依頼すれば、それぞれの花に配慮ができますので、葬儀社にお任せすると安心です。
葬儀社に依頼する方法
葬儀場へ「供花を注文したい」と電話をします。
葬儀社に電話をお勧めする理由
理由1
葬儀によっては遺族の意思により、供花のお供えを希望されないこともあるので、事前に電話で確認することをおすすめします。
理由2
宗派や葬儀形態で予め供花が決まっている場合がありますので、事前に確認することをおすすめします。
理由3
具体的な価格を聞く事ができ、他の方々がどんな供花を出されてるのか分かりますので、ご自身の手配の際の参考になります。
理由4
いつ頃に葬儀場へ設置されるか目安の時間も教えてもらえるので安心です。
理由5
ネット注文は、スタッフが気付くまでの時間ロスが発生する可能性があるので、電話注文のほうが設置までの時間が短縮されます。
いつまでに手配したらいいの?
お通夜の日の12時までに注文するとほぼ間違いなく通夜式に間に合います。ただし、通夜式に間に合うかどうか、葬儀場により異なる場合もありますので直接問い合わせてみましょう。
葬儀場で供花を作成してる葬儀社と葬儀場とは別の場所で供花を作成してる葬儀社があります。別の場所で作成している葬儀社の場合は、作成後の移送時間が必要になり、葬儀社によって若干の違いが生まれるのです。
例えば、お通夜の日の午後5時に注文した場合は、通夜式には間に合わず、翌日の葬儀・告別式には設置される形になります。
「葬儀・告別式にとにかく間に合えばいい」という方の場合は、通夜式が終わっての夜間に注文すれば、翌日の葬儀・告別式へ設置は可能となります。
まとめると…
▽通夜・葬儀の共に供花を設置して欲しい場合
通夜の日の12時までに注文する
▽葬儀の日だけ設置でも構わない場合
通夜の日の終日夜間でも注文OK
宗教ごとの花の種類について
宗教によりお供えする花の種類が異なる場合があります。
仏式の花について
昔から葬儀では白菊が中心ですが、近年は洋花も使用されており、使用NGの花は特にありません。
白菊を多めにして、白菊と洋花を半分の割合で混ぜ合わせるケースが多いです。
元々は古来より日本では葬儀で「樒(しきみ)」を悪霊から死者を守る目的や邪気払いの意味で使っていました。
明治時代に入り、海外からの文化も入るようになり、菊が定着しました。フランスの葬儀文化の影響ともいわれています。
この他にも菊が定着した理由には「邪気払い」「皇室の紋章や国花が菊だから格調が高い」「花の香りがお香に似ている」など様々な諸説があります。
菊全般の花言葉は「高貴」「高潔」「高尚」で、白菊は「真実」と葬儀にはあまり関係はありませんが、仏教と花は深い関係があるのです。
花は自然の中で厳しい環境にも耐え、美しく咲き続けます。その姿が修行に耐え悟りを開く仏教の教えとも通ずる部分があり、仏教ではお供えの花を仏花と呼び大切にされてきました。現在、お寺の本堂や自宅の仏壇、お墓にも花がお供えされてると思いますが、あれが仏花です。
いずれにしろ残された方々が故人の冥福を祈り弔うためにお供えする花が、日本の象徴的な花である菊なのは、日本の文化にも合ってるといえます。
神式の花について
神道では「死を穢れ」と考え、葬儀では不幸が起きた非日常を祓い清め、元の日常の世界に戻すという意味があります。
神道は日本古来からの日本の宗教ですので、基本的には仏教と同様になりますが、仏教よりも「白」が好まれ、白い菊、蘭、百合などが一般的です。
葬儀社では供花については仏式の場合と同じ扱いをされています。
キリスト教式の花について
キリスト教の場合、菊ではなく洋花が使用されます。聖母マリアを象徴とするユリや、白のカーネーションが主に使われます。仏式の葬儀で行う焼香の代わりにキリスト教では献花をしますが、その際もカーネーションがよく登場します。
教会によって供花の考え方が異なるため、葬儀にどんな供花を扱うかどうかも変わってきます。
キリスト教では、供花は故人ではなく、遺族を慰めるためのものとされ、葬儀場の中には不要と判断される場合もあります。
故人の周りには多くの洋花で華やかに飾られていますが、供花は必要とされていません。
また、名札は立てずに、葬儀場入り口などに誰が供花を出したのかがわかる一覧をボードへ掲示(芳名板)することもあります。
飾り付けと供花は故人の好きだった花や色で埋めつくしたり、教会によって大きく変わるため、まずは葬儀社へ尋ねてみてください。
創価学会の場合
創価学会の場合は基本的に樒を使います。樒は古代から香木とされ、葉はずっと散らないので「永遠の生命」を表しています。
ご遺族によって、樒のみを希望される場合と、生花でも問題ない場合がありますので、供花について事前に確認が必要です。
供花の金額相場について
供花の金額相場はスタンド花1基で10,000円〜30,000円です。
関東は1基が多く、西日本では、左右に1基づつ置く1対が一般的です。
金額相場は関東の1基の金額と西日本の1対の金額に大差はありません。
西日本の1対は一見多く見えますが、花自体が関東に比べて小さいため、花の量はどちらも同じなのです。
葬儀社へ注文の際は「ここの地域では1対と1基はどちらが一般的ですか」と確認することをお勧めします。
その理由は、1対が当たり前の地域である事を知らずに、1基で注文した場合、葬儀場には自身の供花だけが1基だったというケースも実際にあるのです。その場合、一つだけ浮いてしまい、恥ずかしい思いをされるでしょう。
基本的に供花を出す場合に花の金額が4種類あれば、一番下の価格を選べば良いです。それではあまりにも・・という方は、下から2番目を選びましょう。葬儀社に周囲の価格帯を尋ねておくと、カドが立つ心配が無くなります。
ポイント
- この地域では1対と1基はどちらが主流なのか葬儀社へ尋ねる
- 価格が複数あれば、下の価格を選べば間違いはない
- 周囲の価格帯の供花を尋ねておく
樒はどの宗派でも大切で、仏壇に飾ることや葬儀の際に導師がお勤めする場所にもあるのですが、創価学会の場合は葬儀によって供花の種類が異なります。
ご遺族によって、樒のみを希望される場合と生花でも問題ない場合がありますので、事前に確認しておくことが大切です。
供花の名札の書き方
法人で贈る場合
法人で会社として供花を送る場合は、会社名を正式表記で書き、代表者の名前を入れましょう。
悪い例 ○△□○(株)
良い例 ○△□○株式会社 代表取締役○○ ○○
実際は、5件に1件は悪い例で注文が届きます。その場合、葬儀社が先方へ電話確認をした後、修正して手配します。(必ず葬儀社から確認の電話があります。)
会社で出す場合の事例
見本1.○△□○株式会社 第二営業部 部長 ○○○○
解説 部長の名前を代表して記載。この場合、部長だけが送った供花とはならず、第一営業部が送った意味になります。部長の名前は代表で記載されます。
見本2.○△□○株式会社 第二営業部 部長 ○○○○ 他社員一同
解説 上記の見本1と意味合いは同じですが、社員一同を入れることで、部長だけが送った花ではないと万人に理解を得られる工夫をします。デメリットは文字が小さくなることです。
見本3.○△□○株式会社 第二営業部 有志一同
解説 見本1、見本2と殆ど同様の意味合いです。部長が名前を出す事に遠慮をされた、または部長以外の現場で送った場合が考えられます。
基本的に会社の代表者が送ると、名札には社長の名前のみ記載されますが、「その会社の全社員」の意味も含まれています。
代表者が出せば、その他の関連部署は出さなくても非礼にあたりませんが、どの部署も出す必要はないということです。
実際、供花が多いほど葬儀場は華やかになるので、各部署ごとに贈ったり、全国各地の支社・支店から贈られる場合もあります。
個人で供花を送る場合
個人で供花を送る場合は肩書きは含めず、お名前のみ記載しましょう。肩書きを含めれば個人的な供花ではなくなり、社会的な意味合いを持ってきます。
連名で供花を送る場合
連名の場合は、多すぎると文字が小さすぎて見えづらくなるので、最大4名までにしましょう。
5名以上で供花を送る場合は下記の例を参考にして出すと良いでしょう。
「友人一同」
「○○同好会 有志一同」
「○○高等学校サッカー部 同級生一同」など
親族の夫婦、兄弟、孫が連名で供花を送る場合
事例1.夫の鈴木一二様と妻の鈴木三子様が夫婦で花を送りたい
「鈴木一二」の名札でも夫婦揃っての意味になりますが、「鈴木一二、鈴木三子」と連名でも構いません。妻の名前も記載したい場合は連名にしましょう。
見本1.「鈴木一二」
見本2.「鈴木一二、鈴木三子」
悪い例×「鈴木一二、三子」
たとえ同じ苗字であっても略さず、名札はフルネームが基本です。
事例2.「川本一郎」「川本二郎」故人の兄弟が供花を送りたい
見本1.「川本一郎、川本二郎」 2人の連名で一つの供花を出す
見本2.「川本一郎」「川本二郎」 それぞれが別々に供花を出す
見本3.「兄弟一同」 2人で名前は出さずに兄弟一同として供花を出す
見本2.はそれぞれが送りますので花は2つになります。
供花を増やしたい場合は2つに、増やしすぎても…という場合は一つにするといった具合です。
事例3.孫で供花を送りたい
この場合は「孫一同」とし、連名にする場合はフルネームで記載しましょう。
見本1.「山田一郎、山田二郎、山田花子、山田海子」
悪い例×「山田一郎、二郎、花子、海子」
幼児であっても、なるべく葬儀の場合は略さず記載してください。注文時に葬儀社のスタッフがフルネームへ修正することもあります。
ポイント
- 夫婦の場合は、夫の名前だけでも夫と妻が送った意味合いを持つ
- 個人でも法人でも連名でも、略さず正式名称できちんと記載する
- 連名で記載する場合は4名まで
- 会社の出す供花は代表者の名前で記載
- 代表者の名前だけの記載でも全社員で送ったことになる
供花の支払い方法
供花の支払い方法は主に3つあります。
① 通夜、葬儀へ参列する際に葬儀場で支払う
葬儀場へ窓口がありますので尋ねてみてください。連名で注文の場合、領収書を複数枚に分けることも可能です。
② 後日、銀行振り込みで支払う
法人の場合、会社ごとに締め日の関係もあると思います。1ヶ月を目安に考慮してくれる葬儀社は多いですから、確認をしてみましょう。供花の注文用紙へ振り込み予定日を記載するといいです。
③ クレジットカード決済
こちらは対応している葬儀社とそうでない葬儀社がありますので、確認してみましょう。
この記事を書いた人
廣田 篤 広島自宅葬儀社 代表
葬儀業界23年、広島自宅葬儀社代表。厚生労働省認定技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。前職大手葬儀社では担当者として 1500 件、責任者として1万件以上の葬儀に携わる。実母の在宅介護をきっかけに広島自宅葬儀社を立ち上げて現在に至る。広島市内だけでなく瀬戸内海に浮かぶ島々から、山間部の世羅町、神石高原町まで広島県内あらゆる地域の葬儀事情に精通する広島の葬儀のプロ。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。