葬儀社の選び方、良い葬儀社は人によって異なる理由とポイントを解説
更新:2022.07.27
一生に一度のお葬式だから、その時を迎えることになれば、自分も周囲も納得した形で終えたいものです。
そこで大切になってくるのが葬儀社選び、こんなはずじゃなかったとならないために慎重に選びたいけれど、どうやって選んだらいいかわからない。
そんな方にこの記事では、正しい葬儀社の選び方について解説させていただきます。
実はあなたが葬儀に何を一番求めるかによって、おすすめの葬儀社は異なります。
ご自身がどのタイプに当てはまるのか、考えながら読み進めていただければと思います。
目次
葬儀社選びを失敗した時に起こるリスク
最初に葬儀社選びを失敗した時に起こり得るリスクについて知っておきましょう。
実際にお願いすると、相談した時に聞いていた内容と違った
事前に相談した時に聞いていた内容と実施にお願いした時の内容が違ったというトラブルがあります。
これは全国対応と、TVCMでよく流れている葬儀社などでよくある事例ですが、相談を受け付けた業者と実際に葬儀を行う業者が異なる場合に起こりやすくなります。
「○○様はそうおっしゃるが、弊社はそのようなことは聞いていない。本部へ聞いてください。」と責任逃れをされると困ります。
書面だけでなく、事前に細かいところまで電話でしっかり聞いておくことも大切ですし、
相談相手と葬儀のお世話をしてくれる相手が同一であること、これが最も有効な対策です。
プランの範囲でできると思っていたのに実際は高かった
事前にこのくらいの価格で収まるだろうと見当していた金額よりも、実際の葬儀代が高かったという事例もあります。
プランというのは葬儀社が各自で決めた内容になりますから、一般の方がプランを見ただけで内容を見極めるのは困難です。
プラン以外に別途かかる費用はあるのか、それは必ず必要なものなのか、選択できるものなのかを聞いておくことが大切です。
そして葬儀が起こってからではなく、事前に見積もりをいただいておくことが最も有効な対策です。
考えていたよりも豪華で高額な葬儀になってしまった
派手にせず身内だけで家族葬を考えていたが、立派な祭壇で豪華な葬儀になってしまい、思っていたよりも高額な葬儀になってしまったという事例もあります。
おそらく家族葬=祭壇が小さい=安価というイメージだったのでしょう。
家族葬を希望しているのに、空いている式場が少し大きめな式場しか空いていなかったという場合によく起こります。
「今晩通夜を行いたいなら、ここしか空いていません。仕方ないでしょう。」というのが葬儀社の言い分でしょう。
未然に防ぐには、式場が空いていない場合、どんな対策を取っていただけるかというのを事前に聞いておくことが大切です。
葬儀社に何を一番に求めるかは人によって違う
お葬式に何を一番求めるのかは人によって異なります。
一般的に良い葬儀社というのは「費用」と「人」で安心できる葬儀社と言われますが、確かにとても大切な要素に変わりないのですが、この二つで全てのニーズをまかなえるわけではありません。
例えば、どんなに安心価格でスタッフのサービスが良い葬儀社だったとしても、葬儀料理の内容が不満で残念だったと感じるご遺族もいらっしゃいます。
この場合、未然に防ぐには葬儀社によって、どんな葬儀料理を提供してくれるのか、事前に把握しておくことが、葬儀社選びの要素として求められます。
他にも例えば宿泊設備が気になる方もいらっしゃるでしょう。
宿泊設備が気になる方は、泊まれる人数も重要な要素になってくるはずです。
このように人によって求めるニーズはさまざまなので、良い葬儀社も人によって異なるのです。
葬儀社選びに失敗=悪徳業者を選んでしまったではない
これから葬儀を検討する方へ知っていただきたいことがあります。
それは葬儀社の中に悪徳業者は、ほぼいないということです。
業界には、大切なご家族を亡くしたご遺族のためにと頑張る心優しい方々が多く、人の不幸を商売にしか考えていない葬儀社は限りなく少ないはずです。
昔はいたのかもしれませんが、そのような葬儀社は現代では生き残れません。
悪徳業者に当たらないようにと心配している方は、ご安心ください。
現代の葬儀社選びの失敗というのは、悪徳業者を選んだという失敗ではなく、思い描いていた葬儀が出来なかったという失敗です。
「葬儀社選びに失敗した」となってしまう原因
悪徳業者はいないなら、なぜ葬儀社選びが大切なのか。
なぜ失敗したという声があるのか。
原因は主に二つあります。
葬儀社との間で認識のずれがあるため、失敗する
遺族と葬儀社の間で認識のずれがある。
主に葬儀社の配慮が不足していることが原因です。
これはホームページ、チラシ、パンフレット、接客、全てにおいて言えることで、説明不足、言葉足らずが引き起こします。
お客様にとって自社がどう映っているかという視点を持ち、不足している箇所を自覚して、接客時に補足で説明を付け足すなどの工夫が本来必要です。
葬儀社が得意なことと遺族のニーズが一致していないから失敗する
もう一つは、葬儀社が得意にしていることと、ご遺族が葬儀社に求めることが一致していない場合です。
葬儀社もいろいろな形態があり、それによって得意分野が異なります。
それは一般の方には分かりづらいものです。
後で他の葬儀社にすれば良かったとならないために、次項では葬儀社の種類について解説します。
葬儀社の種類
葬儀社は主に下記の4つに分かれます
専門葬儀社
地元で葬祭業を営む葬儀社です。
自前で葬儀会館をいくつか所有している葬儀社、自前で会員制度を整えている葬儀社、家族葬を専門にしている葬儀社など、業態や規模の大小はありますが、葬祭業を専門にしている
点は同じです。
特徴は自社のスタッフでご逝去〜葬儀終了、その後のアフターサービスまでを行なっている点です。
また、地域に根付いているので、その地域の風習を熟知しています。
冠婚葬祭互助会
結婚式、葬儀という人生の二大イベントがいつ訪れてもいいように、備えとして月々の積み立てを行なっていただく会員制度を取っているのが冠婚葬祭互助会です。
会員向けに立派な結婚式場や葬儀場を整え、他の葬儀社に比べて施設が豪華である場合が多い印象です。
会員になるとその施設を安価に利用できるのがメリットです。
母体が結婚式、葬儀を運営していることから、葬儀というものに考えが固執することがないため、柔軟にいち早く新しいことを取り入れる土壌があるのが特徴です。
ですから専門葬儀社に比べてサービスが劣るのかと言えば、そんなことはありません。
オプションの別料金にはなりますが、互助会系だけのオリジナルサービスも数多くあります。
JA農協
JA農協の葬儀部門がJA葬祭です。
各地域に葬儀会館があり、地元の方々に利用されています。
華やかさ、豪華さは互助会系などに劣りますが、必要十分な設備は揃っています。
葬儀に長けた専門職員も常駐していますが、葬儀を本職としていない方が働いている場合、夜間搬送対応は別の業者へ外注委託する施設もあるため、葬祭スタッフの質は、施設によって差がある印象です。
JAというブランドにより、高額な請求をされることはないだろうという安心感があります。
ネット系葬儀社
ネット系葬儀社は、TVCMがよく流れている「小さなお葬式」「よりそうのお葬式」「イオンのお葬式」などが当てはまります。
実際は依頼を受けた葬儀を地元の空いている葬儀社へ委託する仲介業なため、本来葬儀社ではありません。
葬儀が発生した時に、どの業者がお手伝いしてくれるのかは、その時にならないとわからないのが難点ですが、わかりやすい低価格な葬儀を売りにしています。
全国対応で、全国どこの地域にお住まいの方でも同一料金で葬儀が行えるのが特徴です。
あなたはどのタイプ?おすすめ葬儀社をご紹介
ここでは葬儀社に求める条件別におすすめの葬儀社とその理由をご紹介したいと思います。
安い料金で葬儀をしてくれる葬儀社
安い料金で葬儀をしてくれる葬儀社をお探しの方に一番おすすめなのは、
地元の専門葬儀社です。
ネット系の葬儀社よりも安い葬儀社は、探せばあなたの地元にもあるはずなので調べてみましょう。
「いくら安くてもサービスが悪ければ困る」という方も専門葬儀社がおすすめです。
なぜならご逝去〜葬儀終了までをプロの専門葬儀社が行なってくれるため、価格が安いだけでなく、サービスが悪いと感じるリスクも減らすことができます。
但し注意点もあります。
安い葬儀社をお求めの方は、「いくら安くてもこれでは困る」となることを防がなければなりません。
安いから棺が簡素、霊柩車が簡素なのを許容できるのか、それでは困るのか、自問自答してみましょう。
許せない場合は、あなたの理想は安さだけではなく、安くても質の良い葬儀社と言えます。
地元の専門業者を2〜3社ピックアップして、価格だけでなく内容も伺い、品質を比較検討してみると良いでしょう。
初めてで不安だから安心して任せられる葬儀社
初めてだか不安、安心して任せられる葬儀社をお探しの方は、最初から最後まで担当者が変わらないこと、そして豊富な知識や経験がある葬儀社が最良です。
ずっと同じスタッフがそばにいてくれると自分達の事情や考えもよく分かってくれるので安心です。
そして何を聞いても分かりやすく教えてくれる、何度聞いても嫌な顔をせずに答えてくれる存在は心強いはずです。
おすすめは、専門葬儀社と互助会系、JA農協の中で、最初から最後まで担当者が変わらない葬儀社はどこかを探してみましょう。
これはホームページやパンフレットには記載していな場合も多く、実際に尋ねてみる必要があります。
気をつけたいことは、この人は安心できると心を許した場合、書面を交わすなどの契約ごとが疎かになることがあります。
その結果、見積もりの詳細をきちんと把握していなかったため、思ったよりも高かったという結果にもなりやすいのです。
ですから信頼できる相手だったとしても、きちんと内容を確認して契約しましょう。
家族や故人の思いを形にしてくれる葬儀社
ご家族や故人の思いを葬儀にしっかり反映してくれる葬儀社をお探しの方は、マニュアル通りに進まない、臨機応変な対応のできる葬儀社、あるいはそういうスタッフを抱えている葬儀社と言えます。
おすすめなのは専門葬儀社、互助会系です。
流れ作業ではなく、故人のお見送りのお手伝いに対して、やり甲斐や使命感を持ち、ご遺族に寄り添えるだけでなく、さまざまな発想力も求められます。
ここは本職を揃えている専門葬儀社と互助会系が長けていて、中でもそれを形にするアイテムが豊富なのは互助会系です。
気を付けることは、思いを形にしてくれる葬儀社をお探しの場合、肝になるのはお世話をしてくれる「人」です。
最初から最後まで人が変わらないのは絶対条件です。
思いを実現してくれそうな「人」を探すために、事前相談へ2〜3社尋ねてみることをおすすめします。
葬儀における葬儀担当者の重要性は、下記の記事でも紹介しています。
よかったら合わせてご覧ください。
旅立つ前の故人をしっかり整えてくれる葬儀社
旅立つ前の故人の身なりや顔や表情をしっかり整えてくれる葬儀社を優先する場合は、エンバーミングを行なっている葬儀社がおすすめです。
交通事故死や事情があってお亡くなりになった場合、そのままの姿では故人の尊厳が守られない場合があります。
このような時に、お悩みを解決してくれるのがエンバーミングです。
通常、費用は10万円〜15万円かかりますが、ご生前同様の姿に戻すだけでなく、お体の修復作業も可能です。
人によっては費用対効果を疑問視する方もいらっしゃいますが、しっかり整えてあげたい希望を持つご家族にとって、エンバーミングに勝る解決方法はありません。
好きな衣服に着替えることや化粧だけでなく、頬をふっくらさせること、髪を染めることもできます。
但し、エンバーミングが行える葬儀社は限られていますので、探してみる必要があります。
その点だけ注意しましょう。
また、衣服の着替えと簡単な化粧だけで構わないという方は、湯灌でも良いでしょう。
湯灌であれば多くの葬儀社が取り扱っているので、選択肢は広がります。
一般参列者が多く予想され、しっかりとした対応をしてくれる葬儀社
会社関係者や取引先の方などが多く参列することが予想され、その方々に対してしっかりとした対応をしてくれる葬儀社を優先したい方は、大手の専門葬儀社、大手の互助会系が望ましいです。
300名〜1500名の社葬など大きな葬儀を行った過去の実績を比較検討するのも良いでしょう。
過去の実績が参考になる理由は、まずノウハウがあります。
そしてスタッフも全て自社社員で用意できるため、スタッフ間の連携もスムーズです。
大は小を兼ねると言いますが、参列者対応にも当てはまります。
大きな葬儀に慣れている葬儀社は、どんな規模の葬儀にも規模に応じた対応をしてくれるものです。
葬儀社をいつ選ぶ?
葬儀社をいつ選ぶのか、タイミングもいくつかあります。
ご逝去となった後、搬送前に葬儀社を選ぶ
病院や老人ホームなどでご逝去となった場合、故人を自宅あるいは葬儀場までの搬送を依頼する必要があります。
その際に葬儀社を選ぶことになる場合もあります。
ご逝去となった後、搬送後に葬儀社を選ぶ
一方で自宅へ一旦搬送を依頼して、その後にゆっくり葬儀社を選ぶという形もあります。
ここで数社からの見積もりを提示してもらい、家族で話し合ってから葬儀社を選ぶという方もいらっしゃいます。
ご逝去前に、あらかじめ葬儀社を選ぶ
多くの方は、もしもの時に備えてあらかじめ葬儀社を選んでいらっしゃいます。
タイミングは人それぞれですが、医師からの説明で猶予があまりないと悟った時がタイミングになる方は多いです。
ご逝去後に検討するよりも時間的余裕がありますので、ゆっくり考える時間が持てます。
慌てて選ぶよりも可能であれば、ご逝去前に吟味して選んでおくことをおすすめします。
広島県の方であれば、弊社も事前相談を無料で24時間365日行なっています。
ご興味のある方は、ご遠慮なくいつでもご相談ください。
ご相談方法などの詳細は、下記で詳しく紹介していますので、よかったら合わせてご覧ください。
最後に
葬儀社にも特徴があることをご理解いただけたと思います。
そして葬儀をご検討中のご家族にも、それぞれの事情から葬儀への希望があります。
日本人の多くは、単純な値段の比較だけでは商品を選びません。
価格だけの比較では決められないからこそ、葬儀においては、どこの葬儀社がいいのか悩まれるのだろうと思っています。
「こんなことになるとは・・」と後で後悔しないためにも、万が一の時にどんな葬儀を行うつもりなのか、ご家族で話し合っておくことが大切です。
参列範囲や予算など自分達の希望、優先順位を確認した上で、葬儀社選びをすすめてみてください。
あなたにとって最良の葬儀社に出会えることをお祈りしています。
この記事を書いた人
廣田 篤 広島自宅葬儀社 代表
葬儀業界23年、広島自宅葬儀社代表。厚生労働省認定技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。前職大手葬儀社では担当者として 1500 件、責任者として1万件以上の葬儀に携わる。実母の在宅介護をきっかけに広島自宅葬儀社を立ち上げて現在に至る。広島市内だけでなく瀬戸内海に浮かぶ島々から、山間部の世羅町、神石高原町まで広島県内あらゆる地域の葬儀事情に精通する広島の葬儀のプロ。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。