葬儀費用は故人の貯金から出してもいい?相続放棄の場合についても解説

更新:2024.07.12

葬儀費用には100万円、200万円といったまとまった金額がかかることが少なくありません。

この葬儀費用は、誰が負担するべきなのでしょうか。

「故人の貯金から出すべき」

「喪主が全て負担すべき」などさまざまな考え方がありますが、葬儀費用を故人の貯金から出すことは可能です。

葬儀費用を故人の貯金から出すときの方法や、相続放棄をしたいと考えているときの注意点を解説します。

葬儀にはいくらかかる?誰が支払う?

葬儀の費用は、規模が大きければ高くなり、小さければ安くなる傾向にあります。

親族だけでなく会社関係や友人などたくさんの人が集まる一般葬では、葬儀費用は200万円以上かかるケースが多いでしょう。

参列者を親族などの近親者に絞る家族葬であれば、100万円以内で収まるケースがたくさんあります。

ただ、たくさん人が集まれば、たくさんの香典が集まります。

親族ではない一般参列者の香典相場は5,000円なので、100人の会葬者がいれば50万円が集まることになります。

つまり葬儀の負担金は、実際に葬儀社へ支払う金額ではなく、支払金額から香典で得た金額を引いた額です。

この葬儀費用を葬儀社に支払うのは、喪主や施主といった葬儀の代表者です。

しかし、実際に負担するのは誰であっても構いません。故人でも、喪主でも、喪主の兄弟が出し合っても良いものです。

故人の貯金から出せる葬儀費用の範囲

故人の貯金から葬儀費用を出す場合、相続税を申告する必要がある人は、可能な範囲が決められています。

以下のようなものが、遺産から差し引ける葬儀費用として認められています。

【遺産総額から差し引ける葬儀費用】

・葬式、火葬、納骨にかかった費用

・密葬と本葬というように、葬儀を2回行ったときはその両方の費用

・遺体や遺骨の搬送にかかった費用

・お通夜など、葬式の前後に生じた費用で通常葬式に欠かせない費用

・お布施など宗教者への謝礼

以下の費用は、遺産から葬儀費用としては差し引けません。

【遺産総額から差し引けない葬儀費用】

・香典返しの費用

・本人が亡くなってから購入した墓石、墓地の費用

・初七日、法事などのための費用

参考:No.4129 相続財産から控除できる葬式費用

相続税がかかるかどうか詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

人が亡くなると本人の口座はすぐ凍結されてしまう?

銀行口座が凍結するイメージ

故人の銀行口座は、銀行が故人の死を知ると、遺産相続の詳細が決まるまで凍結されます。

もし故人が一家の大黒柱だった場合、故人の口座が凍結されて使えなくなると、葬儀費用はおろか当分の生活費も引き出せず困ってしまう家族もいることでしょう。

ただ、例えば「夫が亡くなったものの、夫の通帳は妻が管理していたため、死後しばらくは何の問題もなく引き出せる」という状況はよく生じます。

銀行は、多くの場合、遺族などから申し出がなければ故人の死を知ることはないためです。

故人の貯金を引き出す行為は問題がないわけではありません。

本来であれば、故人の財産は相続が決定するまで手つかずにしておくべきだからです。

致し方ない事情で引き出さなければならないときは、トラブルに発展しないよう他の相続人にも了承を得、また何にどれだけお金を使ったのか把握できる領収証などを保管しておきましょう。

葬儀費用を故人の貯金から出す方法①立て替え払いをする

葬儀費用を故人の貯金から出したいとき、最も一般的な方法は、喪主が立て替え払いをすることです。

葬儀社への支払いは喪主が行い、のちに故人の銀行口座を解約あるいは名義変更して凍結が解除されたときに、実際に支払った費用を回収します。

故人の口座凍結を解除するためには、以下のような書類が必要です。

なお、銀行によって、また遺言書や遺産分割協議書の有無によって必要な書類が若干違います。

【遺言書がある場合】

・通帳

・遺言書の原本

・被相続人と法定相続人を確認できる全ての戸籍謄本(または法務局発行の法定相続情報一覧図の写し)

・銀行に預けている資産を受け取る人の印鑑証明書

【遺言書がない場合】

・通帳

・遺産分割協議書

・被相続人と法定相続人を確認できる全ての戸籍謄本(または法務局発行の法定相続情報一覧図の写し)

・法定相続人全員の印鑑証明書

【遺言書も遺産分割協議書もない場合】

・通帳

・被相続人と法定相続人を確認できる全ての戸籍謄本(または法務局発行の法定相続情報一覧図の写し)

・法定相続人全員の印鑑証明書

このように、故人の銀行口座を解約するには相続人全員の協力が必要になります。

葬儀費用を故人の貯金から出す方法②預貯金の仮払い制度を活用する

葬儀費用の一時立て替えが負担になるなどの事情がある場合は、預貯金の仮払い制度を利用すると、遺産分割協議前であっても故人の貯金を引き出せます。

ただし、金額などに制限があります。

【預貯金の仮払い制度で引き出すことができる金額上限】

1つの金融機関ごとに、以下ABいずれかの低い方の金額

A:相続開始時の預貯金残高×1/3×手続きをする相続人の法定相続分

B:150万円

【預貯金の仮払い制度に必要な書類】

・被相続人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書

 (出生から死亡までの連続したもの)

・相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書

・預金の払い戻しを希望する人の印鑑証明書

故人の貯金から葬儀費用を出しても相続放棄できる?

なかには、相続放棄をしたいと考えている人もいるかもしれません。

相続放棄をする場合、被相続人の財産には一切手をつけてはならないと決められています。

もしも手をつけたら、相続の意思があるとみなされ、相続放棄できなくなってしまいます。

しかし、葬儀費用については、相続放棄する場合でも故人の貯金から出すことが可能です。

ただし一般的に妥当と認められる金額に限ります。

必要以上に華々しい葬儀をした場合は、認められなくなってしまうため注意が必要です。

葬儀保険をかけておくと、すぐに葬儀費用が手に入る

葬儀費用を確保する手段の1つとして、葬儀保険があります。

葬儀保険とはその名の通り、葬儀が生じたときのためにかける保険です。

一般に、100万円から200万円程度が支払われるため、一般的な葬儀をする場合は費用の大部分をカバーできます。

葬儀保険の特徴は、申請から保険金支払いまでの期間が短いことです。

一週間程度で振り込まれる会社が多いため、亡くなった後すぐに申請すれば、葬儀社への支払いに間に合わせることができるでしょう。

葬儀保険の請求で提出する資料は、例えば以下のようなものです。

必要書類は保険会社によって違います。

【葬儀保険金の請求で必要になる書類】

・保険証券

・死亡診断書

・被保険者(亡くなった人)の住民票や戸籍商品などの戸籍証明

 (死亡事実を確認できるもの)

・受取人の本人確認書類

お墓や仏壇は生前に購入しておくと相続税対策になる

先に示した通り、被相続人が亡くなってから購入した仏壇やお墓の費用は相続財産から差し引くことができません。

しかし、存命中にお墓や仏壇を購入しておくと、それらのお墓や仏壇は祭祀財産として扱われ、非課税扱いになります。

つまり相続税の対象にならない財産です。

現金のままで残しておくと課税対象となる恐れがあっても、その現金をお墓や仏壇に替えておくことで非課税財産に変わるのです。

相続税がかかる可能性のある人は、検討してみてはいかがでしょうか。

お墓や仏壇を購入しておけば、家族の負担も軽減されます。

ただし、「金の仏像」など、祈りの対象であっても投資目的ではないかと疑われるような高価なものは、祭祀財産とみなされない可能性があります。

注意しましょう。

相続の話し合いまで、葬儀費用の明細をきちんと保存しておこう

葬儀費用は故人の貯金から出せますが、まだ継承者の定まらない遺産を取り扱うことになるため、注意が必要です。

葬儀費用の明細を保存して、何にいくら使ったのか、他の相続人にきちんと説明できるようにしておきましょう。

この記事を書いた人

奥山 晶子

葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。

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