お墓参りの花はどんなものがいい?色味や種類のマナーとタブーを解説
更新:2024.08.02
お墓参りの花に、マナーとタブーがあることをご存じですか。
お盆、お彼岸、命日など、どんなシーンであっても仏事におけるお花のマナーは同じです。
一度覚えておくと、いつまでも活用できるでしょう。
お墓参りにふさわしいお花について解説した後、お花をどこで買えるのか、そしてお墓参りの準備の仕方についてもご案内します。
お墓参りの花には色味のマナーがある
お墓参りにふさわしいとされている花の色は、白、黄色、紫、淡いピンク、青です。
原色など派手な印象の色は避け、淡く柔らかいイメージに仕上げます。
四十九日までは白を基調とした花束にし、一周忌、三回忌と亡くなってからの期間が長くなるにつれ、色味を足していきます。
しかし、花の好みは人それぞれです。
故人が赤いバラなど色の濃い花を好きだった場合、「お墓に入っている人が好きだった花をお供えしたいのに、できない」という悩みが生じるかもしれません。
供養のためであれば、花の色を問わず故人の好きだった花をお供えしても構わないという考え方もあります。
どうしても色の濃い花をお供えしたい場合は、一緒にお墓参りへ行く親族などと相談してみましょう。
また、一周忌を過ぎたらなど、少し期間を置いてから色の濃い花をお供えするという判断もあります。
お墓参りにおすすめの花10選
お墓参りにおすすめなのは、以下の10種類の花です。
季節やお店によっては手に入らない花もあるため、希望の花が手に入らないときは、イメージに似た他の花を探しましょう。
菊
仏事の花といえば菊を思い浮かべる人も多いでしょう。
お葬式やお墓参りに菊が選ばれるのは、菊には邪気を払う力があると信じられてきたためです。
また、花が長持ちして散りにくいため、長く飾るのに適しています。
つぼみの状態の菊も取り混ぜると、花束がより長持ちします。
スプレーマムなどの洋菊もお墓参りに多用されます。
ユリ
白い大輪のユリは、たった一輪あるだけでも華やかさを添えられるため、お墓参りに人気です。
ただし花粉が周囲を汚しやすいため、必ずおしべを切ってもらいましょう。
カーネーション
可憐な雰囲気のカーネーションは、白や黄色、薄いピンクなどの控えめな色味がお墓参りに適しています。
とくに白いカーネーションは、亡くなったお母さんへ母の日に贈る花として人気です。
カスミ草
白く小さな花をたくさん咲かせるカスミ草は、愛らしい印象を持たせたいときのほか、多種類の花を使った花束にまとまりを持たせる存在としても重宝されます。
トルコキキョウ
白のほか、薄紫、紫、ピンク、グリーン、薄いイエローなど豊富な色味を持ったトルコキキョウを使うと、さまざまなイメージに沿った花束を作れます。
紫は気高い印象を与えられますし、グリーンや薄いイエローは「全て白では味気ないが、あまり色を使いたくない」と考えたときにほどよくアクセントになります。
アイリス
アヤメ科のアイリスは、紫のほか白や柔らかなオレンジなどの色味があり、上品な愛らしさを持っています。
「よき便り」という花言葉を持っているため、進学や就職、結婚など、故人に報告したいことがあるときにもおすすめです。
キンセンカ
キンセンカはキク科の植物で、菊に似た黄色やオレンジの花を咲かせます。
冬の寒さに強い育てやすさから、自宅の花壇で育てている人も少なくありません。
カジュアルな佇まいなので、花束に親しみやすさを添えたいときにおすすめです。
カラー
大きな花びらがクルリと巻いた姿が特徴的なカラーには、白、ピンク、グリーンなどさまざまな色味があります。
背が高くスタイリッシュな雰囲気を持っているため、花束をスッキリとした印象に仕上げたいときに便利です。
ストック
ストックは、一つの茎の上下にたくさんの華やかな花を咲かせます。
背を高く切ってもらい、花束の奥の方に一輪配置するだけでも、パッと華やかな印象になります。
白、ピンク、紫など色味も豊富です。
リンドウ
リンドウは青みの強い山野草です。キリッとした咲き姿や「正義感」「誠実」といった花言葉を持つことから、堅実に生き抜いた人生をイメージさせます。
「淡い色味の花束は印象が柔らかすぎる」
「可憐な花や華やかな花は、故人のイメージに合わない」と感じたときにおすすめです。
お墓参りに持っていってはいけない花
お墓参りには、持っていってはいけない花も存在します。タブーな花は、以下の3つです。
トゲのある花
トゲは刺さるとケガをすることから、殺生を思い起こさせるためお墓参りにはふさわしくないとされています。
バラなどのトゲはしっかり処理しましょう。
毒のある花
毒のある花も、殺生を思い起こさせるためお墓参りにはタブーとされています。
スイセン、チューリップなどは毒があるため避けるのが無難です。
お墓参りのための花はどこで買える?
お墓参りの花は、以下のようなお店で買えます。
お墓参り用の花束は、5本か7本の花で組んでもらうことが多いでしょう。
お墓の花立ての数にもよりますが、一般的には一対(同じものを2束)購入します。
生花店
生花店であれば他のお店にはないような種類の花が豊富なので、オリジナルの花束を作ってもらえます。
いわゆる仏花ではなく、作ってもらいたい花束のイメージがしっかりある人は生花店で買い求めましょう。
とくに葬儀用の生花を日常的に受注している生花店は、季節を問わず仏事向けの花が揃っています。
スーパー内の生花売り場
スーパー内の生花売り場では「仏花」として、お墓参りや仏壇用の花束が売られています。
お墓の花立ての大きさに合った花束を買いましょう。
ホームセンター
大きめのホームセンターには、生花売り場が併設されていることがあります。
近くに生花店がない場合、ホームセンターに生花売り場がないか問い合わせてみましょう。
霊園内や霊園近くの売店
設備が整っている霊園の中には、生花や線香、ロウソクなどお墓参りの必需品を買うことができるところもあります。
また、大きな霊園の周辺には生花店があることも多いため、お墓参りの前に調べてみましょう。
手作りの花束もOK
お墓参りの花は、手作りでも構いません。
例えば故人が丹精していた庭の花が咲いたから、家族が育てた花を見せたいから、といった理由で花を手向けられれば、何よりの供養になります。
お墓参りに行く準備をしよう
お墓参りの花について、どこでどんな花束を手に入れるか決めたら、お参りの準備を始めましょう。
次のような段取りでお墓参りを行います。
お墓参りの日時を決める
お墓参りには、日没までに行くのがおすすめです。
一般的な霊園には照明設備が少なく、暗くなってからのお墓参りでは足元が危ないためです。
また、お墓参りの時間にはタブーもあります。
お墓参りの時間について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
お墓参りの持ち物を揃える
お墓参りに必要なのは、花束だけではありません。
ロウソクや線香のほか、お墓掃除をしなければならない場合は雑巾や軍手も必要です。
お墓参りの持ち物は、お墓の種類によっても違います。
以下の「お墓参りの持ち物はこれで大丈夫!お墓の種類で異なる持ち物の注意点」で詳しく紹介していますので、参考にしてください。
お墓参りの服装を考える
お墓参りの服装は、性別によっても、季節によっても違います。
あまり華美な服装、肌の見える服装はやめましょう。
お墓参りの服装について詳しく知りたい方は、以下の「お墓参りの服装はどうする?男女別、季節別に解説」で詳しく紹介していますので、参考にしてください。
お墓参りに行ったら、帰るときのマナーも大事です。
お供えした飲食物は全て持ち帰り、ゴミなどが散乱しないよう気をつけましょう。
この記事を書いた人
奥山 晶子
葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。