若い人向けのエンディングノート9選
更新:2022.02.09
60代、70代のシニアだけでなく、40代、50代の若い人であっても興味を持つ人が少なくないエンディングノート。
エンディングノートは、死後に相続人などが活用するためのものと思われがちですが、生きている間にも、若い人にも役立つ項目がたくさんあります。
このたびは、とくに若い人向けのエンディングノートをセレクトしました。
40代、50代の若い人こそ、エンディングノートを書くべき理由
エンディングノートには、「終末医療」「葬儀」「お墓」「相続」など、死にゆく人のための項目が豊富です。
「自分史」などの、人生を振り返って綴るための項目も用意されています。
しかし、実はこれから生きてゆくために必要となる項目の方が多いということを、ご存じでしょうか。その一部を、例としてご紹介します。
連絡先リスト
親族や友達、仕事先などの連絡先を記しておくリストは、急な入院時にも家族が「誰に連絡しよう?」と慌てずに済みます。
ペットの情報
入院などで不在にしているときも、エンディングノートにペットのことが記されていれば、家族や知人にお世話をしてもらえます。
銀行口座情報
家族があなたの入院費用や生活費を引き出したいと思ったとき、スムーズに引き出しができます。
保険
家族にあまり詳しく話していない保険の情報も、エンディングノートに記しておけば、事故や病気の際に家族が保険金をきちんと請求することができます。
いかがでしょうか。コロナ渦では、誰がいつ急に大病を患い、入院先から家へ帰れない状態になるか分からない事態となりました。
今後も、そのような状況が訪れないとはいえません。エンディングノートを一冊持っておくことによって、自分に何かあったときにも、身近な誰かへ身辺を託すことが可能になります。
若い人がエンディングノートを選ぶ4つのポイント
若い人がエンディングノートを選ぶ際には、次の4つに注目しましょう。
持っていたくなるデザイン
若い人がエンディングノートを書くということは、ある程度長い期間、家に置いておくことが想定されます。
「このデザインなら、家に置いてもいい」と思えるような、気に入った装丁のものを選びましょう。
詳しくは後に紹介しますが、シンプルなもの、こだわりの装丁、ピンクを基調にした愛らしいものなど、エンディングノートのデザインには多様性があります。
関心のある分野の項目が充実している
何かあったときの備忘録として使いたい人は、とくに「生きている間」に使える項目が充実しているものを選びます。
一方で、「親の相続の件もあるし、相続について勉強するためにエンディングノートを活用したい」という人もいるでしょう。
自分の興味に合わせて、その項目が充実したエンディングノートを選びましょう。
デジタル遺品の項目がある
デジタル遺品とは、スマホやパソコンの中に閉じ込められた故人の情報のことです。
文書や画像など個別のファイルはもとより、SNSのIDやパスワード、ネット証券の取引情報などもデジタル遺品と呼ばれます。
若い世代ほど、デジタル遺品は膨大になる傾向があります。デジタル遺品の項目が充実しているものを選びましょう。
一定の条件を満たせばデジタル製品もOK
エンディングノートには、デジタル製品もあります。手書きに不慣れな人にとっては、書き直しも容易なデジタルの方が気が楽かもしれません。
しかし、ダウンロードして使えるタイプではない場合は個人情報の漏洩が心配ですし、個人PCやスマホの中に入れておくと、エンディングノートがそのままデジタル遺品になりかねません。
また、ノートを保険証書などと一緒に保管しておくことができず不便です。
デジタルのエンディングノートを使用する場合には、「家族と共有できる」「プリントアウトして保管できる」「オンライン時だけでなく、ダウンロードして使える」の3つの条件をクリアしたものを選びましょう。
若い人向けのエンディングノート9選
2021年12月現在、若い人におすすめのエンディングノートは、次の9点です。
コクヨ もしもの時に役立つノート LES-E101
エンディングノートがブームになった頃である2010年に発売され、今でも絶大な人気を誇るノートです。
特徴は、「家族が急に入院した」といった日常生活の中でも備忘録として活用できる点で、全世代向けといえます。
開きやすさ、書きやすさはピカイチで、さすが文房具のコクヨです。CDやDVDを一緒に保管しておけるディスクケース付き。
そのまま書ける!パソコンでも使える! 明日のための「マイ・エンディングノート」
ノートファイルのPDFと、Word・Excelのフォームデータがついているから、紙でもPCでも編集可能。
また、もしものとき家族にすぐ見て欲しい部分と、他の人に見られたらちょっと困る財産の部分は分けて保管が可能になっていて便利です。
著者の本田桂子さんは、遺言相続コンサルタントであり、多数のエンディングノートを手がけてきた、いわば「エンディングノートのプロ」です。
そのまま書ける!パソコンでも使える! 明日のための「マイ・エンディングノート」
もしものときも絶対に困らない エンディングノート
家計再生コンサルタントの著者が、生活者の目線で編纂したエンディングノートです。
お金の専門家によるノートだから、とくに相続について知りたい人や、老後の資金に不安がある人におすすめ。
漫画仕立ての「こんなときどうするエピソード」から始まるから、「何から書き始めたらいいか分からない」という人でもとっつきやすい。
新時代対応! もしものための安心ノート
ペイメントアプリの残高処理から、ネットの株取引、投資信託といった金融商品についてまとめられる項目があり、デジタルの個人情報管理に悩んでいる人には、とくにおすすめです。
また、冒頭に「緊急医療情報」をまとめるページがあるのも高ポイント。救急車を呼ばなければならない状況に陥ったとき、家族がパッと開いてすぐに必要情報を引き出せます。
おひとりさまのはじめてのエンディングノート
「わたしのお金」「わたしのデジタル資産」など、おひとりさまが気になる情報を一挙に集めて管理するためのノート。
ライフプランとともに、マネープランを立てるための「10年リスト」がついており、過去を見つめるとともにこれからの生活をしっかり見据えていくためのノートだと分かります。
「私の健康・医療情報」というページに「救急車を呼ぶのは自分です!」と大きく書かれているのが印象的。
MY LIFE ノート
自分の「今」と「未来」を見つめるために、エンディングノートを書きたいと感じている人におすすめのノート。
「好きノート」や「セルフケアノート」など10の項目に分かれ、質問に答えてゆくことで自分の無意識を引き出していきます。今日より明日、より良く行きたいと願う人に。
いまからノート
美しい装丁が目を引くエンディングノート。自分の半生を書き込むことで振り返りたいと考えている人向けです。
子どもや配偶者など、大切な人に自分の人生を知ってもらいたいと願う人にも。
100円ショップで売られている終活ノート
100円ショップにも、「もしもノート」のようなタイトルで終活のためのノートが売られている場合があります。
若い人ほど、個人情報は頻繁に刷新されるもの。100円だったら気軽に書き込み、更新することが可能です。
ただ、いったん品切れになると入荷の見込みはないことが多いため、注意が必要です。
無料のエンディングノートアプリ
アプリであれば気軽にエンディングノートを試すことができるでしょう。
「エンディングノート」で検索すれば、多数の無料アプリが見つかります。ただ、個人情報を書き込むことになるため、信頼性には十分気をつけて。
急にサービスが終わってしまうこともあるので、書き込んだものをダウンロードしたり、プリントアウトしたりして手元に置いておけるものを選びましょう。
まとめ
若い人向けのエンディングノートは、以上のようにたくさんあります。今後も、さまざまなライフスタイルに合わせたエンディングノートが開発されてゆくことでしょう。
まずは気楽に、備忘録をつけるつもりで始めてみてはいかがでしょうか。
書いていくうちに「意外と自分の財産を把握できていないな」「使っていないサイトのID、いいかげん整理しなきゃ」と気づくことがあり、今自分が置かれている状況を知る手助けとなります。
この記事を書いた人
奥山 晶子
葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。