終活のやることリストを知りたい!9つの準備で老後も安心
更新:2023.03.08
終活をしたいと考えていても、いつ、何から手をつけたらいいか分からないという人は多いでしょう。
「終活のやることリスト」を作っておけば、取り組みやすくなります。
この記事では、終活でやるべきこととして優先順位の高いものから9つをリストアップし、解説しています。
ぜひ参考にしてください。
目次
みんな、どんな終活をしているの?
2022年、楽天インサイトが20代から60代を対象に行った調査によると、終活を「実施している」「近いうちに始める予定」「予定はないが、時期が来たら始めたい」と、実施する意向のある人は約7割となりました。
とくに60代女性は92.3%と、高い数値を示しています。
しかし、最も実施意欲の高かった60代女性でも、終活を「実施している」と答えたのはわずか12.5%。
終活したいとは思っているものの、まだ始めていないという人が多いという結果になりました。
なお、終活で今後する予定があること、興味があることとしてトップに輝いたのは「家の中の荷物整理」(60.9%)。
次いで「パソコンやスマートフォンなどのデータ整理」(39.8%)、「財産整理」(31.9%)となっており、「終活を始めるなら、まずは身の回りの整理から」と考えている人が多いようです。
しかし「家の中の荷物整理」は、とくに高齢の人にとってはかなりの体力仕事になります。
「やりたいけれど、どうにも腰が重くて」と感じるのも当然のことです。ここでつまずいてしまう人も、多いのではないでしょうか。
実際には、どんな順番で何をやっていけば終活がスムーズに行くのでしょうか。
以下、終活のやることリストとしてご案内していきます。
終活のやることリスト1:エンディングノートを買う
エンディングノートとは、自分で自分の身の回りのことができなくなったとき、他の人に希望を託すためのノートです。
亡くなってしまったときのほか、急に入院が必要になったときや、認知症になってしまったときなどにも役に立ちます。
エンディングノートには、入院時や葬儀時の連絡先リスト、葬儀・お墓の希望、保険や預金の預け先、家族へのメッセージといった項目があり、まさに「終活でやるべきこと」が網羅されています。
まずは終活で何をすべきかを網羅的に把握するためにも、エンディングノートを入手するのがおすすめです。
エンディングノートはたくさん出版されており、書店やネットで多くの種類を目にすることができるでしょう。
実際に手に取って、書きやすいと感じるものを購入するのが一番です。
また、葬儀社などが終活イベントで配布しているエンディングノートであれば、無料で手に入ります。
「まずは項目だけでも確認したい」「後で本格的に書くための下書きとして」と考え、まずは無料版を入手してみるのもいいでしょう。
終活のやることリスト2:連絡先リストをつくる
親族や友人関係を把握するために、連絡先リストをつくりましょう。
「親族関係の電話番号は電話帳に記録している」「友人関係の電話番号はスマホの連絡帳に入っている」など、連絡先がバラバラの場所に保管されていませんか。
いざというとき、あなた以外の家族が連絡先リストにアクセスできるよう、一括したリストをつくっておきましょう。
この時点で、エンディングノートへ実際に連絡先を記載する必要はありません。
手書きでも、PCなどでデータ化しても構いません。
大事なのは、あなたが倒れたとき、あなた以外の家族がきちんとその連絡先リストにアクセスできることです。
終活のやることリスト3:財産リストをつくる
預金通帳や保険証などを集め、財産リストをつくりましょう。
骨董品や貴重品について記録するのも忘れてはいけません。
他にも不動産や車など、財産として数えられるものは全てリストアップしておきます。
すると、残された家族が遺産を把握するのに役立ちます。
財産リストをつくる過程で「この通帳はもうしばらく使っていない」「保険が満期になってしばらく経つ」「受け取り手のいない貴金属や着物は遺品として残すより、現金化しておいた方がよいのでは?」などと、処分した方がよいものについて気がつくときがあるはずです。
気がついたときが処分どき。残してしまうと家族が困るようなものは、解約したり売却したりして現金に換えておきましょう。
終活のやることリスト4:今後のライフプランを立てる
財産リストをつくると、自分の所有している全財産の金額が把握されます。
ここで、生きている間の生活プランを考えましょう。
シニアになると年金収入だけになるなど、手に入る現金の金額が限られてきます。
年金と、これまで貯蓄してきた金額だけで生活できるのか。
また、今の家で一生を暮らすのか、どこかのタイミングで施設に入る方がよいのか。
この時点でシニア以降のライフプランを描いておくと、エンディングノートをスムーズに書き進められます。
ライフプランをたてるときには、配偶者や子世代を交えてしっかり話し合いましょう。
家計の把握や老後にいくらかかるかが分かりづらいと感じたら、ファイナンシャルプランナーなどプロの手を借りるのもおすすめです。
終活のやることリスト5:「想いを託す人」を決める
今後のライフプランが決まると、エンディングノートを誰に託すかが明確になります。
子どもと同居すると決めた人は同居する子どもに託すのが一番ですし、年下の配偶者と2人暮らしであれば、託す人としては配偶者が第一の候補に挙げられます。
また、エンディングノートを託せる身内がいないなら、司法書士や行政書士などといった専門家と身元保証契約や死後事務委任契約を結ぶのが安心です。
身元保証契約とは入院や手術時に身元保証人となってもらう契約、死後事務委任契約とは葬儀やお墓の手配、死後の手続といった死後事務を行ってもらう契約を指します。
とはいえ、専門家と契約を結べば、何かとお金がかかるもの。
予算不足が不安な人は、友人や入所予定の施設に、いざというとき身元保証人になってくれないか相談してみましょう。
地域の福祉サポート施設が相談に乗ってくれる場合もあります。
終活のやることリスト6:エンディングノートを書く
託す人を決めたら、エンディングノートづくりに取りかかります。
自分に何かあったとき、誰がどのように動いてくれるのかをイメージしながら書くと、エンディングノートはぐっと書きやすくなります。
エンディングノートを書いていると、「葬儀やお墓の準備をしなければ」「きちんとした遺言書を準備しておかなければ」など、さまざまなことに気づくはずです。
やりやすいと感じることから取りかかりましょう。
終活のやることリスト7:家の中を整理する
子どもとの同居や施設への入居といった引っ越しの予定があるなら、徐々に不用品を片付けていきましょう。
引っ越し先の間取りに合わせて家財をダウンサイジングするのが理想です。
「亡くなるまで自宅で」と決めた人は、家全体をシニアの生活にふさわしいスッキリしたコーディネートに変える必要があります。
足腰が弱くなってくると、少しの段差でもつまずいたり、床置きになっている細々したものに足を取られたりして転んでしまう可能性が高くなるためです。
シニアになってからの転倒は骨折のリスクが高く、回復せずにそのまま寝たきりとなってしまうケースが多々あります。
家財運びに自信のない人は、子どもや知人の手を借りるほか、引っ越し業者の模様替えサービスなどを利用しましょう。
シルバー人材センターに相談し、比較的体力に自信のあるシニアにお手伝いを依頼するという手もあります。
終活のやることリスト8:デジタルデータを整理する
パソコンやスマホの中にあるデータ、SNSなど各種サービスのアカウントなどを全て把握し、整理することを「デジタル終活」といいます。
エンディングノートを書く際に取り組んでいる人もいるかもしれませんが、デジタル終活の項目がついていないエンディングノートもあるため、取り組んでいない人はここで行っておきましょう。
デジタルデータは、目に見えません。
よって残された人が遺品整理をするときに見逃す可能性が高く、またパスワードがかかっているPCやスマホはそもそも開くことができないので、データの管理もままなりません。
パソコンやスマホの中を整理するほか、残される家族に必要なデータを出力しておいたり、パスワードを知らせておいたりして情報共有に努めましょう。
また、利用しているインターネットサービスのアカウントやパスワードを書き出しておき、自分の死後に家族がサービスの解約やアカウント削除をできるようにしておくのも重要です。
すでに使っていないサービスがあったら、この機会に解約しましょう。
終活のやることリスト9:エンディングノートを託す
自分の希望を託して初めて、終活が形になります。託すべき人にエンディングノートのありかを教えておきましょう。
終活のやることリストで、「これからの自分」についても考えたい
以上、終活のやることリストについて解説しました。
今後の自分のライフプランが定まって初めて、終活は現実味を帯びてきます。
終活をするなかで「これからの自分」について考える時間を設け、未来を豊かなものにしましょう。
終活について興味を持ち始めた方は、幅広いジャンルを網羅している、シニアのための終活情報メディア「ひとたび」もおすすめです。
興味のある方は、ご覧になってみてください。
この記事を書いた人
奥山 晶子
葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。