【夫婦の終活】配偶者が亡くなる前にやっておきたい5つのこと
更新:2024.05.27
長く共に人生を歩んできた配偶者が、亡くなるというのは考えがたいことです。
しかしいつかは、どちらかが先に旅立ち、どちらかが残されることになります。
残される側になったとき、最後のお別れに集中できるよう、配偶者が元気なうちから夫婦の終活を進めておきましょう。
配偶者が亡くなったら困ること
配偶者が亡くなると、喪主としての務めを果たしたり、手続きをしたりしなければなりません。
伴侶を亡くした悲しみのなか、さまざまなことが押し寄せてくるのは、大変なストレスです。
なかでも、次のような状況に陥り、困ってしまう人が多々みうけられます。
遺言書が見当たらない
亡くなってすぐ遺言書を探しても、見つけられないという人は少なくありません。
遺言書がないというのであれば、それでも構いません。
しかし、やっかいなのは、亡くなってからしばらく経って遺言書が発見されたときです。
相続がすでに始まっているのに遺言書が見つかると、相続のやり直しになってしまいます。
また、葬儀についての希望は、通常は遺言書には書きませんが、もし書いてあったなら、配偶者は「希望通りの葬儀をしてやれなかった」と悔やむことになります。
葬儀の希望を聞かれても答えられない
葬儀社などから「葬儀の規模や形式について、配偶者の希望はあったか」と聞かれても、生前に本人から希望を聞いておかなければ、伝えることができません。
「好きな花を飾ってあげましょう」「好物をお供えしてあげましょう」とすすめられても、すぐには思いつかず後悔するケースがあります。
保険証書のありかがわからない
死亡保険金を受け取る手続きをしたいと、保険証書を探しても、ありかをきちんと把握していないと、家中を探し回ることになります。
代理店等の連絡先が分かればよいのですが、「配偶者がどんな保険をかけていたか分からない」という人もいます。
死亡保険金の受取期間は、一般に死亡から2年です。数年後に保険証書が見つかっても、手遅れということになりかねません。
スマホやパソコン内に重要な情報があるのに、見られない
葬儀の知らせをするために、故人が使っていた連絡帳を見たいと思っても、それはスマホの中にしかないというケースでは、スマホのパスコードが分からなければ見られません。
パソコン内の住所録を見たいと考えても、同じことです。
遺品整理が進まない
葬儀後、配偶者の遺品を整理したいと考えても、思い出のあふれる品をなかなか処分できない人がたくさんいます。
「そもそも、何もする意欲が湧かないのに、遺品の整理なんてできるわけがない」という声も良く聞きます。
配偶者の遺品を整理しないままにしておくと、家族には存在が明かされていない通帳や有価証券類、骨董品などの財産が日の目を見ず、きちんとした相続ができない可能性があります。
また、配偶者の遺品整理をしないまま、残された側も亡くなった場合、子世代が2人分の遺品整理をすることになります。
大きな負担です。
子世代からさまざまなことを言われてしまう
「どうしてお父さんをもっと早く病院に連れて行かなかったのか」「こんなに借金があるなんて知らなかった」と、子世代から生前のコミュニケーション不足をなじられる人がいます。
生涯の伴侶を亡くしてただでさえ辛い中、子世代から不満を浴びせられるのは、耐えがたいことです。
配偶者が亡くなる前にやっておきたいこと5つ
以上のような事態に陥らないためにも、配偶者が亡くなる前、それもできれば双方が元気なうちに、以下の5つをやっておきましょう。
介護、療養、葬儀、墓についての希望を収集する
「配偶者が突然倒れたとき」を想定して、自分が配偶者の代わりに希望を叶えてあげられるよう、日頃の会話の中で情報収集しておきましょう。
【介護】どこで、誰に、どのような介護を受けたいのか。
【療養】突然倒れたとき、どの病院で、どの先生に診てもらいたいのか。
ふだん飲んでいる薬はなにか。延命治療や臓器提供、献体を望むか。
【葬儀】希望の遺影写真、葬儀場、宗派など。多くの人に来てもらいたいか、家族葬を希望するか。
【墓】先祖代々の墓か、新しい墓を希望するか。
どこに、どのようなお墓を設けたいか(継承墓、永代供養墓など)。散骨の希望はあるか。
全ての財産を把握する
配偶者といえども、財産を全部把握しているとは限りません。
通帳はいくつあるか、保険はどのようなものをかけているか、株や投資信託はやっているか、持ち物の中でとくに貴重なもの(骨董品、宝飾品)はあるかなどを把握しておきましょう。
いざというとき、保険金請求や相続がスムーズになります。
家の中を整理する
「遺品」にならないうちに不用品を処分しておくと、あとの苦労が少なくなります。
家じゅうを整理するうちに、財産把握ができるうえ、遺言書が見つかることも。
スマホやパソコンで何をしているのか、さりげなく聞いておく
スマホ・パソコンの中身やネット上のやりとりが、持ち主の死亡によってアクセス不可能になってしまうことを、デジタル遺品の問題といいます。
遺族がとくに困るのが、葬儀の連絡簿が故人のスマホにしかないときと、故人がネット上で株の取引をしていたときです。
「あの人の連絡先、どこにある?」「ネットで株とかやってるの?」などのさりげない会話から、デジタル遺品となりえるものを徐々に把握しておきましょう。
パソコンの操作を教えて欲しいと伝え、パスコードを獲得しておくのもおすすめ。
子世代との情報共有
ふだん離れて暮らしている子世代と、コミュニケーションをまめにとっておきましょう。
とくに配偶者の健康で不安なことがあったら、そのつど子世代と共有しておくのがおすすめです。
「子世代に迷惑をかけたくない、不安を与えたくない」と、子どもにネガティブなことを伝えるのを避ける人もいますが、あとを考えると逆効果。
「自分だったら教えてもらっておきたい」を基準に、伝えるべきことは伝えます。
配偶者とともに、やっておきたいこともある
配偶者の終活を手伝うことと同じくらい重要なのが、夫婦二人の思い出をたくさん作っておくことです。
配偶者を亡くすのは、人生最大のストレスといわれます。
配偶者を亡くしたあと、自身の気持ちを支えていくために重要なのが、「2人の人生を、精一杯生ききった」という感覚。
「あのとき、ああしておけば」「こうしておけば」という後悔は、大事な人を亡くしたあとには、誰にでも起こりうる感情です。
しかし、2人が元気なうちに、意識してやりたいことをやっておけば、後悔を最小限にできる可能性があります。
・古希、喜寿などの年祝いをする
・銀婚式、金婚式をおこなう
・子どもや孫に2人で会いに行く、ビデオ通話を楽しむ
2人で心置きなく楽しめる時間を、意識して作りましょう。その思い出が、きっと残される側を支えていきます。また、2人だけのゆったりした時間を持つことで、終活に関する話題も、口にしやすくなります。
2人で生き生きと歩むために不安を解消しよう
この記事では、配偶者が亡くなる前にやっておきたいことについて解説しました。
いざ配偶者が亡くなると、葬儀、初七日、四十九日と、やることがたくさんあります。
事前に準備しておくことで、死後の手続きがスムーズに進みます。
2人が元気なうちに、さまざまな不安を解消しておくのがポイントです。
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この記事を書いた人
奥山 晶子
葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。