50代の終活は、親の終活と同時進行するのがポイント
更新:2022.03.27
50代になり、シニアと呼ばれる年齢にさしかかると、「終活」という言葉が頭をよぎる人も多いでしょう。
人生100年時代と呼ばれる今、50代はまだまだ若いですが、コロナ禍によって「いつ、誰が突然亡くなってもおかしくない」ことを再認識した人もいるのではないでしょうか。
50代は、まだ親が存命というケースも少なくありません。
自身の終活をすることが、親の終活につながるとしたら、まさに一石二鳥ですよね。
自身と親の終活を同時に進める方法について、詳しく解説します。
目次
50代の終活は「興味あり」が7割以上、実際に終活している人は13%
2021年にNTTファイナンス株式会社が行った「50代以降における終活に関する実態調査2021では、50歳から80歳の男女1089名を対象に調査。
「ご自身で行う終活にご興味はございますか?」という質問に、「大変興味がある」と答えた50代は3割弱、「少しは気になる」と答えたのが5割。
50代では、7割以上の人が終活に興味を持っていることがわかりました。
一方で、「現在終活をおこなってますか?」という質問に「継続的に終活をしている」と答えた50代は、13%弱という結果になりました。
興味は持っていても、実際には終活をしていないというのが、50代の実情のようです。
年齢 | 継続的に終活をしている |
50歳〜54歳 | 12.9% |
55歳〜59歳 | 12.8% |
60歳〜64歳 | 16.4% |
65歳〜69歳 | 22.5% |
70歳以上 | 35.6% |
改めて「終活」とは?とくに50代に必要なことって?
終活といっても、何から始めたら良いか分からず、手つかずになってしまう人は多いもの。
「とくに50代にとって必要な終活」という視点から、順番に解説しましょう。
1.緊急連絡先のリストアップ
50代の終活で意識したいのが、「人生を閉じるための準備」よりも「急に自分の身に何かあったときのための準備」です。
事故や病気による入院が生じたら、その事実を誰に知らせる必要があるでしょうか。
会社員なら勤務先、自営業なら取引先、そして家族や親、きょうだいなどの近親者に知らせたいですよね。
自分自身では連絡ができないと想定し、連絡先リストを作って家族などに託しましょう。
2.不用品の整理
老後は気力・体力が衰えます。
定年を迎えてから不用品を片付けたいと思ったときには、自分の力だけでは不可能になっている恐れも。
子どもが独立して不用になった勉強机、使わなくなったタンスなどの家具はありませんか。
大きくて重い荷物ほど、意識して若いうちに整理しておきましょう。
3.PC・スマホ内の情報整理、ネットサービスの見直し
昨今、「デジタル遺品」が注目されています。PC・スマホの持ち主や、ネットサービスの利用者が亡くなると、次のような問題が発生します。
▼利用者が亡くなった後のSNSアカウントは、本人以外が解約するのは難しい。
▼動画サブスクリプションなど課金系のネットサービスは、家族がクレジットカードや通帳を把握し、解約しない限り、延々と課金される可能性がある。
▼重要な連絡先が、故人のPCやスマホの中にしかないと、遺族が確認できない。
利用していないネットサービスは解約したうえで、どんなサービスを利用しているかをリストアップしましょう。
重要な連絡先は、1で紹介した緊急時の連絡先リストとして家族に渡しておきます。
4.財産把握
普段あまり意識することはありませんが、通帳、現金、クレジットカード、株などの有価証券類、不動産、自動車など、人はさまざまな財産を持っています。
これらの財産情報が家族に知られないまま、急に遺産になると、相続する家族は困ってしまいます。
使っていない通帳やクレジットカードは解約したうえで財産をリストアップし、家族と情報を共有しておきましょう。
5.医療・介護の希望を家族と共有する
50代であっても、急な病気で病院に運ばれ、意識がなくなったり、要介護状態になったりする可能性はあります。
もしもの時のために、「介護をどこで受け、誰に世話してもらいたいか」「延命治療や臓器提供の意思はあるか」を書き出して、家族に渡しておきましょう。
6.葬儀・墓の希望をエンディングノートに記す
元気な50代であれば緊急度は低いですが、余裕があれば葬儀やお墓の希望も書いておきましょう。
葬儀や墓の希望のほか、医療・介護の希望、連絡先リストなどを書き込んでおけるノートを「エンディングノート」と呼びます。
たくさんの種類があるため、実際に見比べて書きやすいものを選びましょう。
7.自分史作成など、残される家族に向けてメッセージをしたためる
6番で紹介したエンディングノートには、自分史や、家族へのメッセージを添えられるページもついています。
自分の来し方を振り返ることは、これからの生き方を見据えるためにも有効です。
余裕があれば、ぜひ手を付けてみてください。
50代の終活は、親の「老い支度」と一緒に進めるのがベター
親がまだ存命中であれば、「自分よりも、親の終活を急がなければ」と考える人もいることでしょう。
親が終活を進めているかどうかは、なかなかわかりづらいもの。
50代なら、自分の終活と一緒に親の終活を進めるのがおすすめです。
1.連絡リストを「親の葬儀の参列者リスト」にバージョンアップ
自分に何かあったときの緊急連絡先リストは、親族の範囲を広げたり、親の友人の連絡先をプラスしたりすれば、親の葬儀が生じたときの参列者リストになります。
2.実家の私物を整理することで、親の家も片付ける
実家を「物置」のように使っている人はいませんか。
自身の終活の一環として実家の私物を整理すれば、親の家がスッキリ片付くことに。
自分の子どもの頃の写真など、アルバム整理も行いましょう。その姿に触発されて、親自身も不用品の整理を始めるかも。
3.親のデジタル活用についてヒアリング
自分のデジタルまわりを整理できたら、その体験談を親に話し、親がどんなネットサービスを使っているかをヒアリングしておきましょう。
とくに「PC、スマホ内の連絡先は、持ち主の緊急時に他人が参照できない」と告げ、連絡先を印刷しておいてもらいます。
できれば、PCやスマホのパスコードを家族間で共有するのが理想です。
4.親の財産把握
自分の財産が把握できたら、自分が相続する可能性のある「親の財産」についてもだいたい把握しておきましょう。
「もしもの時のために」と、生命保険証書や通帳のありかを聞き、家以外の不動産がある場合には、どのように活用しているのかも詳しくたずねておきます。
ローンなどマイナス財産の把握も重要です。
5.エンディングノートを渡す
自分が書いてみて良かったと感じるエンディングノートを、親にもプレゼントしておきましょう。
何の脈絡もなく、突然にエンディングノートを渡すよりも、「自分が書いてみて良かったから、おすすめしたい」という言葉を添えた方が、自然に渡せます。
50代、終活と同じくらい大事なこと
人生100年時代、折り返し地点である50代には、終活と同様にやっておきたいことがあります。
それは、長い老後を楽しく生きるための準備です。
明るい老後のため、次の3つを意識して生活しましょう。
「健康貯金」をしっかり貯める
健康貯金とは、若く健康なうちから体を鍛えておくことで、加齢による筋力低下の進行をゆるやかにするための活動です。
現役世代のうちから、ウォーキングや筋肉トレーニング、ヨガなどで体を若々しく保てるよう意識しましょう。
親子間のコミュニケーションを円滑に
自分の親とのコミュニケーションも大事ですが、50代は、多くの人が自身の子どもの自立を迎える時期です。
「子どもの思春期以降は、ろくに会話をしていない」という人はいませんか。
あなたに何かあったとき、困るのは子世代です。終活を行ったら、その成果を子世代と共有しておきましょう。
老後の資金計画をシミュレーション
老後は、健康と同じくらい、お金が大事です。
もらえる年金額と、今の家計を引き比べてみましょう。
もしも赤字が出るようなら、その分は貯蓄でまかなわなければなりません。
定年までにどのくらい貯金ができたら、安心して老後を過ごせるのか。夫婦でシミュレーションしてみるのが重要です。
50代の終活は、家族みんなとおこなうのが理想
以上、50代の終活について解説しました。
シニアにさしかかると、年老いた親の心配もさることながら、自分の今後にも不安が生じてくるものです。
親よりも一足先に終活を始めれば、親自身の終活を手助けすることができます。
まずは、緊急連絡先の整理から始めてみましょう。