お墓を買うお金がないときにおすすめな供養法を5つご紹介

更新:2022.06.25

一般的なお墓の費用相場は200万から250万円です。

「とうてい買えない」と尻込みしてしまう人もいるのではないでしょうか。

たとえお墓を買うお金がなくても、遺骨を供養することは可能です。

0円から10万円の範囲で可能な、遺骨の供養法5つについて解説します。

お墓を買うお金がない人でも、遺骨を供養する方法はある

「先祖代々之墓」などと刻まれた、家族が引き継ぐことのできるお墓を「一般墓」といいます。

一般墓の費用相場は200万円から250万円ほどであり、都心など土地代の高いところにお墓を求めようとすると、さらにお金がかかる可能性があります。

また毎年納めることになる年間管理料も、積み重なれば大きな出費になります。

一般的なお墓が高額すぎる、あるいはお墓を引き継ぐ人がいないといった事情から、最近ではさまざまなタイプのお墓がみられるようになりました。

例えば「樹木葬」は墓石の代わりに樹木を墓標とするお墓で、ほとんどが一代限りです。

墓石の使用量が少ないことから一般墓よりは安価で、相場は50万円から150万円ほど。

大きな区画に他の契約者と眠る集合墓や好きな樹木が植えられる個人墓など、いろんなタイプがあるので相場に開きがあります。

また、継承者を立てる必要がなく管理や供養を霊園の管理者が行う「永代供養墓」も人気です。

お墓参りをする人がいるうちは個別にお墓を設け、契約期間が過ぎたら他の人の遺骨とともに供養塔へ納骨するタイプと、最初から供養塔へ納骨するタイプがあります。

とくに最初から供養塔へ納骨するタイプは、相場が10万円から30万円程度。年間管理料を支払う必要もありません。

しかし「それでもやはり、経済的に苦しくお墓は買えない」という人もいることでしょう。

お墓を買うため人生に必要なお金まで手放したら、故人はきっと喜びません。

次項からは、0円から10万円の範囲で実現できる供養法をご紹介します。

お墓を買うお金がないときの供養法1:送骨(3万円)

送骨は、遺骨を寺院や霊園に郵送し、供養塔などへ納骨してもらう供養法です。

相場は3万円ほどで、全国たくさんの寺院や霊園が送骨を受け付けています。

せっかくなので、故人ゆかりの土地に送骨を受け付けている寺院や霊園がないか探してみてはいかがでしょうか。

故人の故郷や思い出の場所で眠ってもらえたら、安価でも最高の供養になるでしょう。

送骨をした後は、寺院や霊園が合同供養を行ってくれます。

お盆やお彼岸などに供養塔の前で読経をし、供養祭を行うのです。供養祭や命日など、好きなタイミングでお墓参りも可能です。

お墓を買うお金がないときの供養法2:散骨(0円~5万円)

海のイメージ

海や山に遺骨を撒くことを、散骨といいます。

「海が好きだった故人のために」「二人の思い出の海へ眠りたい」「特定の宗教観に縛られたくない」など、散骨を選ぶ人の理由はさまざまです。

墓地と認められていないところに遺骨を埋めるのは違法ですが、埋めるのではなく「撒く」かぎりでは、法に抵触しないとされています。

ただし、遺骨と分からない程度のパウダー状にすることや、他人の私有地はもちろん観光地や海水浴場といったたくさんの人が訪れる場所では散骨しないことなど、散骨特有のマナーとルールがあります。

マナーとルールを守れば、遺族自身が散骨することも可能です。

遺骨をパウダー状にするのはなかなか難しいですが、それが可能であれば0円で散骨できます。

ただ、散骨マナーを考慮すると、自力で散骨ができる人は限られています。

海への散骨であれば周囲の漁業組合などに許可を得て遠洋まで船を出せる人、山への散骨であればその山を所有している人などです。

自力では散骨が難しいなら、散骨業者に頼ることになります。

散骨業者に遺骨を送り、散骨場所や日時はお任せとなる「合同散骨」であれば相場は5万円ほどです。

散骨地点を明記した散骨証明書や、実際に散骨している現場の写真を送付してくれるところを選びましょう。

散骨後の供養法はさまざまです。

命日のたびに散骨を行った海へ訪れて黙祷する人もいれば、「海は世界中につながっている」と、自宅から近い海に行って故人へ思いを馳せる人もいます。

ビーチでバーベキューをすることが供養になると、仲間を呼んで賑やかに過ごす方法もあります。

ただ「遺骨を全て撒いたら、供養の対象がなくなってしまったようだ」と寂しさを感じることがあるかもしれません。

遺灰を少しだけ取り分けておいて、次にご案内するような手元供養を行うと、心が落ち着くでしょう。

お墓を買うお金がないときの供養法3:手元供養(0円~)

手元供養とは、遺骨を手元に置いて供養することです。

遺骨はお墓に納骨しなければならないわけではありません。

ずっと自宅に置いておいてもよいのです。

手元供養は、故人を身近に感じていたい人におすすめの供養法です。

手元供養の中でも一番安価なのが、骨壺をそのまま仏壇等に飾る方法です。

仏壇がなければ、タンスの上やクローゼットの中、本棚などを活用します。

毎日供養をするための小さなご飯茶碗や湯飲み、線香立て、リンなどがあれば、手元供養は0円で可能です。

もっとも、手元供養の方法は、そのまま骨壺を祀る以外にもさまざまあります。

詳細は下記の記事をご覧ください。供養をし尽くしたと感じたときの、遺骨の手放し方についても解説しています。

お墓を買うお金がないときの供養法4:本山納骨(3万~10万円)

本山納骨とは、信仰している宗派の本山寺院に遺骨を納めることです。

浄土真宗の信徒を中心に北陸や近畿の一部で行われている風習で、一般的には大部分の遺骨をお墓に納めた後、喉仏の部分の遺骨を本山に納めます。

寺院によっては全ての遺骨を受け付けているため、全骨を本山納骨できればお墓は必要ありません。

実際、熱心な信徒の中には、代々お墓を所有せず全ての遺骨を本山に納骨している家もあるほどです。

本山納骨のお布施の相場は3万円から10万円です。

故人や遺族が特定の宗派を信仰しているなら、またとない供養法といえるでしょう。

本山納骨をした後は、本山寺院が合同供養を行ってくれるため、お参りの必要はありません。

ただ、命日やお盆、お彼岸をめどに本山へ訪れ、お参りをする人もみられます。

このように、本山納骨後の供養法は自由です。

お墓を買うお金がないときの供養法5:0葬(0円)

0葬とは、火葬場で遺骨を受け取らずに帰るもので、宗教学者の島田裕巳氏が著書『0葬』のなかで提示した供養法です。

火葬場での収骨を辞退すれば、お墓はもちろん、骨壺を用意する必要さえありません。

そもそも遺骨は遺族が持ち帰る「遺骨」と火葬場に残る「残骨」に分けられます。

関東以北では遺骨を全て持ち帰るため残骨はほとんどありませんが、関西以西では、関東以北よりも小さい骨壺に入れられるだけの遺骨を納めるため、多量の残骨が出ます。

残骨は集められて火葬場敷地内の供養塔などへ一定期間納められた後、遺骨以外のものを取り除き、各地にある残骨供養塔へ送られます。

0葬は、火葬した後の遺骨を全て残骨扱いにすることで、あとの負担をいっさいなくす供養法です。

まだまだ一般的ではない考え方のため、0葬が可能な火葬場はあまり多くありません。

しかし、喪主にあたる人が一筆書けば可能といったルールを定めている火葬場も存在します。

「遺骨を火葬場に全て置いてきた」と報告すると、大半の人は驚いてしまうでしょう。

しかし、生涯独身を貫いた人の葬儀を甥や姪が行う、古くに離婚して離ればなれになった親の葬儀を子どもが行うなど、遺骨の行き場に困る事態は大いに考えられます。

0葬は、遺骨の行方に悩める人の味方といえるかもしれません。

お墓を買うお金がなくても故人への想いは変わらない

以上、お墓を買うお金がない人に向けて、10万円以下でできる供養法をご紹介しました。

自分と故人にぴったりだと納得できる供養法は見つかったでしょうか。

故人に思いを馳せる時間を持ち、手を合わせて冥福を祈る真心があれば、それで十分です。

できるだけのことをしてあげたいという気持ちを大事に、可能な範囲で供養を行いましょう。

この記事を書いた人

奥山 晶子

葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。

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