法事の案内状を出す時期や内容、マナーについて注意点を解説
更新:2023.03.19
四十九日法要や一周忌法要など、法事があるたびに案内状の作成が必要になります。
案内状の文面やマナーについては、よく知っているようであっても、そのつど「念のため」と調べる人が多いようです。
最近では簡略化の流れがあり、法事に参加する人数の減少や、少ない回忌で個別の法要を終える家族もみられます。
最近の傾向も踏まえながら、法事の案内状を出す時期や内容、マナーについて解説します。
目次
法事はいつ行われるもの?
法事は毎年行われるわけではありません。
とくに法要を設けるべき回忌は決まっており、以下のように数年ごとに法事の機会があります。
回忌 | 亡くなってからの年数 |
四十九日 | 49日目 |
百か日 | 百日目 |
一周忌 | 1年目の命日 |
三回忌 | 2年目の命日 |
七回忌 | 6年目の命日 |
十三回忌 | 12年目の命日 |
十七回忌 | 16年目の命日 |
二十三回忌 | 22年目の命日 |
二十七回忌 | 26年目の命日 |
三十三回忌 | 32年目の命日 |
三十七回忌 | 36年目の命日 |
四十三回忌 | 42年目の命日 |
四十七回忌 | 46年目の命日 |
五十回忌 | 49年目の命日 |
百回忌 | 99年目の命日 |
命日その日に法事を行わなければならないわけではありません。
親族が集まりやすいよう、命日よりも前の土日に法事を行うケースが大半です。
しかし、法事が命日よりも遅れるのは「死者を待たせることになる」としてタブー視されています。
法事は何回忌まで行うのが一般的?
長く、法事は三十三回忌まで行うのが一般的とされていました。
三十三回忌を「弔い上げ」として通常の法事よりも手厚く行い、以後は個別の法要を行わず、先祖の一人として扱うのです。
しかし、最近では簡略化が進み、「十三回忌まで」あるいは「七回忌まで」とする家族も増えてきています。
「三回忌以降は親族を呼ばず、家族だけで行う」
「菩提寺の合同法要に参加することで法事に替える」というケースも珍しくありません。
このように近年では、法事を何回忌まで行うべきかという決まりはなくなりつつあるため、家族や親族と相談して決定するのがおすすめです。
その年に法事があるかどうか分からないときはどうする?
法事の対象となる先祖がたくさんいる場合、今年が誰の何回忌にあたるのか分からなくなることがあります。
そんなときは、菩提寺に問い合わせると回答してくれます。
菩提寺によっては年の初めに法事の対象となる家へ回忌表を配ってくれるため、いただいた回忌表を仏壇の周りに置いておくと便利です。
複数の回忌が重なったらどうする?
先祖が複数いる家では、回忌が重なることもあります。
同じ年に2度法事を行うのは、家族にとっても親族にとっても負担が大きいと感じたら、法事をまとめて行うことが可能です。
法事をまとめて行うことを「併修」といいます。
併修を行いたいときは、次の2つに注意しましょう。
三回忌まではなるべく個別法要とする
亡くなってからまだ年数が浅い内は、個別に法事をすべきという考え方があります。
併修したいと考えても、親族や菩提寺から反対される可能性があるので気をつけましょう。
期日に気を配る
法事の期日は、亡くなってから年数が浅い人の命日か、カレンダー上で早いほうの命日に合わせます。
迷ったら菩提寺に決めてもらいましょう。
法事を行いたいと思ったら、案内状を出す前に準備すること
法事を行うことを決めたら、案内状を出す前に以下の4つを決めます。
法事の日程
菩提寺に相談し、法事の日程を決定します。
自宅、お寺、法要会館など行う場所や、お墓参りをするかといった当日の流れまで打ち合わせしておきます。
会食の有無
法事の後には会食を設けるのが当たり前でしたが、コロナ禍以後は少し事情が変わっています。
会食をせずお弁当や食べ物ギフトを持ち帰ってもらう法事も増えているのです。
どのような対応が適切か、家族で話し合って決めましょう。
法事をする場所からお墓参り、お墓参りから会食場所への移動手段
法事を行うのが菩提寺であれば、すぐにお墓参りへ出向けます。
しかし自宅の場合は、何らかの手段でお墓まで移動しなければなりません。
会食場所から貸し切りバスが出ない場合には、会食場所への移動手段についても考える必要があります。
移動手段が準備できないときは、親族になるべく自家用車などで来てもらう必要があるため、あらかじめ決めておきます。
喪服か平服か
法事の服装は喪服が基本ですが、三回忌を過ぎたら平服でも構わないとされています。
服装を決めるのは施主です。
平服でと決めたなら、案内状にその旨を書く必要があります。
喪服で行う場合は、あえて案内状に書く必要はありません。
法事の案内状は1ヶ月前までに出す
法事の日程が定まったら、案内状は1ヶ月前までに出せるよう準備します。
1ヶ月を切ってしまうと、親族は予定を大幅に変えなければならないかもしれません。
案内状が遅くなってしまうと感じたら、主な親族にはあらかじめ日にちだけでも電話などで告げておきましょう。
法事の案内状を出す範囲
法事の案内状を出す範囲は、近しい親族です。
ほか、法要に呼ぶべきと感じる、とくに故人と縁が深かった人がいたら案内状を出します。
「近しい」親族がどの範囲なのかは、家族の判断によります。
血縁で考えれば遠い人であっても、親しくお付き合いしてきた親族がいれば、案内状を送るのがおすすめです。
一方で、どんなに血縁が濃い人でも高齢のため移動が難しかったり、遠方だったりする場合には負担になります。
本人の意向を尋ねてから案内状を送るのがいいでしょう。
法事の案内状の内容
法事の案内状は、文具店や通販ショップで販売されています。
また、インターネットから郵便局や印刷ショップに申し込み、オリジナルの文面を印刷した案内状を作成してもらうことも可能です。
参加の可否を尋ねるものなので、返信用のハガキを別に用意するか、往復ハガキを利用しましょう。
案内状には以下のような内容を盛りこみましょう。
■時候のあいさつ
葬儀の案内には時候のあいさつを入れませんが、法要のハガキには入れます。
■誰の何回忌か
併修の場合にはその旨を書き、いずれの故人の回忌も書き入れましょう。
■法事の日時と場所
法事の場所とともに会食場所について明記し、住所や電話番号を載せておくと丁寧です。移動手段についても書き添えます。
■返信の期限
返信ハガキで参加の可否を返信して欲しい旨を書き、期限についても忘れずに書きます。法事の2週間ほど前を返信期限にすると、余裕を持って準備できます。
■平服の場合はその旨を書く
平服の場合は「当日は平服でお越しください」と書き添えます。
■差出人の連絡先
法事の件で分からないことがあったら問い合わせてもらえるよう、住所だけでなく電話番号も書いておきましょう。
〈返信用のハガキ〉
■参加の可否
参加の場合は何名の参加となるかを尋ねる文面も必要です。
■住所、名前欄
法事の案内状のマナー
法事の案内状を作成するときは、以下のマナーに気をつけましょう。
■句読点を使わない
正式な案内状では、弔事か慶事かに関わらず「、」や「。」を使いません。
■縦書きとする
横書きではなく、縦書きで作成します。
■文頭の一字下げを行わない
日本語の文章を書くときには、各文の文頭に一字スペースを入れるのが一般的ですが、案内状においては一字下げを行いません。
■二重封筒を使わない
法事の案内状は、封筒に入れて出すのがより丁寧とされています。
往復ハガキをそのまま出しても失礼には当たりませんが、丁寧な形で出したいと感じたら、封筒を使いましょう。
ただし、二重封筒は「不幸が重なる」意味で弔事ではタブーとされます。シンプルな一重の封筒を使いましょう。
法事の案内状の文例
必要な内容を網羅し、マナーに配慮した法事の案内状は、例えば以下のような文章です。
【法事の案内状の文例】
謹啓 春暖の候 皆様方におかれましてはご清祥のことと拝察申し上げます
さてこのたび 祖父(氏名)(戒名)の三回忌法要を左記の内容で執り行います
つきましては 何かとご多忙中とは存じますが
ご参会を賜りたく ここにご案内申し上げます
謹白
令和○年○月
記
日時 令和○年○月○日(曜日)午前○時より
場所 施主自宅
※お車でいらっしゃる場合は 近隣の駐車場をご案内いたします
あらかじめお申し付けください
法要終了後 ○○亭にて会食の席を設けております
移動は専用バスで行います
お手数とは存じますが 出席の有無を 同封の返信用ハガキにて○月○日までにお知らせください
(施主住所)(電話番号)
(施主名)
法事の案内状を作成した後の流れ
法事の案内状を投函したら、期限まで返信を待ちましょう。
返信期限が過ぎてもハガキが返送されてこない場合は、電話などで問い合わせ、人数を確定させます。
人数が確定したら、会食場所に会食の人数を告げ、お返し物の準備をします。
法事のお返し物としては、のりやお茶、タオル、洗剤といった食品や消耗品が人気です。
弔事のお返しは使ったり食べたりしたらなくなる「消えもの」がふさわしく、かつお祝いを彷彿させるような華美なものは避けた方がよいと言われています。
一週間前になったら、法事当日の準備を始めよう
法事の当日が迫ってきたら、クローゼットから喪服を出してシミや汚れがないかチェックしたり、お布施を準備したり、お墓参りをする場合はお墓掃除をします。
施主としてのあいさつを考えておくことも必要です。
大事な家族の法事に集まってくれる親族のため、心を込めて準備を進めていきましょう。
この記事を書いた人
奥山 晶子
葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。