お墓掃除でやってはいけないことは何?ついやりがちな行動に要注意!
更新:2023.10.16
お盆やお彼岸、命日などお墓参りの時期には、お墓掃除がつきものです。
お参り当日に掃除を行う人もいれば、訪れる親族のために前もって終わらせておく人もいるでしょう。
お墓掃除には、やってはいけないことがあります。
なかには知らないうちにやってしまっているようなこともあるため、注意が必要です。
お墓掃除でやってはいけないことを解説した上で、正しいお墓掃除の道具などについてご案内します。
お墓掃除でやってはいけないこと7つ
さっそく、お墓掃除でやりがちながらも、実はやってはいけないことについて解説します。
なかにはお墓を傷つけてしまう行為もあるため、とくに気をつけましょう。
墓石に水以外のものをかける
故人が好きだったお茶やジュース、お酒などを墓石にかける方がいます。
しかし、水以外の液体を墓石にかけると、傷んでしまう可能性があります。
お酒のアルコール分や、飲料に含まれる着色成分などが墓石に影響するのです。
また、お酒やジュースをかけると墓石がべたついて汚れやすくなったり、匂いが周囲の迷惑になったりする恐れもあります。
故人の好きな飲料をお墓に持ち込みたい方は、墓石に直接かけるのではなく、お供えするようにしましょう。
タワシで墓石を磨く
墓石は石ではありますが、意外と傷つきやすいものです。
タワシで墓石を磨くと、細かい傷がついてしまう恐れがあります。
タワシでゴシゴシと墓石を磨くのは避け、柔らかいスポンジで優しく洗うようにしましょう。
スポンジで取りにくい汚れは、軍手をはめた手でこすり取ります。
断りなく除草剤を使う
とくに山中の広いお墓だと、除草剤を撒きたいほど草が生い茂ってしまう場合があります。
しかし、許可なく除草剤を使用するのは絶対にやめましょう。
霊園の管理者に連絡を入れ、除草剤を使ってもいいか、可能だとしたらどんな除草剤がいいのかを事前に聞いておくのがおすすめです。
抜いた雑草を放置する
抜いた雑草は、他の墓地や通路にある雑草に紛れさせたくなってしまうかもしれません。
しかし、自分が管理する区画内で出た雑草はゴミとして処分しましょう。
霊園内に雑草を捨てる場所があればそこへ持って行きます。
捨てる場所がなければ、ゴミ袋に抜いた雑草を入れて持ち帰ります。
墓石用以外の洗剤を使う
食器用洗剤など、家で使っている洗剤で墓石を洗うのはやめましょう。
洗剤成分が墓石にシミを作ってしまう恐れがあります。
ホームセンターなどで販売されている墓石用洗剤を使うと安心です。
よそのお墓に立ち入る
無断でよそのお墓に立ち入り、お参りをする行為は控えましょう。
お墓はいわば先祖の「家」。よそのお宅に無断で上がることに等しい行為です。
もちろん、知り合いのお墓であり、事前に「お参りをさせてほしい」と断りを入れておくなら可能です。
お供え物を持ち帰らない
お墓掃除の後に故人の好物などをお供えしたら、お参りを終えた後は速やかに持ち帰りましょう。
お供え物を放置すると腐臭が周囲の迷惑になったり、猫やカラスがうろつく原因になったりします。
コップに入れたお酒やジュース、生もの、開封したお菓子など、お供えをしてしまうと持ち帰りづらいものもあります。
お供え物をすぐに処分するのはタブーな行為ではありませんが、もったいない気持ちが募る人もいるでしょう。
お供え物を食べる行為はタブーではありません。
むしろお供えをしっかり終えた後の食品は「仏様のお下がり」と呼ばれ、食べるのも供養の一環とされています。
お参りを終えた後に自ら食べるか、持ち帰って食べられるよう個包装を開封せずにお供えしたり、飲料はふたを閉められるペットボトルのままお供えしたりと工夫しましょう。
絶対にタブーとまでは言わないが、気をつけたいこと4つ
ここでは、お墓を傷めたり周囲に迷惑をかけたりする恐れはないものの、タブーであると言い伝えられていることや、自分を守るために気をつけた方がよいことをご紹介します。
午後遅めの時間帯にお墓へ行く
古くから、お墓参りやお墓掃除は午後に行うものではないとされてきました。
ご先祖様に関わる用事は、他のどんな用事よりも優先させるべきだからです。
よって午前中早めの時間帯が望ましいといわれています。
ただ、現代においてはこの言い伝えを気にする人はいなくなってきました。
とくにお墓から遠いところに住んでいる場合、午前中にお墓掃除をするのは不可能である場合も多いでしょう。
お墓参りは午後になってしまってもやむを得ません。
しかしあまり遅い時間帯にお墓を訪れるのは避けましょう。
照明が整っていないお墓が多いためです。
暗くなってくると手元が見えづらく掃除が困難になり、足元も危なくなります。
半袖半ズボンでお墓に行く
真夏の暑い盛りにお墓掃除をしようとすると、ついつい半袖半ズボンのスタイルになってしまうかもしれません。
半袖半ズボンのお墓参りはタブー視されているわけではありませんが、太陽にジリジリ肌が灼かれたり、虫刺されが多くなってしまったりします。
暑くてもお墓参りには薄手の長袖長ズボンを着用するか、薄手の羽織を持参するようにしましょう。
お墓の上から水を浴びせかける
水掃除をしようとするとき、お墓の上から水をかけることは「ご先祖様の頭上から水を浴びせかけるよう」で失礼にあたるとされています。
手桶が使えるときは気をつけるようにしましょう。
ペットボトルの水でお墓を洗浄する場合は墓石の上から水をかけないと掃除が難しいのも事実です。
この場合は、真上から水をかけないようにする、両手でペットボトルを持つ、ゆっくり優しく水をかけるなどの気遣いがあれば失礼な行動とは周囲にも映らず、ご先祖様も理解をしてくださるでしょう。
トゲのある花や香りの強い花をお供えする
バラなどトゲのある花をお墓にお供えするのは供養としてふさわしくないとされてきました。
鋭いトゲをご先祖様に向けることになってしまうためです。
また、ユリなど香りの強い花も供養の場にふさわしくないとされています。
ただ最近では、故人が好きだった花を手向けようという人が増えています。
故人が育てていた庭のバラなどを供えることに「罰当たりだ」と言う人はあまりいないでしょう。
あえてバラやユリをお墓に供える際は、年長者などに見とがめられたとき「言い伝えは知っているけれど、あえてこうしている」と理由を説明できるようにしておきましょう。
改めて知っておきたい、お墓掃除の道具
ここで、改めてお墓掃除の道具について解説します。お墓掃除に持って行きたいのは、以下のような道具です。
▪️軍手
草を抜く際に自分の手を守るほか、こすり洗いにも便利です。
▪️ゴム手袋
水洗いをするとき使います。
▪️スポンジ
墓石は柔らかいスポンジで優しく洗います。
▪️手桶と柄杓、あるいは2リットルのペットボトル
霊園に手桶や柄杓が備え付けられている場合は必要ありません。
最近では、手桶と柄杓の代わりに空のペットボトルを持っていく人が増えています。
霊園の水場でペットボトルに水を入れ、墓石の水洗いに使うのです。
帰るときはペットボトルから水を抜けば、荷物が軽くなり便利です。
▪️古歯ブラシ
ステンレス製の花立や香炉など、取り外しのできる小物を洗うときに古い歯ブラシが便利です。
▪️ぞうきん
最後に墓石を拭き上げるために使います。
▪️草刈り鎌
夏場はとくに必需品となります。
▪️ホウキとちりとり
霊園に備え付けられている場合は不要です。
▪️大きめのビニール袋
複数枚を用意しましょう。燃えるゴミの袋、燃えないゴミの袋、濡れた道具を持ち帰るための袋などに分けて使います。
他にも、お墓参りをするための道具や、自分のために用意する品が必要です。
詳しくは、以下の記事も参考にしてください。
これらの道具を使用した正しいお墓掃除の手順を知りたい方には、以下の記事もおすすめです。
お墓掃除も供養の一部と心得よう
お墓は屋外にあり、どうしても汚れがついてしまうもの。
なかには「せっかく掃除をしても、またすぐに汚れてしまうからあまり意味がないのでは」と考えてしまう人もいるかもしれません。
しかし、お墓を掃除するということは、先祖の「家」をきれいにするということです。
先祖に対して供養をすることの一部と心得れば、気持ちを込めてお墓掃除ができるはず。
ぜひ、親世代や祖父母世代の家を掃除するイメージで、お墓掃除をしてみてください。
この記事を書いた人
奥山 晶子
葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。