神式葬儀の流れと参列マナー|広島自宅葬儀社

更新:2022.03.14

これから神式の葬儀へ参列する予定のある方へ、神式葬儀の流れと参列マナーをご紹介させていただきます。

神式葬儀の流れ

葬儀の司式者は神社の宮司になります。

通常は複数の宮司によって行われ、主となる人を斎主、斎主を保護する人を斎員と呼びます。

臨終~帰幽報告(きゆうほうこく)

家族にご不幸が発生したら、速やかに葬儀社に連絡し、搬送依頼をします。

神道では故人が亡くなったこと(帰幽)を氏神様や自宅の神棚に報告します。

これを帰幽報告と言います。

神棚封じ

次に神棚を封じます。神棚や祖霊舎の扉を閉め、その前に白い紙を貼ります。

米や塩、榊などのお供え物も下げます。

五十日祭(死後五十日後に行われる霊祭)で神棚のおまつりを再開するまで下げたままにしておきます。

枕直しの儀(ご安置)

故人様の頭部を北の方角へ向ける、または部屋に向かって右側(上位の場所)の向きになるようにご安置します。

納棺の儀

故人様をお棺へ納棺します。

お棺には、紙垂を下げた注連縄(しめなわ)を巻く地域もあります。

次に神道衣という衣装を葬儀社が準備します。

湯灌をして故人の身体を清め、神職の衣装に整えていくありまし、お身体の上にかけてさしあげる場合もあります。

男性は白丁(はくちょう)を着て、烏帽子(えぼし)を頭に被り、笏(しゃく)を手に持ちます。女性は白い小袿(こうちき)を着て、扇を手に持ちます。

通夜祭・遷霊祭

通夜祭は仏式で言う通夜式にあたります。

故人の御霊を慰めるために行われ、式の中では故人の御霊を白木の霊璽(れいじ)と呼ばれる白木の板に遷す「遷霊の儀」が行われます。

こちらが神式の葬儀で最も大切な儀式とされています。

また、式中は伶人(れいじん)と呼ばれる人たちによって雅楽が演奏される地域もあります。

通夜祭、遷霊祭は次のような流れで行われます。

●神職参進

斎主・斎員が式場へ入場されます。

●修祓(しゅうばつ・しゅばつ)

斎主が式場に飾られた祭壇や参列者をお祓いします。

●斎主一拝

全員起立して、斎主にならい神前に深く一礼します。

●献饌(けんせん)

斎主が神前に供え物をします。

●祭司奏上(さいしそうじょう)

故人の安らかな死を祈り、遺族や子孫を守るよう故人に願うことばを斎主からいただきます。

●玉串奉奠

参列者全員が玉串を手に取り、一人ずつ故人へ手向けます。

斎員より玉串を受け取り、八足案と呼ばれる専用の台の上に置き、音を立てずに「二礼二拍手一礼」をします。

●遷霊祭

故人の御霊を霊璽(れいじ)に移す儀式です。

仏式における位牌への入魂のようなイメージです。遷霊祭は夜間の暗闇の中で行われるため、葬儀場では場内の電気を消して、真っ暗な状態で行います。

●直会

一連の祭礼が終わったあとは直会(なおらい)と呼ばれる食事の席が設けられて、喪主は参列者をもてなします。通夜振る舞いのことを言います。

葬場祭

故人と最後のお別れの儀式です。

基本的には通夜祭と同様の流れで進みます。斎主によって祭礼が行われ、参列者は玉串奉奠をして弔意を示します。

その後、仏式の葬儀と同じように告別式が行われ、出棺へと移ります。

火葬祭

火葬に先立ち、火葬炉の前で行われる祭礼です。宮司によるお祓いや祭詞奏上が行われ、遺族は玉串奉奠をします。

火葬場ではなく、葬場祭の中で行われることも近年は多くなっています。

埋葬祭

埋葬祭とはお墓に遺骨を埋葬する時に行われる祭礼です。

葬儀当日に埋葬をする場合、火葬を終えた後に墓地へ向かい、埋葬祭が行われます。

お祓い、祭司奏上、玉串奉奠をしてお骨をお墓の中に納めます。

お墓の準備が整っていなければ、後日改めて納骨します。

仏式で四十九日を終えて納骨する方が多いように、神式も五十日祭を終えて納骨する方が多いです。

帰家祭~直会

神様やご先祖様に、葬儀の日程をすべて終えたことを報告する祭礼です。

その後はお世話になった神職や親族に、お世話になった感謝の気持ちを込めて直会(食事)の席が設けられます。

神式葬儀の参列マナー

仏式とは異なる独特なマナーが神式にはいくつかありますのでご紹介させていただきます。

玉串奉奠

神式の葬儀は、仏式の焼香に代わるものとして玉串奉奠をして弔意を示します。

普段なかなか行うことのないものですので、ぜひとも作法を知っておきたいところです。

●玉串の受け取り

司会者や斎員の指示に従って神前まで進み、斎員から玉串を受け取ります。

左手側に葉があるほうを、右手に根本があるほうを向け、お腹のへそのあたりの高さにして両手で持ち、そのまま玉串を捧げる場所へ進みます。

また、左手は玉串を下から支え、逆に右手は根元を上から手を覆い被せるように持ちます。

●玉串を置く

専用の台の前まで進み出て、まずは神前に一礼します。

そして、左手に根元、右手に葉先に持ち替えたあと、時計回りに回転させて根元が神前に向くようにして、台に置きます。

●二礼二拍手一礼

玉串を台に置きましたら、深いおじぎを2回、音を立てない拍手(しのび手)を2回、最後に深くおじぎを1回します。

●着席

斎主斎員、そして遺族や親族に一礼をしてから、席に戻ります。

服装

参列時の服装マナーは、おおむね仏式と同じです。ただし神式の葬儀では数珠は不要です。

男性女性ともに黒の喪服を着用します。通夜に駆けつける時は平服で構いませんが、葬儀にふさわしい色柄(黒、紺、グレー)のスーツ姿が基本です。

香典

神道の表書きは「御榊料」「御玉串料」「御神前」と書きます。

神道ではお香を使わないため「香典」と書かないよう注意しましょう。

まとめ

神式の葬儀が初めて参列するので不安を覚えても、以下の3つのポイントを注意すれば大丈夫です。

不慣れであっても、あなたがその場所で恥ずかしい思いをしてしまうことや目立つことはありません。

1.香典の表書きに気をつける「御榊料」「御玉串料」「御神前」

2.周囲の起立、着席に合わせて動く

 ずっと着席していれば良い仏式とは異なり、頻繁に立ったり座ったりがあると認識しておきましょう。

3.玉串奉奠の作法を覚える。

葬儀場でも作法の紙が用意されていることが多いです。

神式葬儀の特徴や神道とはどういう宗教なのか、詳しく知りたい方は下記の記事も合わせてご覧ください。

この記事を書いた人

廣田 篤  広島自宅葬儀社 代表

葬儀業界23年、広島自宅葬儀社代表。厚生労働省認定技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。前職大手葬儀社では担当者として 1500 件、責任者として1万件以上の葬儀に携わる。実母の在宅介護をきっかけに広島自宅葬儀社を立ち上げて現在に至る。広島市内だけでなく瀬戸内海に浮かぶ島々から、山間部の世羅町、神石高原町まで広島県内あらゆる地域の葬儀事情に精通する広島の葬儀のプロ。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。

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