葬儀の受付を頼まれたら服装はどうする?受付マナーは?わかりやすく解説
更新:2024.12.29
親族に不幸があったときなどに「葬儀の受付をやってほしい」と頼まれることがあります。
受付に選ばれるのは、親族のうちでも比較的血縁が遠く、かつ喪主から「この人なら安心してお金の管理を任せられる」と信頼された人です。
依頼されたら、特別な事情がない限りは引き受けるのがマナーです。
とはいえ、初めての葬儀受付は、何をすれば分からず不安になるでしょう。
受付の服装や当日の流れ、マナーについて解説します。
基本的なことが分かっていれば、落ち着いて対応することが可能です。
葬儀受付の服装は参列者と同じ
葬儀受付をする人の服装は、参列者と同じ喪服です。
女性の場合
女性は、デパートやショッピングモールなどのブラックフォーマル売り場で販売されている、黒いワンピースとジャケットのアンサンブルを着用します。
黒いストッキングに黒いシンプルなパンプスを用意しましょう。
髪の長い女性は黒いゴムで一つに結います。
バレッタなどの髪留めでまとめる場合は、装飾がついておらず光沢のないものを使います。
女性が受付に立つとき、気をつけたいのが爪の状態です。受付の人は参列者に手元を見られます。ネイルは落としましょう。
爪が割れている、着色汚れがあるなど素の爪の状態が気になる場合は、爪の色に近いピンクやベージュのネイルを薄く塗ります。
男性の場合
男性は、デパートや紳士服専門店などのブラックフォーマル売り場で販売されている、黒いスーツを着用します。
婚礼用も黒いスーツですが、光沢があるため葬儀には使えません。注意しましょう。
スーツの下は無地の白ワイシャツに、無地の黒いネクタイを合わせます。
ベルトも黒とし、バックルに装飾がないものを選びましょう。
黒い靴下に、シンプルな黒い革靴を履きます。
髪にはジェルやワックスをつけ、しっかりまとめましょう。
とくに若い世代の場合、喪服を揃える金銭的な余裕がないこともあり「葬儀参列には就活や仕事用の黒いスーツでもOK」とする考え方もあります。
しかし、葬儀受付は参列者が来場して初めて接する人物であり、いわばその葬儀の「顔」です。
できれば喪服を準備しましょう。
喪主を通して葬儀社に相談し、喪服をレンタルするのも一つの方法です。
葬儀受付の持ち物も参列者と同じ
受付をする人も、交替で受付へ香典を出し、葬儀中には焼香を行います。
よって、持ち物は参列者と同じです。
【受付の人の持ち物リスト】
・香典
・数珠
・白または黒のハンカチ
・黒い布製のバッグ(男性は黒いセカンドバッグか、手ぶらでもOK)
・スマホ、財布、家や車の鍵など外出に必ず持ち歩くもの
・予備の黒ストッキング(女性)
貴重品を入れたバッグは椅子の足元に置いておくなどして、また焼香のため式場へ行くときは必ず持ち歩き、目を離さず管理できるようにしましょう。
葬儀受付の流れとマナー
葬儀受付の流れはおおむね以下の通りです。
地域によっては香典返しの受け渡しがなかったり、記帳がなかったりするため、葬儀スタッフなどの説明に従いましょう。
欠かせないマナーとともにご紹介します。
参列者を迎える
参列者が受付に訪れたら体の前で軽く手を組み、深くお辞儀をして迎えます。
香典袋を差し出されたら両手で受け取り、返礼品を渡して記帳を促しましょう。
記帳とは、芳名帳というノートに住所や氏名、連絡先を記入することです。
参列者とのやりとりで生じる受け答えについては、以下の記事も参考にしてください。
香典袋が手元に溜まったら帳場に渡す
帳場がある場合は、手元に香典袋がある程度溜まったら帳場へ渡しましょう。
帳場がない場合は、葬儀スタッフなどから指示のあったとおりに、紙袋などへまとめておきます。
香典は現金なので、目を離さないようしっかり管理します。
交替で自分も香典を出す
参列客がまばらなタイミングで、自分も香典を出し、記帳をして返礼品を受け取っておきます。
式中、焼香が始まったら交替で焼香に並ぶ
受付の人も焼香に並びます。受付が無人にならないよう、交替で並びましょう。
地域によっては、開式したら受付を終了して全員で参列する場合や、式場外に置かれた焼香台で焼香を済ませる場合もあります。
喪主へ香典を渡して終了
式後、喪主が受付へ訪れたら、帳場係が香典と芳名帳が入っている紙袋などを手渡しします。
帳場がない場合は、受付の人が喪主へ香典を引き渡します。
喪主からお礼が渡されたら、辞退せず「ご丁寧にありがとうございます」と両手で受け取りましょう。
受付は香典の管理が最も重要
受付は服装や身だしなみを整え、マナーよく受け答えをして参列客によい印象を与えるのが大事です。
しかし、それ以上に大事なことは、現金である香典をしっかり管理することです。
受付は2名以上で立つのが一般的なため、トイレなどへ立つときは必ず一声かけて、受付が無人にならないように気をつけましょう。
帳場がなく受付が香典の管理をしなければならないときはなおさら、香典の束から目を離さないことが大切です。
最後は、喪主の親族や「預かるよ」などと提案する人ではなく、必ず喪主自身に責任を持って香典袋を手渡ししましょう。
式後、喪主が見当たらず困ったときは、葬儀スタッフなどに判断を仰ぐのがおすすめです。
この記事を書いた人
奥山 晶子
葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。