自宅で亡くなった場合の流れは?救急車、警察を呼ぶ?適切な対処法

更新:2022.12.29

家族を自宅で看取ることになった時、どのような流れで進んでいくのか、気になるものです。

万が一の場合、亡くなったのかどうかの判断は、自分では難しく、何より気が動転して、慌てて救急車を呼んでしまう方も多くいらっしゃいます。

普段冷静な方でも動揺してしまう場面です。

この記事では、どのタイミングで、どこへ連絡をするのが適切なのかを解説させていただきます。

救急車を呼ぶ基準

総務省消防庁「救急車利用リーフレット」には、救急車を呼ぶ基準についてこのように書かれています。

意識の障害意識がない(返事がない)またはおかしい(もうろうとしている)
けいれんけいれんが止まらない
けが・やけど大量の出血を伴うけが、広範囲のやけど
吐き気吐き気 冷や汗を伴うような強い吐き気
飲み込みものを喉に詰まらせた
事故交通事故や転倒、転落で強い衝撃を受けた

その他いつもと違う場合、様子がおかしい場合とあります。

つまり自宅で亡くなった場合、上記の救急車を呼ぶ基準に当てはまるのです。

救急車は呼ぶべき?

救急車利用リーフレット

では救急車を呼ぶべきなのかというと、結論から申し上げれば、救急車を呼んでも構いませんが、できるだけ呼ばないほうがいいとなります。

理由は二つあります。

一つ目は、消防庁の「救急車利用リーフレット」には最後に注意書きとして大きな字でこのように書かれています。

「迷ったらかかりつけ医に相談しましょう」

二つ目の理由は、救急車が自宅に到着した際に死亡と判断された場合、病院へ搬送されることはありません。

救急隊が警察へ連絡を入れ、警察官が自宅に来られます。

警察官は、家族へ経緯を事情聴取し、警察の手配した医師によって遺体の検死が行われます。

これまでの経緯を知らない警察は、事件性の有無を判断する必要があり、自然死と決めつける行動はしません。

そのため遺族は、ただでさえ家族が亡くなり動揺しているにも関わらず、自分達が疑われている?と思ってしまう心外な質問も受ける場合もあり、精神的ストレスが増します。

また、場合によっては死因を調べるための解剖が行うため、遺体を警察へ搬送するケースもあります。

そうなると今後の葬儀の段取りもすぐには行えず、思うように事が進まなくなっていきます。

このような理由から「できれば救急車は呼ばない方が良い」となるわけですが、ではどのようにしたら良いのかを解説させていただきます。

かかりつけの医師へ連絡

普段から訪問診療で来てくださっていた医師であれば、これまでの経緯もご家族の状況も把握しているでしょう。

そのため、自宅で亡くなった状態を確認して、特に不審点がなければすぐに死亡診断書を作成してくれます。

亡くなっているかどうか判断できないという場合、どうしていいかわからない場合も連絡すれば、適切なアドバイスをしてくださるでしょう。

万が一の場合に備え、24時間いつでも連絡をくださいという医師も多いので遠慮なく連絡をしましょう。

かかりつけの医師がいない場合、警察へ連絡

警察へ連絡すると、先ほどの説明の通り精神的な負担は増えますが、かかりつけの医師がいない場合は、警察へ連絡をしましょう。

救急車を呼ぶ場合と比べれば、救急車を手配して待つ時間がありません。救急隊員との会話もない分、物事がスムーズに進みます。

かかりつけの医師がいる場合の流れ

かかりつけの医師がいる場合は、まず呼吸が止まった、呼吸しているかどうかわからない時はすぐに連絡をしましょう。

医師が自宅へ到着すると死亡確認が行われます。

特に不審な点が無ければ、死亡診断書を書いてくれます。

夜中の場合、「死亡診断書は、翌日の朝○時に取りに来てください」となる事が多いです。

死亡確認が終わると葬儀の段取りを進めるため、葬儀社へ連絡をしましょう。

この時、死亡診断書が手元にあるかないかは関係ありません。

死亡確認が済んだ時点で葬儀社へ連絡を入れると葬儀社がドライアイスを持って自宅へ打ち合わせに来てくれるでしょう。

この時点でご不安に思っていること全てに葬儀社が親身に相談に乗ってくれるはずです。

1.かかりつけの医師へ連絡

2.医師による死亡確認(その場で死亡診断書を受け取る)

3.葬儀社へ連絡

4.葬儀の打ち合わせ

5.(死亡診断書を受け取る)

6.葬儀の段取りを進める

警察が介入する場合の流れ

かかりつけの医師がいない方は、迷った時は警察へ連絡をしましょう。

警察も24時間いつでも対応してくださいます。

ただしそれまでの経緯、ご家族の状況を知らない初見の方々になります。

事件性の有無も含めた対応になることはご理解ください。

警察が手配した医師が死亡判定を行い、死体検案書を発行してくれます。

死体検案書と死亡診断書と呼び名は異なるだけで、用紙は同一のものです。

死体検案書の受け取りは、「翌日、○○病院へ○○時以降に死体検案書を取りに来てください。料金は○○円になります」と言われますので、時間に合わせて伺いましょう。

葬儀社へお任せすることも可能ですし、ご家族で対応されても構いません。

検死によって死因が特定できない場合、事件性がある場合などは解剖が行われる場合もあります。

その際、遺体は警察署へ移動することになります。

葬儀社へ連絡を入れるタイミングは、医師による死亡確認後となります。

死体検案書が手元になくても死亡確認が終わっていれば、葬儀社へ連絡をして構いません。

どのようになるかまだ不透明だという場面でも、心配な方、心細い方、わからない事がわからないという不安な方は、遠慮なく葬儀社へ連絡しましょう。

親身に相談に乗ってくれるはずです。

1.警察へ連絡

2.警察の手配した医師による死亡確認

3.葬儀社へ連絡

4.葬儀の打ち合わせ

5.(死亡診断書を受け取る)

6.葬儀の段取りを進める

自宅で亡くなった場合の注意点

体を動かさない

体を極力動かさないというのは大事です。お布団で横になっているとは限りません。

お風呂場で亡くなる場合もあります。

つい楽な姿勢にしてあげたい、身なりを整えてあげたいと思ってしまい体を動かしたくなるものです。

かかりつけの医師でない場合、警察の方が来られます。

体を動かしたことまで証拠隠滅と疑われてしまっては困りますので注意しましょう。

着せてあげたい服があれば用意

かかりつけの医師による死亡確認を終えると、普段お世話になっていた看護師もしくはヘルパーが身なりを整える清拭という処置をしてくださいます。

その際に着せてあげたい服があれば、用意しておくと着替えをしてくれますので準備しておきましょう。

解剖を行う場合は、警察署に安置になることも

死因が特定できない場合、事件性がある場合、解剖が行われます。

解剖後の遺体は自宅へ戻ることなく警察署へ安置の場合もありますのでご注意ください。

この場合、葬儀社へ電話をすると警察署へお迎えに来てくれて、ご希望の場所まで搬送してくれます。

死亡判定が終われば葬儀社へ頼れる

葬儀社の立場からお伝えしたいことは、葬儀社はご家族のお力になりたいと思っています。

自宅で亡くなり、医師の死亡確認が終わり、死亡診断書(死体検案書)を受け取ってから葬儀社へ連絡だと遅いと筆者は思っています。

死亡確認〜死亡診断書(死体検案書)受け取りまでに必ず数時間のお時間があります。

人によってはこの時間が葬儀社を探す時間になっている方もいらっしゃるかもしれません。

しかしこの時間がとても長く、この先どうなるのか、不安な時間になっている方も多いのではないかと思っています。

私がお伝えしたいことは、死亡確認が終われば死亡診断書(死体検案書)は手元になくても構わないから、葬儀社へ連絡しましょうということです。

今不安に思っていること、これからの流れ、心配なことを全て質問できる相手が見つかること、そして何よりご家族のために親身にサポートしてくれる心強い存在ができることにあります。

この非日常な状況において、経験豊富な葬儀社は頼りになるはずです。

少しでも早くそばにいてもらえると安心につながります。

だから診断書がなくても構わないので、早めに連絡をしましょう。

死亡診断書(死体検案書)は葬儀の打ち合わせが終わってから、ご遺族の代わりに受け取りに行くことは、筆者もよくあります。

自宅で看取ることをお考えの方は、少しでもその時の精神的ストレスを軽減するために、前もって葬儀を依頼する葬儀社を決めておくことも考えてみてはいかがでしょうか。

少しでも不安なくその時を迎える環境を整えることは、大事なことだと思うのです。

正しい葬儀社の選び方については、下記の記事でわかりやすく解説していますので、よかったらご覧ください。

この記事を書いた人

廣田 篤  広島自宅葬儀社 代表

葬儀業界23年、広島自宅葬儀社代表。厚生労働省認定技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。前職大手葬儀社では担当者として 1500 件、責任者として1万件以上の葬儀に携わる。実母の在宅介護をきっかけに広島自宅葬儀社を立ち上げて現在に至る。広島市内だけでなく瀬戸内海に浮かぶ島々から、山間部の世羅町、神石高原町まで広島県内あらゆる地域の葬儀事情に精通する広島の葬儀のプロ。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。

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