通夜はいつ?広島独特のお葬式の日程の決まり方、特徴を解説
更新:2022.07.07
知り合いの人が亡くなったと聞いた。まだ詳細の連絡は無いけれども、通夜はいつになるのだろう?
ご逝去から通夜、葬儀の日程が決まるまでの流れは、大体どこの地域も同じですが、広島の場合は、そこに独特の要素が加わります。
その要素を加味した、広島県独特の通夜・葬儀日程の決まり方をご紹介させていただきます。
日程を決める前に、知っておかなければならないこと
まず通夜・葬儀の日程を決める過程の前に知っておかなければならない事があります。
日本全国の共通事項として、把握しておくべきことなります。
ご遺体は、24時間過ぎると火葬可能
お亡くなりになった故人の火葬は、墓地、埋葬に関する法律により、死亡または死産後24時間を経過しなければ、火葬を行ってはならないとあります。
例えば午後1時にお亡くなりになった場合、翌日の午後1時以降であれば、火葬が可能という事です。
ご遺体は、腐敗が進行する
お亡くなりになられた方のお体は、時間の経過と共に腐敗が進行していきます。
体の温度が高くなると腐敗するスピードが早まるので、腐敗を遅らせるのに有効なのが、ドライアイスです。
葬儀社が用意したドライアイスを体の数カ所に置き、腐敗進行を遅らせるケースが多いです。
日程の決め方には、このように24時間経過したかどうかの法律、故人のお体の状態が、判断に加わるのが前提であります。
葬儀社と遺族の打ち合わせ事項
24時間経過後の火葬を遵守、故人のお体の状態を踏まえた上で、葬儀社と遺族は通夜・葬儀の日程を決めていきます。
遺族・近い親族の都合
まずは遺族、近い親族の日程的都合を聞いていきます。
最も気になるのは、葬儀場への到着が、間に合うのかどうかです。
普段から全員が近所に住んでいるわけではありません。遠方に住んでいる場合、外国にいる場合もあります。
今から帰宅して、準備をして、いつ葬儀場へ到着できるのかというのが焦点です。
また、どうしても日程を変えられない用事があるのかどうかも、それぞれに確認をしていきます。
司式者の都合
遺族、親族が、通夜は明日の18時からにしようと相談していても、お寺様が難しいと言われれば、時間変更する他ありません。
お勤めしてくださる司式者の都合が優先されます。
調整する方法としては、時間を前後にずらす場合、日程を1日ずらす場合があります。
火葬場の都合
火葬場の空き状況も日程を決める上での要素に入ってきます。
遺族、親族、お寺も良いとなっている時間でも火葬場が満杯であれば、時間変更する他ありません。
このようなことを防ぐため、予め火葬場の空き状況を確認して通夜・葬儀の日程を決めていくのが基本です。
参列者の都合
式の規模によっては、参列者の都合を加味して日程を決める事もあります。
例えば、◯○会社の○○専務が急逝されたとします。
参列者は、○○会社の社員、○○会社の取引先が多く占める事が予想されます。
この場合、○○会社の関係者が参列しやすい日時にする配慮をされる事が多いです。
準備時間
お亡くなりになってから通夜までの時間も関係してきます。
例えば夕方3時にお亡くなりになった場合、葬儀会館へご安置したのが午後3時30分だとします。そこから、その日の午後7時からお通夜を行うのは、かなり厳しいです。
午後3時半〜午後5時まで葬儀社と遺族で今後の打ち合わせが行われると想定して、午後5時から僅か2時間後にお通夜を行うスケジュールになります。
喪服を取りに、一旦自宅に戻る必要もあるでしょうし、現金の用意、遺影を作るための写真も準備しなければなりません。
かなり厳しいものがあります。
広島の通夜葬儀日程にまつわる特徴
ここからは通夜葬儀の日程を決める時に加味される、広島独自の特徴を解説していきます。
上記に加えて更に要素が増えるのです。
友引でも火葬場は稼働している
友引の日に葬儀を行うことを、避ける地域は全国的に多く、友引の日を火葬場の休館日とする地域もあります。
しかし広島の場合、広島市火葬場は、1月1日、1月2日、秋分の日以外は稼働しています。
常に稼働しているということは、他県よりも日程調整がしやすい事になります。
広島に多い浄土真宗は、友引を気にしない
広島県に住んでいる方の多くは、浄土真宗の門徒です。
その数は8割と言われています。そして浄土真宗は、友引を気にする必要がありません。
お亡くなりになった瞬間から、どんな方でも故人となれば、お浄土へ導かれるという教えなので、友引に葬儀を行ったら縁起が悪いという風習とは、相反するものなのです。
結論、広島はすぐに通夜を行う傾向がある
火葬場は、ほぼ年中稼働している。友引を気にしない。
この2つの要素が加味される広島県は、通夜葬儀の日程を決める上での障害が、他県に比べて少ないのです。
障害が少ないのであれば、まずは24時間経過したかどうか、故人の体の状態が気になります。
その為、広島県は、全国的にも比較的短い準備時間で通夜を行う傾向があります。
東京では、お亡くなりになってから葬儀が行われるまでに、火葬場が満杯だから、最短でも数日必要、1週間かかる場合もあると言われます。
広島の方には、おそらく全く想像がつかない話です。
広島で「今日の通夜」になるケース
比較的短時間で通夜の準備が行われる広島県ですが、ではどのような場合に今日の通夜になるのでしょうか。実例をご覧いただきます。
夜中午前0時〜午前8時にお亡くなりになった場合
夜中午前8時〜午前8時にお亡くなりになった場合、その日の晩に通夜が行われ、翌日葬儀になる形が、最も確率高いです。
広島では一般的とは言いません、あくまで今日通夜を行う確率が高いというお話なのでご注意ください。
この場合、午前10時〜11時に通夜・葬儀の日程が決まり、関係各所へ連絡が行き渡ります。午後から遺族は、現金や写真の用意など通夜の準備を行い、葬儀社は会場の準備へ取りかかります。
主要な参列者が間に合うのであれば、準備時間は普通にあるので、当日通夜が行われる可能性が高いです。
午前9時〜午後0時にお亡くなりになった場合
この時間にお亡くなりになった場合、今日通夜を行うのか明日に行うのか、微妙な時間帯です。
例えば午前10時にお亡くなりになった場合は、日程がお昼過ぎに決まります。
午後0時の場合は、午後2時〜午後3時に日程が決まります。
参列者が間に合うのかどうか、遺族の準備が間に合うのかどうかが焦点です。
時間的余裕があまりない為、厳しいですが、その日に通夜は可能です。
主要な方々が間に合うのであれば、今日通夜をしようと話が勝手に進むことも、よくあります。
ここが広島県と他県が大きく異なるところです。
広島県では、午前9時〜午後0時にお亡くなりになったケースで、その日のうちに通夜を行えるかどうか、対応できる葬儀社かどうかが、以前はサービス品質において重要なポイントになっていました。
その日のうちに通夜ができない=対応が悪い葬儀社でした。今は昔に比べてそのような事も少なくなりましたが、当時は頻繁にありましたので大変でした。
現在は家族葬が増えたことで遺族、親族の都合を最優先に日程を決められる点、親族が散らばって住んでいるので、すぐには集まれないことが多く、無理にその日のうちに通夜を行うご遺族は減ってきました。
広島で明日以降の通夜になるケース
その日のうちに通夜が行われるのではなく、明日以降の通夜になる確率の高い事例をご紹介します。
午後0時以降〜4時にお亡くなりになった場合
死後24時間経過すると火葬可能という法律で言えば、午後0時〜午後4時の間にお亡くなりになった場合も、その日のうちに通夜を行い、翌日葬儀も可能と言えます。
私も実際にその日のうちに通夜を行うお手伝いをさせていただいた経験は何度かあります。広島の葬儀社さんであれば、誰もがご経験済みだと思われます。
このような事も稀にありますが、多くは通夜を翌日以降にされます。
午後1時にお亡くなりになった場合、日程が決まるのが午後3時〜4時です。
通夜が始まるまでに残された時間が少なく、かなり厳しいと言えます。
家族葬を行う場合でも、知らせを受けた時はお仕事中、学校に行っているご親族もいらっしゃるかもしれません。
その日のうちに行うというのは大変厳しいです。
それでも明日葬儀告別式を終えたい場合
都合があって、どうしても明日葬儀告別式を終えたい場合は、通夜を省き、翌日の午後2時から葬儀のみ行うという選択肢もあります。
俗に言う一日葬、火葬式というプランです。
午後4時〜午後12時にお亡くなりになった場合
午後4時以降にお亡くなりになった場合、24時間経過後の午後4時以降は火葬場が営業時間外となります。
したがって自動的に最短で翌日の通夜となります。
この時間帯になると複雑な要素が絡み合う事もなく、至ってシンプルです。
しかし場所によっては、新たな問題も浮上します。
それは夜間、火葬場の予約ができない地域もあるので、その地域にお住まいの方は、夜間に通夜葬儀の日程を決める事はできないというものです。
例えば夜8時にAさんの葬儀の日程を遺族、親族、お寺で決めたとします。
それでも火葬場の予約は、翌日朝8時半〜9時頃にならないとできません。
いざ翌日の朝に予約しようとすると、その時間は空いていません。
このような返事が返ってくる事もあるのです。
火葬場は、他の家同士が重ならないように調整役を果たします。
火葬場の予約が取れて、時間が決定し、周囲へ連絡が可能となります。
この場合、夜間はあくまで日程の予定を伝えるに留め、翌日朝に正式決定した日時を伝える運びとなりますので、ご注意ください。
まとめ
・広島の場合、比較的通夜までの時間が短い
・午前中にお亡くなりになった場合、その日の通夜も考えられる
・午後にお亡くなりになった場合、翌日以降の通夜になる場合が多い
・家族葬が増えたので、親族が間に合うかどうかが焦点
・広島は友引を気にしない浄土真宗が多い
・広島は、友引も火葬場が稼働している
・日程を決めるには、司式者の都合、火葬場の都合など様々な要素が絡み合う
この記事を書いた人
廣田 篤 広島自宅葬儀社 代表
葬儀業界23年、広島自宅葬儀社代表。厚生労働省認定技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。前職大手葬儀社では担当者として 1500 件、責任者として1万件以上の葬儀に携わる。実母の在宅介護をきっかけに広島自宅葬儀社を立ち上げて現在に至る。広島市内だけでなく瀬戸内海に浮かぶ島々から、山間部の世羅町、神石高原町まで広島県内あらゆる地域の葬儀事情に精通する広島の葬儀のプロ。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。