【なぜお葬式しないとだめなの?】葬儀の意味をわかりやすく解説

更新:2022.01.30

「なぜ葬儀をする必要があるのですか?自分は一応仏教徒ですが、はっきり言って信仰心はありませんし、お寺とも付き合いはありません。それでもしなければいけませんか?」

このように尋ねられたことがあります。

この記事では、葬儀を行う意味について、わかりやすく解説させていただきます。

お葬式の役割を知り、大切さを知るとお考えも少し変わるかもしれません。

わかりやすく解説させていただきますので、ご覧ください。

葬儀にはこんな役割がある

葬儀を行う意味はたくさんあります。一つずつご紹介させていただきます。

社会的役割

まず社会的処理、人は誰もが何らかの形で社会に属しています。

ですから社会がその方の死を処理する必要が出てきます、例えば葬儀へ参列して死を確認することもそうですし、死亡届を提出して戸籍から抹消することも社会的な処理です。

物理的役割

遺体は時間の経過と共に腐敗が進行します。そのためご本人の尊厳を守るために土に埋める、火葬をする必要が出てきます。現在日本では99.9%が火葬と言われています。世界的な火葬先進国なのは、土地の問題、衛生面での問題が背景にあると思われます。

文化・宗教的役割

亡くなった方は「あの世」「天国」「浄土」へ行かれると言われます。生きている私たちは、無事にあの世でも幸せであって欲しいと願います。

また、亡くなった方と遺された者の間に新たな関係を作ることが求められます。

その際に宗教的な儀礼を必要とすることが多く、現代葬儀の中心的役割を果たしています。

宗教儀礼によって、亡くなった方は、もうこの世にはいないという事実を人々へ刻み、同時に遺された者との関係を新しく造り出しているのです。

心理的役割

人の死は、遺された人に衝撃・悲しみをもたらします。信じたくないという拒否反応から始まり、怒り、葛藤を経てゆっくり死を受け入れます。

葬儀は、通夜、葬儀と最低2日以上をかけて行われます。

時間をかけて葬儀が行われるのは、そういう心のプロセスにも寄り添っていて、段階を踏んで行われます。

前もって心の準備ができていた方、突然急に死別を経験することになった方、亡くなった方との関係性でも異なりますが、家族・配偶者は身が引き裂かれるような悲しみを生じさせます。人間として自然な感情で、その感情へ配慮したケアも葬儀の役割です。

社会的心理的役割

これは昔、人が亡くなるとその村で祟りが起きるのではないかと恐れられ、その恐怖感を取り除くために死者を慰める儀礼が行われました。

現代でも亡くなった方の身体の腐敗が進行する恐れ、腐敗により尊厳が保てなくなることへの不安から葬儀を急ぐ傾向があります。

このような感情を緩和するために弔いの儀礼が役割を果たしました。

家族ができるだけ亡くなった方を囲んで過ごす時間が増え、心静かに過ごせる時間が増えることが重要です。

教育的役割もある

他にも葬儀の役割は、教育的な側面もあります。

死から生の大切さを知る

身近な人の死によって、改めて生の大切さを知ります。またそこで亡くなった方へ別れの言葉をかけ、献花を行うことで、周囲は愛や祈りで包まれます。

その光景は、死が決して終わりや無ではないと教えてくれます。

命の重さに大小はない

葬儀の場では、亡くなった故人を大切にする場面、故人へ思いを寄せて涙する方々、遺族の悲しみがあり、これらを大切にしています。

どんな方の命も等しく平等で、とても重いものです。

命の重さに大小はないと教えてくれます。

皆がいずれ「死すべき者」

故人を送り出す中で、いずれは自分にも訪れる死というものを考えさせられます。

先に行く者と後に行く者の違いであり、いずれは誰もが死すべき者と言えます。

葬儀という場面に立ち会うことで「いのち」についてこうして学んでいるのです。

辛い儀礼ではありますが、この「いのちの歴史」を過去から受け継ぎ、後世へ伝えていく役割も同時に果たしていると言えるでしょう。

葬儀の原点

色々とご紹介させていただきましたが、葬儀のそもそもの原点は下記の2つになります。

死者の尊厳を守る

死者の尊厳を守ること、たとえお亡くなりになっていたとしても、人として尊厳が守られ、最後まで生きている人と同様に扱われることが重要です。

遺族の悲しみを大切にすること

遺族の悲しみに寄り添って行われることが重要で、配慮に欠けている場合は葬儀ではありません。

ご遺族の思いを尊重して行われるべきもので、日本では24時間経過しないと火葬はできませんが、葬儀をいつまでに行わなければならないという法律はありません。

気持ちが整った時に行えば良いと言えます。

これからの葬儀

葬儀は時代と共に変化します。最近では家族葬の需要が高まり、それだけでなく一日葬、直葬というものまであります。

葬儀の簡素化、仏教離れが進んでいますので、葬儀をなぜしなければならないのかという疑問を持つ方も増えています。

しかし葬儀にはこういう役割があるんだと知っていただき、理解を深めていただける方が増えれば、幸いです。

この大切な儀礼は、この先どんなに形が変わろうとも、根幹の大切な部分は後世に継承していかないといけません。

死者の尊厳を守るため、遺族の悲しみを大切にするため、精進を重ねてこれからの葬儀文化発展のために尽力します。

この記事を書いた人

廣田 篤  広島自宅葬儀社 代表

葬儀業界23年、広島自宅葬儀社代表。厚生労働省認定技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。前職大手葬儀社では担当者として 1500 件、責任者として1万件以上の葬儀に携わる。実母の在宅介護をきっかけに広島自宅葬儀社を立ち上げて現在に至る。広島市内だけでなく瀬戸内海に浮かぶ島々から、山間部の世羅町、神石高原町まで広島県内あらゆる地域の葬儀事情に精通する広島の葬儀のプロ。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。

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