お葬式のバッグのマナーは?気をつけたいことを男女別に解説
更新:2023.12.08
初めてお葬式に参列する人は、どんなバッグを持っていったらよいのか迷うのではないでしょうか。
お葬式のバッグには、明確なマナーがあります。
男女別に、お葬式のバッグのマナーについて解説します。
最後には靴やアクセサリーといった、他の小物におけるマナーもご案内するため、参考にしてください。
目次
お葬式など弔事用のバッグは一つ持っておくと便利
お葬式のバッグは、男女問わず黒いものを選ぶのが基本です。
黒いバッグを持っていない人は、「お葬式の時のためだけに黒いバッグを買うのはもったいない」と感じるかもしれません。
しかし、お葬式のために買ったバッグは、弔事すべてに使うことができます。
お葬式の後は四十九日法要、一周忌法要などの弔事がつきものです。
お葬式にふさわしいバッグを一つ持っておけば応用が可能で、いざというときすぐに持参できるため安心です。
きちんと保管すれば長く使えるため、持っておいて損はありません。
どのくらいの大きさがいいの?まずはバッグに入れる持ち物を把握しておこう
お葬式のバッグは、男女ともになるべく小さいものが好ましいとされています。
儀式で悪目立ちせず、座席に座ったとき膝に置いておけるサイズがベストです。
「小さいバッグに荷物が全部入るだろうか」と不安に感じる人もいるでしょう。
もちろん、仕事帰りや遠方からなど、大きい荷物を持たなければならない人は少なくありません。
貴重品と儀式に必要なものだけを黒いバッグに入れ、他の荷物はクロークに預けておくのがおすすめです。
お葬式の式場に持参すべきものは以下の通りです。
■袱紗に包んだ香典
■数珠(仏式葬儀の場合)
■ハンカチ
■クロークに預けられない貴重品(財布やスマートフォン)
これらが入ればよいのです。小さなバッグを選んだほうが良いことがお分かりでしょう。
ただ、クロークのない式場もあります。
とくに荷物が多いときは、式場にあらかじめ問い合わせておくと安心です。
【女性】黒い布バッグとサブバッグが一般的
女性がお葬式にふさわしいバッグを買う場合は、百貨店や衣料店の喪服が販売されているコーナーへ行きましょう。
喪服が並ぶ一角に、お葬式用のバッグや靴が並んでいます。
女性がお葬式で手に持つのは、黒い布バッグと黒いサブバッグの2点が一般的です。
黒い布バッグ
黒い布製の小さなハンドルバッグです。
フォーマルに使われるハンドルバッグには結婚式など慶事用のものもあり、どちらも黒なので間違って購入してしまうかもしれません。
弔事用のバッグの特徴は、ツヤのない布素材であること、柄が入っていないこと、金具が表に出ていないことです。
気をつけましょう。
黒いサブバッグ
黒い布バッグのほかに、布製の黒いサブバッグを用意する人も多くいます。
化粧品やひざ掛けなどの防寒具、予備のストッキングなど布バッグに入らないものを入れておくのに便利です。
B5あるいはA4サイズのトートバッグで、ツヤや柄のない黒無地の布製を選びましょう。
【女性】突然のお葬式で、正式なバッグを持っていないときの対処法
急なお通夜の知らせなどで、正式なバッグを持っていないのに参列しなければならないときもあるでしょう。
お葬式のバッグは正式な布製バッグでなくても構いませんが、いくつかマナーがあります。
以下を参考にしてください。
■色は、できれば黒無地
お葬式では黒以外のバッグを持っている人はあまりいないため、なるべく黒を選びます。
■可能であれば布製
革製のバッグは殺生を思わせるため、お葬式にはふさわしくないとされてきました。
ただ、普段から布製のバッグを持っている人はあまりいないでしょう。現代では、革製でも許されています。
■光沢や地模様がないものを選ぶ
エナメル素材やクロコダイル柄など、派手な印象のバッグは避けます。
■金具が派手でないものを選ぶ
留め具などの装飾がないか、あっても小さいものを選びます。
■あまりに使用感のあるものは避ける
傷や汚れがついていたり、こすれて皮革がめくれていたりするバッグは儀式にふさわしくありません。
【男性】手ぶら、もしくは黒い小さめのバッグが一般的
男性は手ぶらで参列する人が少なくありません。
香典や数珠などは内ポケットに入ってしまうためです。
ただ、もちろんバッグを持参する人もいます。
手ぶらの場合とバッグを持参する場合に分けて、マナーを解説します。
手ぶらの場合の注意点
手ぶらで参列する場合、気をつけるべきは財布です。
折り畳み財布をポケットに入れると膨らんでしまい、ふだんなら気にならなくても儀式ではあまり見栄えが良くありません。
また、小銭入れをポケットに入れておくと、やはり膨らみの原因になったり、歩くとき小銭の音が気になったりすることがあります。
静かな儀式の場では目立ってしまうかもしれません。
お葬式に出かけるときは、できるだけ財布の中身を最小限にとどめましょう。
手持ちがあれば、薄い長財布を使うのがおすすめです。
また、儀式が終わるまで配偶者のバッグに財布を入れておいてもらうのもいい方法です。
黒いバッグを持つ場合の注意点
男性がお葬式で黒いバッグを持つ場合は、バッグの大きさ、形、素材、金具に注意が必要です。
バッグの大きさは、片手で抱えられる小ぶりのものがおすすめです。
男性がお葬式で持つバッグとして代表的なのがセカンドバッグで、「フォーマルバッグ」「クラッチバッグ」などの名称で売られています。
素材は皮革で構いませんが、光沢を抑えた無地のものを選びます。
殺生を強く意識させるヘビ柄やクロコダイル柄は避け、エナメル素材のものも使いません。
また、金具が大きいものも避けます。
お葬式用のバッグを保管する方法
お葬式用のバッグは普段使いするものではありません。
適切な保管をしなければ、バッグが傷んでしまう原因になります。
急なお通夜が生じ、クローゼットからバッグを出してみたらカビが生えていた……ということにならないよう、保管方法に気をつけましょう。
お葬式用のバッグを使用したら、まずは一日陰干しをしておきます。
カビの原因となる湿気を飛ばすためです。直射日光の当たる場所は避けましょう。
変色の原因になります。
一日陰干ししたら、購入時にバッグの中に入っていた紙を入れ、購入時についてきた不織布のきんちゃく袋などに包み、箱に収納します。
買ってきたときの姿に戻すということです。
バッグに紙を入れておくことで型崩れを防ぎ、また紙が湿気を吸い取ってくれます。
箱に入れておくのは、日光に当たって変色するのを防ぐためです。
この状態で、高温多湿を避けて保管します。
靴、靴下、ベルト、髪留めなど他の小物におけるマナー
ここで、バッグ以外の小物を選ぶポイントについて、男女別に解説します。
【男性】
■靴
光沢のない黒無地の革靴を選びます。
普段はいている靴を選んだなら、出かける前に汚れを拭いておきましょう。
■靴下
黒で強いリブ編みの入っていない靴下を選びます。
ビジネスシーンで履くような薄い靴下がおすすめです。
■ベルト
黒で、金具部分があまり目立たないものを選びます。
【女性】
■靴
可能であれば喪服売り場へ行き、布巻きの黒いパンプスを購入します。
新調するのが難しければ、光沢や飾りのない黒パンプスを選びます。
■ストッキング
黒いストッキングを選びます。素肌が透けないタイツはカジュアルに見えてしまうため避けましょう。
素肌が透けて見える程度の黒いストッキングが理想です。
■髪留め
黒いゴムでひとまとめにするのが、一番簡単で安心です。
ヘアクリップを使う場合は、光沢や装飾のないものを選びます。
■アクセサリー
結婚指輪のほかは、パールだけがお葬式のアクセサリーとして許されています。
パールの粒が涙をイメージさせるためです。
ネックレス、イヤリング、ピアスいずれもOKですが、ネックレスは1連のものにしましょう。
2連以上のネックレスは、「不幸が連なる、重なる」ことをイメージさせるためタブーとされています。
何を持っていくかを考えてバッグを選ぼう
以上、お葬式のバッグのマナーについて解説しました。
女性は布バッグだけか、サブバッグも持っていくのかを選ぶことになります。
男性は手ぶらとバッグの2つの方法から選びます。
バッグを用意する前に、お葬式のある日はどんな荷物が必要かを考えるのが大事です。
儀式に必要のないものはクロークに預けてしまうと決めたなら、手ぶらや布バッグだけという判断でも構いません。
自分の荷物の多さに合わせて、うまくバッグを選びましょう。
この記事を書いた人
奥山 晶子
葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。