ネクタイピンは葬儀につけていってもよい?ネクタイのマナーを再確認
更新:2025.01.05
仕事でいつもネクタイピンをつけている人は、葬儀の場でも無意識につけてしまうかもしれません。
しかし、葬儀にはネクタイピンをつけないのがマナーです。
ネクタイピンがタブーな理由や、その他ネクタイ周りの葬儀マナーについて解説します。
葬儀にはネクタイピンをつけていかない
葬儀には、ネクタイピンをつけていってはいけません。
ネクタイピンをつけるのはマナー違反とされているからです。
告別式だけでなく、お通夜や法事などといった弔事においては、全てネクタイピンをつけません。
仕事先からお通夜や告別式といった葬儀に直行する場合は、ネクタイを黒へ変えるときにネクタイピンを外し、そのままつけずに出向きましょう。
袖口にカフスボタンをつけている場合も、外して参列します。
なぜネクタイピンは葬儀でNGなのか
ネクタイピンやカフスは、スーツ姿を飾るものとみなされます。
よって葬儀ではNGなのです。
葬儀で許されているアクセサリーは、結婚指輪とパールのみです。
パールは涙の粒をイメージさせるため、パールの連なったネックレスや一粒真珠のピアス、イヤリングはつけてもよいとされています。
また、葬儀では装飾を抑えた服装を求められます。
スーツも白いシャツも、黒いネクタイも全て無地であり、柄や地模様が入っているものはNGです。
ベルトのバックルもできるだけ地味なものがよいとされ、靴も黒でなるべく金具のついていないものが好ましいとされます。
葬儀におけるネクタイまわりのマナー
葬儀で気をつけたいのは、ネクタイピンだけではありません。
葬儀における男性の胸元には、いくつかのマナーがあります。
以下に紹介するので、参列前の確認がおすすめです。
ネクタイは黒無地で光沢のないものを選ぶ
ネクタイは、柄や地模様が入っていない無地のものを選びます。
注意したいのが、光沢の有無です。
光に照らしてややツヤが分かる程度なら構いませんが、明らかに光沢が目立つ黒ネクタイはお祝いごとのためのものなので、光沢のない弔事用を一本購入しておきましょう。
ニット素材はNG
色は黒でも、ニット素材のネクタイは葬儀にふさわしくありません。
カジュアルな印象を与えるためです。
細いネクタイ、太いネクタイは避ける
一般的なネクタイよりもかなり細幅のネクタイ(ナロータイ)は、おしゃれ目的のネクタイです。
葬儀の場にはふさわしくありません。
また、太すぎるネクタイも悪目立ちします。
一般的な幅のネクタイを着用しましょう。7.5cmから8.5cmの幅であれば問題ありません。
どうしても黒いネクタイを用意できなければ紺やグレーでも可
急にお通夜の予定が入ったなど、黒いネクタイを用意できる環境にないときは、グレーや紺など地味な色のネクタイであれば可とされます。
柄物や地模様の入ったネクタイは、なるべく避けましょう。
出先で、明るい色のネクタイしかない場合は、できれば紳士服売り場などへ立ち寄って黒いネクタイを購入するのがおすすめです。
100円ショップに用意されている場合もあり、急場しのぎに使えます。
ディンプル(くぼみ)は作らない
ディンプルとは、ネクタイを締めるとき、仕上げに作る結び目の下のくぼみのことです。
ネクタイを立体的に、華やかに見せるディンプルは、葬儀の場にはふさわしくないため作りません。
長年の習慣でついついディンプルを作ってしまう人は注意しましょう。
結び目は小さめに
結び目がふっくら大きいと華やかな印象を受けます。
葬儀のときは、なるべく結び目を小さくするよう意識しましょう。
長さはベルトにかかる程度に
葬儀にふさわしい、特別なネクタイの長さというものはありません。
一般的に、ネクタイの長さはベルトにかかる程度がよいとされており、葬儀でも同様の長さに仕上げます。
長すぎるとだらしない印象を与えるため、注意しましょう。
心配ならワンタッチネクタイも可
昨今ではビジネスシーンのカジュアル化が進み、ネクタイを結び慣れていない人もいるかもしれません。
ネクタイの扱いに自信が持てない人は、あらかじめ結び目が作られているワンタッチネクタイの購入を検討するのもいいでしょう。
葬儀用のワンタッチネクタイも多数販売されています。
胸ポケットにハンカチーフはNG
婚礼などのお祝いごとでは、ポケットからハンカチーフを覗かせるのがマナーとされます。
しかし、葬儀の場ではハンカチーフを覗かせません。
注意しましょう。
ネクタイのマナーを知って、落ち着いた参列を
マナーに自信がないと、どうしても振る舞いが落ち着かなくなってしまいます。
結果、焼香をしてもどこか上の空だったり、遺族へ挨拶するときに「失礼なことをしていないか」と、マナーのことばかり気になってしまいます。
葬儀で最も重要なのは、故人を偲び、遺族にお悔やみの気持ちを示すことです。
葬儀に集中するためにも、事前にマナーを確認し、自信を持って参列できるようにしましょう。
この記事を書いた人
奥山 晶子
葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。