葬儀に行けなかった場合はお供えを送ってもいい?種類や送り方を解説
更新:2023.09.15
葬儀に行けなかった場合、お供え物を遺族に送ることで、お悔やみの気持ちや参列できなかったことへのお詫びを伝えられます。
お供え物の種類にはお花や線香、お菓子などさまざまな選択肢がありますが、弔事にはふさわしくないものもあるため注意が必要です。
また、掛け紙や表書き、送り方にもマナーがあります。
葬儀に行けなかった場合にお供え物を送るとき、気をつけたいことを解説します。
目次
葬儀に行けなかった場合はお供え物を送ってよい
葬儀に行けなかった場合、遺族に何らかのフォローをするとしたら、以下のような選択肢があります。
・お供え物を送る、あるいは直接持参する
・香典を送る、あるいは直接持参する
・お悔やみの手紙を送る
「お悔やみの手紙だけではなく、気持ちを包みたい」「お金の形ではなく、品物で弔意を表したい」と感じるなら、お供え物を送るのがいいでしょう。
葬儀後に香典を送りたい人は、以下の記事を参考にしてください。
遺族はお供え物を受け付けている?まずはチェックを
お供え物を用意する前に、遺族がお供え物を受け付けているかどうかをチェックしましょう。
葬儀の案内に「供物の類はご辞退申し上げます」など、供物を受け付けていない文言がないかどうか確認しましょう。
もし遺族が供物を辞退しているのであれば、遺族の意向を無視してお供え物を送ってはいけません。
「気持ちだけでも」と切なくなるかもしれませんが、もしお供え物を送れば、遺族は本来用意していない香典返しを手配しなければならず、面倒をかけてしまいます。
葬儀後のお供え物はなるべくすぐに送る
葬儀後のお供え物は、初七日の頃までに送ります。
初七日とは、故人が亡くなってから7日目のことです。
亡くなってからかなり後に訃報を知ったのであれば、初七日にこだわる必要はありません。
知ってからすぐに送りましょう。
お供え物の金額相場
葬儀に行けなかった場合、お供え物の金額相場は3,000円から5,000円程度です。
あまりに高額な品を贈ると、「お返しものをどうしよう」など遺族を悩ませてしまうかもしれません。
気を遣わせない程度の金額を意識して選びましょう。
葬儀後のお供え物の選び方
葬儀後のお供え物は、故人を悼み、遺族を慰めたいという気持ちが伝わるものを選びます。
弔事なので、華やかな印象のもの、おめでたいことを連想させるようなものはあまりふさわしくありません。
以下に例を挙げますので、参考にしてください。
【葬儀後のお供え物にふさわしい品】
■お供え花(フラワーアレンジメント)
花の色:白、黄、紫を基調とした淡い色合いで、少量ならピンクもOK
花の種類:菊、カーネーション、かすみ草、トルコキキョウ、胡蝶蘭、百合、デンファレなど
■果物の盛り合わせ
メロン、バナナ、ブドウ、パイナップル、リンゴなど季節の果物を中心に
■日持ちのするお菓子類
まんじゅう、もなか、どら焼き、干菓子、クッキー、ゼリーなど
■飲料
ビール、ジュース、コーヒー、紅茶など
【葬儀後のお供え物にふさわしくない品】
■原色系の華やかな花
■花束(葬儀直後の喪主宅は花瓶が空いていないケースが多々あるため)
■日持ちのしない食品や飲料
■エビ、カニ、ステーキなど慶事をイメージさせる食品
■遺族が飲めない・食べられないと分かっているもの(お酒を飲めない人にアルコール類など)
弔事のお供え物に特化した商品もある
ギフトショップや通販サイトでは、弔事のお供え物に特化した商品もあります。
「お供えギフト」などのキーワードで検索することができます。
ショップによってはお悔やみのメッセージを添えることが可能なので、便利です。
■お花とお菓子のセット
フラワーアレンジメントと、日持ちのするお菓子をセットにした商品です。
■お花と線香のセット
フラワーアレンジメントと、線香をセットにした商品です。花の香りがする線香がついている例も見られます。
■ポスト投函で送れる線香つきの手紙「お線香たより」
「お線香たより」は郵便局の商品です。
線香3箱に、「謹んでお悔やみ申し上げます」から始まる文章がプリントされているお悔やみカードが同封されています。
カードには名前を入れたり、添え書きをしたりすることが可能です。
250円の切手を貼ればそのままポストに投函できます。
掛け紙と表書きの注意点
お供え物には、白黒の水引がプリントされた掛け紙をかけ、「御供」と表書きします。
関西や北陸の一部など、地方によっては水引の色が白黒ではなく黄白の場合がありますので、注意しましょう。
ただ、どちらか分からない場合は白黒であれば失礼には当たりません。
気をつけたいのが、包装紙と掛け紙の順番です。
発送する場合は、包装紙の上に掛け紙をかけると段ボールなどの開封時に破けてしまう恐れがあるため、包装紙の下にかけます。
持参する場合は、仏壇にお供えしたときに掛け紙がきちんと見えるよう、包装紙の上にかけます。
お店で注文する場合は、包装紙と掛け紙の順番をしっかり伝えます。
通販ショップを利用する場合は、注文画面に包装紙と掛け紙の順番を選択できる欄があります。
もし欄が見当たらなかったら、コメント欄などに希望を書いておきましょう。
お供え物を送るときの注意点
お供え物を持参せず、遺族宅へ送る場合は、以下の3点に注意しましょう。
1.お悔やみの手紙を添える
品物だけを送るのではなく、短い文面でも構わないのでお悔やみの手紙を添えましょう。
「故人を悼む気持ち」「葬儀に行けなかったことを詫びる文章」「心ばかりの品をお送りする旨」の3点を中心に、手紙をしたためます。
内容は以下の記事も参考にしてください。
2.丁寧な包装を心がける
自分で包装する場合、常日頃よりもいっそう丁寧な包装を心がけましょう。
クッキーなど内容物が割れやすいときは緩衝材で包むのも大事です。
心を込めて丁寧に包装すれば、あなたの気持ちがより遺族に伝わります。
3.通販の場合は必ずギフト配送を選ぶ
通販ショップから相手先に直接配送してもらうときは、必ずギフト配送を選びましょう。
贈り物であることをショップに伝えないと、配送物に伝票が同梱されてしまう恐れがあります。
いったん自宅に商品を届けてもらい、手紙を添えてから遺族宅へ送る場合には、必ず荷物の中の伝票類を取り除きます。
お供え物を直接持参するときの注意点
お供え物を直接持参する際は、以下の3点に注意します。
1.事前に訪問の意を伝える
喪主や遺族に、電話などで訪問したい日時を伝えます。
都合が合わないときは、双方のスケジュールを照らし合わせて訪問日を決めましょう。
なかには弔問を辞退する遺族もいます。その際は、お供え物だけでも送ってよいか尋ねます。
2.地味めの平服で訪問する
弔問に喪服を着ていく必要はありません。
しかし、カジュアルな服装もふさわしくありません。
地味めの平服としましょう。
男性なら黒や紺、グレーなど暗色系のスーツに同系色の無地ネクタイ、白いワイシャツが適しています。
女性も同じく暗色系のスーツかワンピースがいいでしょう。
3.お供え物は紙袋から出し、喪主に直接手渡す
お供え物を紙袋ごと差し出すのは、あまり良いマナーとは言えません。
訪問のあいさつが済んだら、紙袋から品物を出し、「御供」と書いてある掛け紙が見える形で喪主に「どうぞお供えください」と差し出しましょう。
その後、「お線香をあげさせてください」と遺影や骨壺が安置されているところへ進み、お線香をあげます。
マナーを守り、心が伝わるお供えを
以上、葬儀に行けなかった場合のお供えについて解説しました。
お供え物とひとくちに言っても、品物の選び方や送り方にマナーが存在します。
「大切な友人を亡くして悲しい」
「かつての同僚がいなくなって寂しい」
「遺族の気持ちに寄り添いたい」
など、さまざまな想いをお供え物と手紙に込めて送りましょう。
きっと、温かい気持ちが遺族に届きます。
この記事を書いた人
奥山 晶子
葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。