南無阿弥陀仏の宗派は何?どんな意味がある?疑問や読み方について解説
更新:2023.06.29
お葬式や法事に参加した時、お坊さんが読経の最中に南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)と唱えるのを聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。
この「南無阿弥陀仏」が一体何の宗派なのか、どんな意味があるのかを解説させていただきます。
南無阿弥陀仏の念仏を唱える宗派
結論から言えば「南無阿弥陀仏」は、浄土宗、浄土真宗、天台宗などで唱えられる念仏になります。
浄土宗、浄土真宗、天台宗では、極楽浄土に導いてくださる存在が阿弥陀如来(阿弥陀仏)です。
「南無妙法蓮華経」「南無大師遍照金剛」など色々な題目や念仏がありますが、「南無」の後ろに「阿弥陀仏」と続けば、浄土宗、浄土真宗、天台宗などになります。
南無阿弥陀仏の意味
南無阿弥陀仏の「阿弥陀仏」は極楽浄土に導いてくださる阿弥陀如来のこととわかりましたが、では最初の2文字、「南無」は一体何なのでしょうか。
「南無」はサンスクリット語の「ナマス」を音写したものになります。
「帰依(きえ)する」「深く信心する」「心から頼りにする」「心の拠りどころにする」などの意味があります。
ですから「南無○○○○」と唱えることは、南無の後ろにくるものに「帰依します」「深く信心します」「心から頼りにします」と誓っていることになります。
つまり「南無阿弥陀仏」には、「阿弥陀如来様を心から信じて頼りにします」という意味があるのです。
南無阿弥陀仏の読み方
南無阿弥陀仏は「なむあみだぶつ」以外にも「なもあみだぶつ」と読む場合もあります。
浄土真宗本願寺派では開祖の親鸞が「なもあみだぶつ」と実際のサンスクリット語の発音に近い発声をしていたことから「なもあみだぶつ」と読まれようになりました。
勤行集のふりがなにも「も」とあります。
どちらが正しいとかはありません。
実際のサンスクリット語の発音は「ま」「も」「む」の中間的な音のようですが、日本では「む」と発音する宗派が多い、これが実情のようです。
広島県に多い浄土真宗本願寺派では、実際の葬儀の場面で「なもあみだんぶ」「なんまんだぶ」「なまんだぶ」などと聞こえてきますが、全て南無阿弥陀仏の念仏を唱えています。
その他の宗派の場合
「南無」の後ろにある言葉がその宗派の信仰対象ということなので、それぞれの宗派でどのように違うのかを見てみましょう。
南無妙法蓮華経の宗派と意味
「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」は、日蓮宗の開祖日蓮が妙法蓮華経(法華経)を最上の経典としたことから題目として唱えるようになりました。
南無妙法蓮華経の意味は、法華経の教えを心から信じて頼りにしますとなります。
題目を唱える事は、それ自体がすでに修行であり、報恩の行いであるとされます。
日蓮宗、日蓮正宗、法華宗、創価学会などの宗派では、今でも最も重視されている言葉になります。
南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)の宗派と意味
「釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)」は座禅で悟りを開いた釈迦を指します。
座禅修行を重視する禅宗の臨済宗、曹洞宗では「南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)」と唱えます。
釈迦牟尼仏に帰依します(心から頼りにします)という意味になります。
南無大師遍照金剛の宗派と意味
南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)は、真言宗の言葉になります。
大師遍照金剛は、真言宗の開祖、弘法大師空海のことです。
お大師様の慈悲に金剛石のような智慧に帰依します(心から頼りにします)という意味になります。
この記事を書いた人
廣田 篤 広島自宅葬儀社 代表
葬儀業界23年、広島自宅葬儀社代表。厚生労働省認定技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。前職大手葬儀社では担当者として 1500 件、責任者として1万件以上の葬儀に携わる。実母の在宅介護をきっかけに広島自宅葬儀社を立ち上げて現在に至る。広島市内だけでなく瀬戸内海に浮かぶ島々から、山間部の世羅町、神石高原町まで広島県内あらゆる地域の葬儀事情に精通する広島の葬儀のプロ。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。