身内が孤独死と警察署から連絡があった時、遺体引き取りまでの流れを解説
更新:2023.01.18
ある日突然、「お身内の方がご自宅でお亡くなりになりました」と連絡が入ると、誰もが気が動転してしまうでしょう。
ご遺体が警察署に運ばれる、急なことで何が何だか分からない中で、普段ほとんど接することのない警察との対応を迫られます。
身内を亡くした悲しみもあり、どうすればいいか分からずに困っている方、不安に思われている方のために、警察から連絡があった時にご遺族がとるべき対応や流れについて、解説させていただきます。
ご逝去後の流れ 2つのパターン
日本の法律では、ご逝去された方は、医師が死因などをきちんと判定してから、ご遺族に引き渡されることになっています。
判定には2つの方法があり、一つが病院の医師による「死亡診断」、二つ目は警察が介入する「死体検案」です。
両者はどのようなときに行われ、どのような違いがあるのでしょうか。
まずはこの2つの違いについて分かりやすく解説していきます。
病院の医師による「死亡診断」
病院でお亡くなりになった際は、担当医が故人様の死亡診断を行います。
これまでどのような病状だったかをすでに把握しているため、死因の判定は難しくありません。
介護施設や自宅でお亡くなりになった際でも、かかりつけの医師による継続的な診察がきちんと行われている場合であれば、その医師が死亡診断を下すこともできます。
医師は死亡診断の詳細を「死亡診断書」に記載し、これをご遺族に手渡します。
医師が故人様の逝去をたしかに認めたことを証明するもので、役所への死亡届を兼ねた書類となります。
発行料は5千円が相場です。
入院治療費の請求と合わせて後日請求となることが一般的です。
警察が介入する「死体検案」
警察が介入して、故人様の死因を特定するケースでは、少し流れが複雑になります。
▶警察が介入するのは、医師の継続的な診察がない時
医師による継続的な診療のない中でご逝去されたケースでは、警察が故人を引き取り、検案を通じて死因や死亡推定時刻を究明します。
具体的には、突然死、孤独死、事故死、自死などが挙げられます。
また、救急で病院に運ばれた方がまもなく息を引き取ってしまったケースでは、死亡地が病院であっても、医師による継続的な診療がない中で亡くなってしまったため、検案に引き継がれることもあります。
その他、医師の診療下にあったものの、死因が不明のケースでは検案を行います。
▶「検視」と「検案」
警察での死体検案は、主に検察官や警察官による「検視」が始まり、その後、法医学の専門の医師による「検案」が行われます。
検視とは、検察官や警察官によるお亡くなりになった場所の検証、病歴や病院への既往歴や遺体の外的な調査などを通じて、事件性の有無を確認することです。
その後、警察から嘱託を受けた警察医(監察院制度がある地域では監察医)が検案を行います。
法医学の見地から、死亡の事実を確認し、死因、死亡推定時刻などを総合的に判断します。
終わると、医師から「死体検案書」が手渡されます。
内容は「死亡診断書」と同じです。
発行料は2万円〜4万円が相場になります。
発行時にお支払いとなりますので現金の用意が必要です。
解剖検査の可能性
医師による死亡診断や、警察を介して行われる死体検案を経て、それでも死因が特定できない時、あるいは事件性の疑いがある時は、続けて解剖検査を行うことがあります。
この場合、ご遺体の引き渡しが少し引き延ばされます。
解剖検査には、次のような種類があります。
▶病理解剖
病院で亡くなった方の場合、今後の医学に役立てるための症例として、病理解剖を実施することがあります。
病理解剖は必ず遺族の承諾のもと行わなければならないため、承諾するかしないは遺族が判断できます。
▶行政解剖
警察署で行われる検案でも死亡原因が特定できない時、死因を究明するために行われる解剖検査です。
行政解剖が行えるのは監察医制度のある東京23区、大阪市、名古屋市、神戸市に限られ、遺族の承諾なしに警察署長の職権で行えます。
監察医制度のない地域でもこれに準じた形で、死因究明のための解剖検査を行うことがあります。
▶司法解剖
検視を経て事件性の疑いがある場合の解剖検査です。
最寄りの大学病院で行われます。原則、遺族の承諾が必要ですが、裁判所からの許可を得ることで遺族の承諾なしに行う事例もあるようです。
死体検案の流れ
それでは、死体検案をする時、どのような流れで進んでいくのかをさらに詳しく解説していきます。
発見・現場検証
故人様が発見されたら、発見者は速やかに警察に通報します。
警察が駆けつけると、まずは現場検証を行います。
故人様の様子、周辺状況を確認し、遺族や通報者に事情を聞くこともあります。
あわせて、警察から家族に連絡が入ります。
連絡を受けたらなるべく早めに駆けつけましょう。
すぐに駆けつけられない事情のある時は、事情を話して相談してみましょう。
検視・検案
検視や検案の多くは、故人を警察署の霊安室に移送して行われますが、場合によっては死亡地でそのまま行うこともあります。
家族は、検案が完了して故人が引き渡されるまでは警察の指示に従って対応します。
引き渡しまでには数時間のこともあれば、丸一日、または翌日にまたぐこともあります。
その間に、身内や関係者に連絡を取り合います。
また、早い段階で葬儀社に連絡しておくことで、検案終了後の動きがスムーズになります。
ご遺体の引き取り・死体検案書の発行
検案が終わると、医師から死因などの説明を受けます。
死体検案書が発行され、故人もご家族に引き渡されます。
地域によっては、病院に死体検案書を取りに行かなければならないこともあります。
引き渡し後は速やかに故人を警察署から搬送できるように、事前に葬儀社に連絡をして、安置場所を決めておきましょう。
行政解剖・司法解剖
検案でも死因が分からない、または事件性の疑いがある時に解剖検査を行うことがあります。
このようになった時は、解剖検査が終わり、故人が引き渡されるまでは警察の指示に従って対応します。
警察から連絡があった時に考えておく2つのこと
警察から連絡があったら、誰もが戸惑ってしまうものです。
身内を亡くしたことによる悲しさや自責の念が生じる上、普段不慣れなやりとりは、心身に大きな負担となってのしかかります。
あれこれ考えてしまう気持ちはよく分かりますが、警察から連絡があった時には、まずは次の2つだけを念頭に入れておきましょう。
検案が完了するまで警察の指示に従う
検案が完了するまでは、警察の指示に従わざるを得ません。
「〇〇時に▲▲に来ておいて下さい」
「故人様について少し話を聞かせて下さい」
「〇〇時ころまでに葬儀社の搬送車が到着するよう手配して下さい」
…など、さまざまな指示がありますが、これら一つ一つに対応します。
また、検視や検案などは、丸一日を要することや、日をまたぐことも少なくなく、解剖検査が行われるとなれば、さらに引き渡しまでの日が延びてしまいます。
何もできない時間が続くことは大変辛いことですが、その間にできることをしておきましょう。
早い段階で葬儀社に連絡しておく
そのために、ぜひともしておくべきなのは、少しでも早い段階で葬儀社を手配しておくことです。
依頼すべき葬儀社がない場合は、この時間にスマホやパソコンなどで葬儀社を探し、実際に連絡を取ることをおすすめします。
葬儀社はプロですから、検視や検案の流れを熟知しています。
「これからどうなるのだろう」と不安に感じている時だからこそ、経験豊かな葬儀社がそばにいてくれることが大きな安心につながります。
そして、検案はいつ終わるか分かりませんし、終わったらすぐに故人を搬送しなければなりません。
ですから早い段階で葬儀社を手配しておくことで、急な動きが生じてもすぐに対応できます。
故人をどこへご安置するか、葬儀をどのような形で行うかなども含めて、検視検案の待ち時間に、やがて決めなければならないことを事前に考えておくことができます。
事例 県外へ在住の家族が孤独死と警察から連絡
京都へ在住のA様は、ある日仕事中に家族が亡くなったと警察から知らせを受けます。
家の大家さんが発見されたこと、これから警察署に移動して検視、検案が行われることが知らされます。
葬儀社を探しておきなさいと言われたのがきっかけで、弊社へご連絡をされました。
弊社は検案終了後の死体検案書をA様の代わりに受け取りに伺い、火葬の手続き、火葬場の予約を代行させていただきました。
葬儀の日程は、A様が京都から現地に向かうことのできる日に調整させていただきました。
その間、A様は京都で仕事をしながら弊社からの進捗報告を待つ形です。
お休みが一日しか取れないという事情から、警察からの遺体引き取り日は葬儀当日とし、当日朝に京都から警察へ向かい、その足で弊社と一緒に葬儀場へ移動、葬儀〜火葬という流れで進みました。
なかなか日常生活では直面しづらいこのような状況でも、葬儀社に連絡すれば、警察へ訪れるのは葬儀当日の1日だけ、あとは葬儀社に全てお任せということもできるのです。
このように葬儀社はさまざまなケースに対応できる経験があります。
何をどうしていいか分からずに困っている方は、まずはお気軽に、広島自宅葬儀社にご相談下さい。
どんなささいなことでも構いません。親切丁寧に、アドバイスさせていただきます。
この記事を書いた人
廣田 篤 広島自宅葬儀社 代表
葬儀業界23年、広島自宅葬儀社代表。厚生労働省認定技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。前職大手葬儀社では担当者として 1500 件、責任者として1万件以上の葬儀に携わる。実母の在宅介護をきっかけに広島自宅葬儀社を立ち上げて現在に至る。広島市内だけでなく瀬戸内海に浮かぶ島々から、山間部の世羅町、神石高原町まで広島県内あらゆる地域の葬儀事情に精通する広島の葬儀のプロ。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。