お布施の領収書がない時のもらい方、対処法を解説
更新:2022.05.15
葬儀の際に用意したお布施は、葬儀にかかった費用として相続税申告の際に相続財産から差し引けます。
差し引けるのはわかっていても領収書がない場合、どうしたらいいのかお悩みになる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事ではお布施の領収書のもらい方、対処法について解説させていただきます。
お布施は相続税申告で控除可能
相続税法では、相続人が支払った葬儀費用を相続財産から差し引くことができます。
お布施も葬儀にかかった費用として扱われますので、つまりお布施も相続税申告の際は控除が可能なのです。
この場合のお布施とは、臨終〜葬儀終了までの期間中に発生したお布施になります。
葬儀が終わった翌日以降のお布施、例えば四十九日など法事のお布施は含まれません。
お布施が控除されるとわかれば、領収書が欲しくなるものですが、ほとんどの方は領収書が手元にない状態のはずです。
お布施の領収書がない理由
葬儀当日にお布施の領収書が無いのは当然
葬儀当日にお布施の領収書が無くても、慌てなくて大丈夫です。
私は過去1500件以上の葬儀をお手伝いさせていただきましたが、葬儀の場面で領収書のやりとりを行っているのを筆者は見たことがありません。
お寺様からすれば、お布施はお気持ちで金額が決まっていないもの、遺族から当日お布施がいくら包まれるのか、知る由もありません。
前もって領収書を用意することは困難なため、この時点で領収書が無いのは当然なのです。
なぜお布施の領収書がないことが多いのか
では葬儀後も領収書が無い状態が続くご遺族が多いのはなぜなのか。
これには理由が2つあります。
1つ目は、お布施は報酬ではないため、寄付の扱いとなり、領収書を発行する義務がないからです。
2つ目は、ご遺族から依頼を受けていないから発行していないのです。
お布施の領収書がない時の対処法
領収書がない時の対処法は2つあります。
寺院から領収書を発行していただく
お寺様がご遺族から依頼を受けていないため、領収書を発行していないのであれば、依頼をしましょう。
多くのお寺様は、快く発行してくださるでしょう。
私が過去にお手伝いさせていただいた葬儀の中には、会社の創業者をお見送りする社葬も何度かありましたが、会社が施主になる葬儀の場合、全てにおいて事後処理のために領収書が必要になります。
その時は、決まってお布施の領収書をお寺様へお願いしたものです。
一般の方の葬儀であっても「相続の手続きで必要だから」とご遺族から何度も相談を受けました。
その度に「お寺様へお願いしてみましょう」と案内させていただきましたが、今のところお断りされた記憶はありません。
自分で記録を残す
しかし中には領収書の発行は難しいとお断りされる場合もあるようです。
その場合は、ご自身で記録に残しましょう。
パソコンでWordやExcelを使って、箇条書きに残す。
それを印刷するだけで十分です。
いつ、どこで、誰の葬儀で、いくら支払ったのか、を抑えておきましょう。
必要なのは下記のポイントです。
・支払い日
・葬儀の場所
・誰の葬儀
・寺院の名前
・寺院の住所
・寺院の連絡先
お布施の領収書のもらい方
領収書をもらう手順は下記の通りです。
時期は、葬儀終了後、なるべく早めに行いましょう。
1.葬儀の翌日以降にお寺へ連絡をしましょう
連絡は電話で構いません。
葬儀でお世話になったお礼をまず伝え、それから領収書の発行を依頼しましょう
2.領収書の受け取り方法の確認
領収書の受け取り方法を確認しましょう。
自宅まで郵送いただくのは、お寺の手間を増やすことになるため、可能であればご挨拶をかねてお寺へ訪問するのが良いでしょう。
先方の都合に合わせて対応を心がけましょう。
3.訪問する場合は、葬儀の感謝を伝える
お寺へ訪問することになった場合、菓子折りを持参する必要はありません。
手ぶらで結構です、葬儀でお勤めいただいた感謝の気持ちを伝えるだけで十分です。
四十九日の日程が気になる方は、合わせて日時を相談しておくのもよいでしょう。
お布施の領収書の宛名、金額、日付は確認しておきましょう。
お布施以外に相続財産から控除できるものとできないもの
その他にどんなものが葬儀にかかった費用とみなされるのか、見ていきましょう。
見落としているものがあるかもしれません、確認することで気づく場合もあります。
相続財産から控除できるもの
・死亡診断書の発行料
・故人の捜索、故人の搬送にかかった費用
・火葬、埋葬、納骨にかかった費用
・通夜・葬儀にかかった費用
・通夜・葬儀にかかった飲食費
・会葬御礼代
・寺院へ支払ったお布施・戒名料
相続財産から控除できないもの
・香典返しの費用
・仏壇・位牌の購入代金
・墓石・墓地の購入代金、墓地の借入れ代
・墓石への彫刻代
・葬儀後日に行われた法事代
・通常葬儀に発生しない費用
この記事を書いた人
廣田 篤 広島自宅葬儀社 代表
葬儀業界23年、広島自宅葬儀社代表。厚生労働省認定技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。前職大手葬儀社では担当者として 1500 件、責任者として1万件以上の葬儀に携わる。実母の在宅介護をきっかけに広島自宅葬儀社を立ち上げて現在に至る。広島市内だけでなく瀬戸内海に浮かぶ島々から、山間部の世羅町、神石高原町まで広島県内あらゆる地域の葬儀事情に精通する広島の葬儀のプロ。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。