死亡届を出したら年金は止まる?死後、年金の手続きはどうすればいい?

更新:2024.05.04

年金をもらっていた方は、お亡くなりになると、年金を受給する権利は当然無くなります。

しかし、受給停止の手続きが遅れるなどすると、ご本人は亡くなっているのにも関わらず、年金が振り込まれてしまうこともあります。

そんなときも落ち着いて手続きをして、余分に受け取った年金を返金すればペナルティーがつくことはありません。

この記事では死後、年金の振込はどうなるのか、残された家族はどのような手続きを行ったら良いのかをわかりやすく解説させていただきます。

年金はいつ支払われる?

年金がどのように支払われるかは、受給している本人でなければ漠然としかわからないというケースが多いでしょう。

基本的に年金は、1ヶ月に1回ではなく、2ヶ月に1回支給されます。

支払いがあるのは、偶数月の15日です。

15日が土日祝日のときは、直前の平日に支払われます。

年金の支払月と支払対象月は、以下の通りです。

年金の支払月支払対象月
2月12月、1月分
4月2月、3月分
6月4月、5月分
8月6月、7月分
10月8月、9月分
12月10月分、11月分

※参考:日本年金機構「Q年金はいつ支払われますか。」

表からも分かるように、支払われるのは基本的に過去2ヶ月分の支給額です。

よって、死後すぐに正しく届出すれば、年金を余計にもらってしまう心配はありません。

まずは前提として「死亡届」の提出が不可欠

大前提として人が亡くなったら、必ず『死亡届』を市区町村の役所へ届出しなければなりません。

これを怠ると年金の支給停止手続きだけでなく、保険金の請求や亡くなったご本人名義の銀行口座を解約するなどといったことができないため、とても基本的な手続きといえます。

死亡届は、死亡を確認した医師から発行される『死亡診断書』と同じ紙面内にあります。

A3用紙の右側が死亡診断書、左側が死亡届です。死亡届に亡くなった方の氏名や本籍、住所などを書き入れたうえで、死亡の事実を知ってから7日以内に市区町村の役所へ届出します。

死亡届の記入は遺族が行いますが、役所への届出は、多くの場合葬儀社が代行してくれます。

死亡届を提出すると、火葬埋葬許可証が発行され、火葬ができるようになります。

年金事務所に受給者死亡届を届出する

年金事務所

年金を受給していた方が亡くなったら、年金事務所または街角の年金相談センターへ、『受給者死亡届(報告書)』を提出します。

亡くなった事実を知ってから、厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内に提出が必要です。

届出に必要な書類は以下の通りです。

・亡くなったご本人の年金証書

・死亡の事実を明らかにできる書類(死亡届のコピー、あるいは住民票の除票、戸籍抄本)

受給権者死亡届(報告書)(国民年金の窓口でも配布)

年金事務所への届出が不要な方もいる

日本年金機構にマイナンバーを収録している方は、年金事務所への届出は必要ありません。

つまり、マイナンバーを収録している方に限り、死亡届を提出すれば年金の支給は止まります。

マイナンバーの収録は、日本年金機構に『個人番号等登録届』を提出することで行います。

生前に収録を終えておくと、楽になります。

参考:日本年金機構「マイナンバーを届け出るには、どのような手続きが必要ですか。」

届出が遅れ、年金が余計に振り込まれた場合

受給権者死亡届の提出が遅れると、そのうちに気がついたら年金の支払月が来てしまい、亡くなった日以降の年金が振り込まれてしまうという恐れがあります。

その場合は、速やかに年金事務所へ事情を話し、超過受給分を返還しましょう。

届出がさらに遅れ、故意に届出をしなかったと判断された場合、詐欺罪を疑われることもあるため、必ず速やかな連絡が必要です。

未支給になっている年金を受け取れる場合もある

亡くなった方と生計を同じくしていたご家族がいらっしゃるなら、亡くなった月までの年金については、ご家族が受け取れる場合があります。

死亡の手続きをしたときに『まだ受け取っていない年金がある』

『亡くなった後に振り込まれた年金には、死亡した月のものが含まれている』という事情があれば、未支給年金を請求できます。

請求できるご家族様は、以下になります。

(必須条件:亡くなった方と生計を同じくしていた)

①配偶者

②子

③父母

④孫

⑤祖父母

⑥兄弟姉妹

⑦その他①~⑥以外の三親等内の親族

未支給年金を請求するときは、以下の書類を用意して年金事務所で手続きします。

・亡くなったご本人の年金証書

・亡くなったご本人と請求者の続柄が確認できる書類(戸籍謄本など)

・亡くなったご本人と請求者が生計を同じくしていたことが分かる書類(住民票など)

・受け取りを希望する金融機関の通帳

未支給年金・未支払給付金請求書(複写帳票)※3

亡くなったご本人と生計を一にしていたけれど、別世帯であった場合は、「生計同一関係に関する申立書」を用意します。

参考:日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」

年金受給者ではなかった場合も注目!遺族給付の手続き

お亡くなりになられた方ご本人が年金をもらっていた場合も、まだもらっていなかった場合でも、条件が当てはまれば遺族給付の支給対象になるかもしれません。

遺族給付を受け取るためにも、必ず年金の死亡手続きを行いましょう。

年金の遺族給付には、『遺族基礎年金』『遺族厚生年金』『寡婦年金』『死亡一時金』4種類あります。

それぞれ概要を説明させていただきます。

当てはまると思われる場合は、管轄の年金事務所に問い合わせましょう。

遺族基礎年金

亡くなったご本人が国民年金の被保険者であったり、すでに老齢基礎年金をもらっていたりする場合は、遺族基礎年金を受け取れる可能性があります。

遺族基礎年金を受け取れるのは、亡くなったご本人に生計を維持されていた子、または子のある配偶者です。

子どもがいない場合は、支給の対象外となります。

給付額は、老齢基礎年金の満額に子の加算額を足した金額です。

子の加算額は、第1子、第2子は各22万8,700円、第3子以降は各7万6,200円です(2024年4月現在)。

死亡一時金と寡婦年金

国民年金の被保険者がお亡くなりになったとき、その配偶者に子がないなどの理由で遺族基礎年金を受け取れない場合、それまでの保険料がまるまる掛け捨てになってしまうのを避ける意味合いで、死亡一時金か寡婦年金が支給されます。

両方の要件を満たす場合はどちらか一方しか受け取れません。

死亡一時金は、お亡くなりになった方の国民年金保険料の納付済期間が3年以上あった場合に、残された家族が受け取れます。

男性でも、女性でも受け取ることができます。

寡婦年金は、亡くなったご本人の妻(内縁の妻は除く)だけが受け取れるものです。

受給資格期間である10年以上の納付期間があり、婚姻関係が10年以上あった場合に支給されます。

受給期間は、妻が60歳から65歳に達するまでの期間です。

遺族厚生年金

遺族厚生年金は、厚生年金の被保険者や厚生年金を受け取っている方、あるいは1級・2級の障害厚生年金を受け取っている方がお亡くなりになったとき、お亡くなりになられたご本人の一定の家族が受け取れます。

遺族基礎年金と違い、子のない配偶者であっても受け取り可能です。

ただし、夫の死亡当時、30歳未満で子どもがいない妻の場合は、支給期間が最長5年になります。

年金額は、老齢厚生年金の報酬比例部分×3/4で、生前の給与等により違います。

死亡届を出した後は、すぐに年金手続きをしよう

以上、年金受給停止手続きについて解説しました。

年金の受給停止手続きの締め切りは、なくなったことを知った日から国民年金で10日、厚生年金で14日です。

短い期間でたくさんの届出をするのは大変ですが、遺族給付がもらえる可能性もあるため、きちんと届出しましょう。

なお、何もせずに放置しておくと、年金をもらいすぎてしまう可能性があります。

不正受給とみなされるのを防ぐため、なるべく早めに年金事務所へ連絡を入れましょう。

この記事を書いた人

奥山 晶子

葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。

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