遺品整理の費用はどのくらい?費用相場や料金を抑えるためのコツをご紹介
更新:2023.04.07
部屋の住み手が亡くなれば、必ず遺品が残ります。
亡くなった人が使っていたものを、処分や形見分けなどの方法で整理することを、遺品整理といいます。
遺品整理は従来、遺族が担ってきましたが、最近では遺品整理を専門に行う業者が増えてきました。
遺品整理を業者に依頼するときの費用相場や費用を抑えるコツ、料金トラブルを避けるための注意点について解説します。
目次
遺品整理が大変なときは専門業者への依頼が便利
亡くなった人の同居人が存在する場合、遺品整理はそれほど大変なものではありません。
しかし、故人の自宅が空き家となったときや、賃貸物件であった場合は、大がかりな遺品整理が必要になります。
昔から遺品の整理は遺族がやるものと考えられてきましたが、今では遺品整理を専門に行う業者が増えてきています。
遺族が遠方に住んでいるためなかなか片付けが進まない、賃貸物件だったため早急に引き払わなければならないなど、事情はさまざまです。
同居家族がいる場合であっても、残された配偶者が高齢で片付けが難しい場合などに、遺品整理業者は役立ちます。
遺品整理業者は何をしてくれる?
遺品整理業者が行うのは、主に以下の6つです。
遺品の仕分け
遺族に指示を受けながら不用品とそれ以外の物に仕分けを行います。
現金や通帳といった貴重品が発見されたら、逐一遺族に報告します。
ゴミの分別と処分
不用品の中からゴミとなる物を選び、自治体の分別法に従って分別し、処分します。
不用品の処分や買い取り
不用品のうち、買い手が現れそうな家財などについては買い取りを行います。
値のつかない不用品は処分します。
買い取り金額は、遺品整理費用から差し引かれて請求されます。
形見となるものの送付
遺族が「処分してほしくない」と願ったものや貴重品については、遺族に引き渡します。
遺族がその場に立ち会えない場合は、段ボール等に梱包して送付します。
供養品のお焚き上げ
そのまま処分するには忍びない、ぬいぐるみや人形などをお焚き上げし、供養します。
供養品をトラックで運び出した後、提携寺院等に持ち込んで読経してもらい、お焚き上げとします。
簡易的な清掃
仕事の最後にホウキや雑巾で簡易的な清掃をします。
以上のようなことを遺族の要望に応じて行います。
ゴミや不用品の処分だけを行うことも、生活していたままの状態からすっかり物を運び出すことも可能です。
遺品整理の費用相場
遺品整理の費用は、間取りや物の多さによって違ってきます。
多くの業者では間取りごとに目安の金額を定めており、費用相場は以下の通りです。
間取り | 作業人数 | 費用相場 |
ワンルーム | 1~2名 | 3万~7万円 |
1DK | 2~3名 | 5万~12万円 |
1LDK | 2~4名 | 8万~15万円 |
2LDK | 3~5名 | 12万~25万円 |
3LDK | 4~6名 | 15万~40万円 |
4LDK以上 | 5名~ | 25万円~ |
費用を決めるのは部屋数だけではありません。
物の多さによっても費用は変わります。
よって費用相場は、ご覧のように幅が大きくなります。
同じ1Kの部屋であっても、すっきり片付いた部屋と、ゴミがうずたかく積まれた部屋では、見積額がかなり違います。
事前により確実な費用を知りたい場合は、部屋に立ち会っての見積もりが必須です。
遺品整理の費用を抑えるためのコツ5つ
遺品整理は、以下の5つを行うことで費用を抑えることができます。
故人の自宅に通うことが可能な状況であれば、業者に依頼する前にぜひ行ってください。
依頼する部屋数を少なくする
普段あまり使っていなかった客間や、大きな荷物は布団くらいしかない寝室など、荷物が少ない部屋があるなら、他の部屋へ物をすっかり移動しておきましょう。
依頼する部屋数が少なくなれば、料金は確実に抑えられます。
前もって不用品の買い取りを終わらせておく
不用品の買い取りを遺品整理業者に依頼するのではなく、前もって地元のリユース専門店などに持ち込んだり、出張買い取りを依頼したりなどして終わらせておくと、遺品整理の費用は抑えられます。
遺品整理業者が買い取り査定をするための費用を抑えられるためです。
また、遺品整理業者が事前見積もりを行う前に買い取りを終わらせておけば、より物の少ない部屋になります。
結果、見積金額が安くなります。
数社から見積もりを取り寄せる
遺品整理業者によって費用は違います。
可能であれば3社程度から見積もりを取り、比較してみましょう。
ただし、あまりに安い金額をつける会社は不用品を違法投棄する可能性があるため要注意です。
相場からかけ離れた低額を提示する業者は避けましょう。
あらかじめ負担にならない程度の仕分けや処分を終わらせておく
遺品整理業者に依頼をする前にできる限りの仕分けや処分をしておくと、事前見積もりで作業負担のかからない部屋と判断され、見積額がより安くなります。
葬儀社などが行っている人形供養を利用する
葬儀社などが地元の僧侶に依頼し、人形やぬいぐるみの供養祭を行っているケースが各地で見られます。
ほとんどが参加無料なので、供養品がある場合は持ち込んでみましょう。
供養にかかる料金を減らすことができます。
遺品整理の費用でトラブルにならないための注意点
とくに費用面で遺品整理業者とトラブルにならないよう、大事な注意点をお伝えします。
必ず事前見積もりに来てもらう
遺品整理の費用は間取りの他、物の多さで決まります。
物が多いか少ないかは、かなり主観に頼ることです。
よって電話などで見積もりを済ませるのではなく、必ず現地を見てもらった上で見積もりをもらいましょう。
遺族が遠方にいるなどの理由で現地見積もりができない場合は、間取りを伝えた上で料金の上限を尋ねておくと安心です。
一戸建ての場合は庭の残置物や倉庫の中も見積もってもらう
事前見積もりの際に取りこぼしがあると、正式な請求金額が高くなってしまいがちです。
とくに一戸建ての場合は、庭にある物干し竿や植木鉢など、普段は荷物という認識を持っていない物も忘れずに見積もってもらいましょう。
なお、倉庫や車庫にバーベキューの道具、海水浴の遊具などは眠っていませんか。
一度調べてみるのがおすすめです。
目線より上の収納も忘れずにチェックを
台所の吊り収納や和室の天袋は、普段目に入らないことから存在を忘れがちです。
事前見積もりの前に一度目線を上げて、取りこぼしている収納がないかチェックしましょう。
宝飾品や骨董品が多い場合は鑑定士を別に呼ぶ
遺品整理業者が「自分たちの目では査定額がつけられない」と思うような宝飾品や骨董品は、専門の鑑定士に依頼するために一時預かりとなるケースがあります。
ただ、目利きの鑑定士とつきあいのある遺品整理業者ばかりとは限りません。
また、本当は値打ちのあるものでも、そうとは気づかず安値をつけてしまう業者も、ないとはいえません。
装飾品や骨董品が多い家は、前もって鑑定士を呼び、査定してもらう方が安心です。
賃貸の場合はハウスクリーニングが必要か、あらかじめ確認を
遺品整理をした後は、家財が置いてあったところに通常の清掃では取れないような汚れや日焼け、虫による侵食などが見つかることが多々ありますが、本格的なハウスクリーニングは遺品整理の依頼内容に含まれません。
ただ、賃貸の場合は原状復帰が求められる場合も多く、その際はハウスクリーニングが必要になります。
遺品整理とハウスクリーニングは分けて考え、それぞれ余裕を持って費用を用意するようにしましょう。
また、遺品整理が終わったらハウスクリーニングを行えるよう、あらかじめ準備しておくのも大事です。
なかにはハウスクリーニングを行っている遺品整理業者もあるため、そういった業者にオプションで依頼することも可能です。
残された想いを大事にする遺品整理
以上、遺品整理の費用や相場について解説しました。
業者を選定する際にはなるべく費用を抑える工夫をし、必ず事前見積もりを行ってもらいましょう。
なお、遺品整理においては、遺族の精神面をしっかりサポートしてくれるという視点で業者を決めるのも大事です。
整理せざるを得ないものはすでに「不用品」ですが、本当は本人さえ生きていれば、今もずっと使っていたもののはず。
ぞんざいに扱われては、遺族の心は傷つきます。
故人に敬意を払い、思いやりをもって遺品を取り扱ってくれる業者を選びましょう。
この記事を書いた人
奥山 晶子
葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。