お寺の参拝方法、お参りの仕方や知っておきたい意味やマナーをご紹介
更新:2023.08.11
初詣やお墓参り、お祭りなど、日常生活の中でお寺へお参りに行く機会は、少なからずあるものです。
その時にお寺へ参拝する時のルールやマナーを知っておくと役立ちます。
大人になっても意外と知らないこともあるものです。
仏様のご利益にあずかるためにも正しい作法を知っておきましょう。
お寺の参拝手順
まずはお寺へ参拝する時の手順は下記の通りです。
1.三門の前で合掌する
寺院に祀られているご本尊様に敬意を表して合掌、そして軽く頭を下げます。
2.手水舎で手と口を浄める
日常の罪や穢れを落とすため、手水舎で手と口を浄めます。
3.参道を進む
参道は、端を通るのが本来のマナーです。中央は仏様が歩くとされています。
4.鐘を鳴らす
「お参りさせていただきます」と挨拶の意味で鐘を鳴らします。
5.ローソクや線香を供える
ローソクの明かり、線香の香りは仏様を喜ばせるものです。
6.賽銭箱に賽銭を入れる
賽銭を入れるのは、募金ではありません。自分自身の修行でもあります。
7.おみくじを引く
引いたおみくじは、おみくじ掛けに結びましょう。
8.ご朱印を受ける
御朱印を受ける前に必ずご本尊様にお参りしましょう。
9.本堂に向かって合掌一礼
お寺へ入る時だけでなく、境内を出る時も合掌一礼しましょう。
以上が手順になります。
では下記からは、それぞれの場面で知っておきたい意味や作法を詳しく解説させていただきます。
知っておきたい合掌の意味
お寺に着いたらまず行うのが、三門の前で合掌です。
両手の手のひらを合わせ、頭を下げます。
この時に「お邪魔します」と心の中で言いながら行うことが大切です。
合掌は仏教が盛んなインド古来の礼法で、現在もインドや東南アジアでは、日常の挨拶として合掌をします。
合掌によって相手に敬意を表しているのです。
一般的な合掌は、両手の指をまっすぐに伸ばして、自分の胸の前で手のひらを合わせる「堅実心合掌(けんじつしんがっしょう)です。
これとは別に両手の指をそれぞれの間に入れる「帰命合掌(きみょうがっしょう)という形もあります。
一番丁寧な合掌は「五体投地(ごたいとうち)」と言い、両足の膝、両腕の肘、額と体の5箇所を地面につける合掌です。
一般の方にはあまり馴染みがありませんが、お寺によっては行っているところもあります。
いずれも合掌とは信頼や相手を敬う心を表しているものになります。
手水舎の作法と意味
お寺に入ると「手水舎(ちょうずや)」があるところが多く、ここでは仏様に会う前に自分の身を浄める意味があります。
昔から日本では神仏に近づく際にはまず自分の身を浄めるのがマナーとされていたようです。
神社に参拝する前に海や川に浸かったり、水をかぶったり、滝に打たれたり、全身を浄める「禊(みそぎ)」という行いがあります。
これを簡略化したものが、手水舎と言われています。
そのため、作法は神社もお寺も同じです。
手水舎の手順
1.左手を浄める
右手で柄杓を持ち、水を汲みます。左手に水を注ぎます。
2.右手を浄める
柄杓を持ち替えて、今度は左手で水を汲みます。右手に水を注ぎます。
3.口を浄める
再び右手で柄杓を持ち、水を汲みます。左手で水を受けて口をすすぎます。
4.柄杓(ひしゃく)を浄める
柄杓をまっすぐ立てて、残り水で柄杓の柄を浄めます。
鐘をつくのは仏様へのご挨拶
境内の中には「鐘楼(しょうろう)」という呼ばれる建物があり、鐘があります。
参拝する方が鐘をついても良いお寺とそうではないお寺があるので注意が必要ですが、もし鐘をついても構わないお寺であれば、ぜひ鐘をついてみましょう。
「これからお参りをさせていただきます」という仏様への挨拶になります。
元々は、まだ時計がなかった時代に、時刻を知らせる目的で使われていました。
僧侶に起床時間や就寝時間、集合時間など、鐘を鳴らして知らせるのです。
現代では夕方になるとお寺の鐘の音が聞こえてくる地域もあるでしょう、地域の人々へ時刻を知らせる音として親しまれています。
境内から出る時に鐘をつくと「出鐘」と言い、亡くなった人を送る時につく、出棺時の鐘になります。
縁起が悪いので、出るときではなく、これからお参りするタイミングで鐘をつきましょう。
お賽銭も修行の一つ
お寺の本堂入り口付近に賽銭箱がよく置かれています。
お賽銭の手順は、賽銭を入れ、鰐口(鈴)を鳴らし、合掌してお参りとなります。
お賽銭で注意いただきたいのが、賽銭は祈願成就の取引ではありません。
賽銭を入れたのだから、願いことを叶えて欲しいというのは誤りだということです。
正しくは、「ここに自分の欲を捨てさせていただきます。どうか良い方向にお導きください」という気持ちで行うものです。
賽銭をお布施と考えるのが、仏教的に正しい考え方と言えます。
お布施は悟りに至るための修行の一つ、「布施」になり、「惜しむことなく与る」という意味です。
ですから最も大切なのは、お布施をする気持ちなのです。
お守りを受けるタイミング
お守りは本来、「買う」とは言わず「受ける」が正しい言い方です。
本来、賽銭のお礼として寺院から贈られるものとされています。
仏様に挨拶をしていないのにお守りを受けるのは失礼ですから、必ず本堂に参拝を済ませてから受けるようにしましょう。
お守りの中には、内符と呼ばれるお札が入っています。
お寺のご本尊様の名前もしくは絵や経文が書かれていますので、仏様との縁をつなぐ大切な仏具になります。
引き出しの中にしまったままにするなど、粗末な扱いをしてはいけません。
常に身につけておく、もしくは宗派ごとの決められた作法で家内に祀って毎日拝むのがマナーです。
おみくじも仏様への挨拶を済ませてから引きましょう。
仏様からのお示しを読み終えたら、境内の決められた場所に結びます。
仏様におみくじを返し、縁を結んで帰るのです。
ご朱印集めの仕方
ご朱印は、お寺の名前、ご本尊様の名前、参拝年月日などが墨で書かれたものです。
元々、写経を寺院に納めた時にいただく証だったのですが、今では参拝した証にいただく印となっています。
スタンプラリーのように各地のご朱印を集める方も多くいらっしゃいます。
ご朱印は参拝をしてからいただくのがマナーです。
相場は300円程度で、金額を指定していないお寺もありますが、その場合は300円程度支払えば問題ありません。
ご朱印はご本尊様の分身ですから、ご朱印を押していただく際は、専用のご朱印帳を用意しておきましょう。
ご朱印帳は、寺社や文具売場で販売されています。
浄土真宗ではご朱印を出していないお寺が一般的なので、覚えておきましょう。
この記事を書いた人
廣田 篤 広島自宅葬儀社 代表
葬儀業界23年、広島自宅葬儀社代表。厚生労働省認定技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。前職大手葬儀社では担当者として 1500 件、責任者として1万件以上の葬儀に携わる。実母の在宅介護をきっかけに広島自宅葬儀社を立ち上げて現在に至る。広島市内だけでなく瀬戸内海に浮かぶ島々から、山間部の世羅町、神石高原町まで広島県内あらゆる地域の葬儀事情に精通する広島の葬儀のプロ。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。