葬儀費用はタンス預金で支払ってもいい?相続時に気をつけたいこと

更新:2024.12.05

故人のタンス預金を葬儀費用に充てようと考えている方はいませんか。

タンス預金を使って葬儀費用を支払うことは、何ら問題のある行為ではありません。

しかし、相続のときにタンス預金の存在をうっかり忘れてしまっていたり、タンス預金から葬儀費用を出したことを家族に言わないままだったりすると、問題になるケースもあります。

タンス預金から葬儀費用を支払う場合の注意点を解説します。

「タンス預金で葬儀代を支払ってほしい」生前に頼まれることがある

タンス預金とは、銀行などへ預けずに自宅で保管している、まとまった現金のことです。

タンス預金といってもタンスに現金が入っているとは限らず、金庫にしっかり保管されてある場合もあります。

終活を始めた両親などから「葬儀代はタンス預金で支払ってほしい」との希望を受ける子世代もいるでしょう。

この場合、ご両親が危惧しているのは、自らの死後に銀行の口座が凍結されてしまうことです。

銀行口座が凍結されれば、現金を引き出すことはできません。

すると喪主となる子世代は、凍結が解除されるまで葬儀代を立て替えておくしかありません。

百万円を超えることも珍しくない葬儀代を、子世代に立て替えさせるのは忍びない。

そんな気持ちで、ご両親はまとまった現金を家に残してくれるのです。

銀行口座はいつまで凍結される?

口座の契約者が亡くなったことを銀行が知ると、相続が終了するまで銀行口座は凍結されます。

相続人の共有財産である遺産を守るためです。

口座の凍結を解除するには、口座にある預金の相続人が決まったことを証明する書類を提出しなければなりません。

相続人の確認ができる戸籍謄本や、遺産分割協議書または遺言書が必要です。

これらの書類を葬儀前に揃えるのは難しいことです。よっていったん口座が凍結された場合、葬儀前に故人の口座から現金を引き出すのは困難といえます。

葬儀費用はタンス預金で支払って良い

葬儀費用は、故人のタンス預金で支払っても問題はありません。

もし故人が生前に「これを葬儀代に使ってほしい」と明示していなくても、故人のタンス預金を見つけたら、葬儀費用として使えます。

ここで重要なのが、タンス預金の元々の金額を覚えておくことと、葬儀代の領収書を取っておくことです。

相続のとき必要になります。

「親のお金を葬儀に使ってしまっていいものか? 喪主が負担すべきでは?」と悩む方もいるでしょう。

葬儀費用を誰が負担すべきか、正しい答えはありません。

遺産から出すか、喪主が負担するか、子世代が折半するかなど、近親者が話し合って決めるべきものです。

ただし、相続放棄を考えている場合は、故人のタンス預金に手をつけてはなりません。

葬儀費用に限らず、故人のタンス預金から何らかの支払いをすれば、相続の意思があるとみなされてしまうためです。

相続の時は葬儀費用を引く前のタンス預金額を忘れずに計上する

葬儀費用をタンス預金から支払った場合、大事なのは相続に反映させることです。

タンス預金も遺産の一部なので、葬儀費用を支払う前の金額をしっかり把握しておき、相続財産としてプラスすることが必要になります。

なぜなら、タンス預金から支払った葬儀費用は、故人が亡くなった後に生じた出費だからです。

故人が亡くなった時点で、相続するべき財産は確定します。

つまり、葬儀費用を引く前のタンス預金額が「相続するべき財産」として正しい金額のため、もともとの金額を計上する必要があるのです。

銀行に預けた預金、葬儀費用を引く前のタンス預金、不動産、生命保険、株、自動車、宝飾品など全ての財産の価額を足して、遺産総額を算出しましょう。

そして、相続税がかかるかどうか計算しましょう。

もしタンス預金の存在を忘れたまま相続を進めてしまうと、遺産総額が実際よりも低く算出されてしまいます。

すると、相続税がかかるケースでは、後でタンス預金の存在が判明すれば、脱税とみなされてしまいます。

参考:No.4105 相続税がかかる財産(国税庁)

No.4152 相続税の計算

全ての相続財産価額が出たら、そこから葬儀費用を差し引きして良い

葬儀費用を差し引く前のタンス預金を相続財産に加え、総遺産額が算出されたら、遺産分割協議に入ります。

相続人のうち、誰が何を相続するかを決定する会議です。

喪主は、遺産分割協議の場で、タンス預金から葬儀費用を出したことを告げ、葬儀費用の領収証を明示しましょう。

そして、相続財産から葬儀費用を差し引くことについて、相続人全員の許可を取ります。

相続人全員の許可を得たら、葬儀費用を差し引いた相続財産について、誰が何を相続するか話し合いを始めます。

これで、相続人全員が納得した上での相続ができます。

相続税がかかる場合、葬儀の費用として相続財産から控除できる項目、できない項目は以下の通りです。

【葬式費用として控除できる項目】

・葬儀の儀式のためにかかった費用(祭壇料や棺、遺影のための料金など)

・火葬埋葬、納骨のための費用

・遺体や遺骨の回送にかかった費用

・宗教者へのお礼(御布施など)

・遺体捜索にかかった費用

【葬式費用として控除できない項目】

・香典返しのためにかかった費用

・墓石や墓地の費用

・初七日や法事の費用

なお、葬式費用として控除できない項目であっても、それは「相続税の控除対象にならない」だけであって、喪主が負担すべき金額であるというわけではありません。

相続人全員の了承があれば、遺産総額から差し引くことが可能です。

葬儀費用は香典で支払っても問題ない

葬儀 香典受け取り

葬儀で受け取った香典を葬儀費用に充てたいと考える人もいるでしょう。

香典はもともと「葬儀費用の足しにしてほしい」という気持ちから寄せられるものなので、葬儀費用に充てるのは理にかなっています。

もし葬儀費用の全てをタンス預金から出すとなると、香典はそのまま喪主の懐に入ってしまうことになります。

香典を葬儀費用に充て、それでも足りなかった部分を故人のタンス預金から引き出して充当させれば、より平等な相続となるでしょう。

ただ、いただく香典は今後生じる香典返しの費用としても充当させなければなりません。

また、喪主は祭祀の承継者としてその後も法事を主催したり、墓地を管理したりする義務が生じます。

香典をどう扱うかに限らず、遺産分割の際には、祭祀承継者の今後の負担分を考えた相続を意識するのが重要になるでしょう。

タンス預金に頼らなくても葬儀費用を払える2つの方法

葬儀費用は、タンス預金に頼らなくても支払うことが可能です。

1つめの方法として、葬儀保険の活用が考えられます。

葬儀保険では、葬儀で必要になる100万~200万円を、契約者が亡くなったら速やかな審査で受け取ることが可能な保険です。

請求から受け取りまで数日というケースが多いため、葬儀費用の支払いに間に合います。

2つめの方法として、「遺産分割前の相続預金の払い戻し」(仮払い制度)の利用が考えられます。

「故人の戸籍謄本または全部事項証明書」

「相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書」

「預金の払い戻しを希望する人の印鑑証明書」

の3つを揃えて金融機関へ出向けば、1つの金融機関につき150万円を限度に一定の金額を払い戻しできます。

参考:遺産分割前の 相続預金の 払戻し制度(一般社団法人全国銀行協会)

もし銀行口座の凍結が不安な場合は、亡くなる前の対策として葬儀保険を活用するか、子世代に仮払い制度の存在を伝えておくのがいいでしょう。

この記事を書いた人

奥山 晶子

葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。

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