お寺・寺院で行う葬儀は厳かで経済的、寺院葬の可能性を考える
更新:2022.08.17
現在、ほとんどの葬儀はセレモニーホールで行われていますが、コロナ禍において、にわかに注目を集めているのが、自宅での葬儀、そしてお寺での葬儀です。
私たち、広島自宅葬儀社は、ご家族が住み慣れた場所でのアットホームなお葬式を提案していますが、と同時にお寺の本堂での葬儀にも大きな可能性を感じています。
この記事では、お寺で葬儀を行うことのメリットと、注意点について、社会的な背景もふまえて、考察してみようと思います。
かつて葬儀は自宅やお寺で行われていた
現代の私たちは、「お葬式はセレモニーホールで行うもの」と思いがちですが、実際にはその歴史はまだまだ最近のものであるということはあまり知られていません。
葬儀会館が建ち始めたのは戦後の高度成長期以降の話で、それまでは、自宅やお寺で葬儀を行うのが当たり前だったのです。
全日本冠婚葬祭互助協会の調べでは、1990年まで、葬儀の場所は自宅が主流でしたが、1991年以降は葬儀会館が逆転します。
そして2011年以降に至っては、85%以上の人が葬儀会館を選んでいるのです。(全互協冠婚葬祭アンケート:平成27年 )
かつての日本家屋は、家の中で婚礼や葬儀や法事などの冠婚葬祭が執り行えるように設計されていました。
しかし戦後になり、農村から都市へ移り住む人が急激に増えることで住宅事情も大きく変化します。
コンパクトな戸建てや、マンションやアパートなどの集合住宅から、冠婚葬祭の儀式を行う空間が消えてなくなり、そのため、都市の中に葬儀専門の会館が建つようになったのです。
初期の葬儀会館は、会員制度をとっている冠婚葬祭互助会系列の施設が多く、会員になるとお寺で葬儀を行うよりも安く済む、手間が省けるとPRする企業が多くありました。
地域住民にとって、地域の誰かが亡くなるとお葬式は一大イベントと化します。
お寺で葬儀を行う場合は準備の負担があり、お寺の使用料が発生することも多かったため、次第に葬儀会館で行う比率が高まります。
お寺としても身一つで葬儀会館へお参りに行くことが増え、次第に「葬儀会館で葬儀」が一般的になっていきました。
コロナ禍社会で注目される自宅葬と寺院葬
コロナ禍によって、三密防止、ソーシャルディスタンスなどが謳われるようになり、葬儀は大きく縮小します。
つまり、参列者を最小限にして家族や親族だけで葬儀を行う家族葬への関心が、より強まったのです。
そうすると、次のような素朴な疑問が立ち上がってきます。
「小規模な葬儀をはたしてセレモニーホールで行う必要があるのだろうか」
小規模の家族や親族だけの葬儀なら、もはや法事と同じような感覚で行えます。であるならば、自宅やお寺で充分ではないかと考える人が増えてきたのです。
自宅は、家族や故人が住み慣れた場所で、アットホームな雰囲気。
お寺は仏さまがおられる宗教空間で、荘厳な格調高い雰囲気。
ともに、セレモニーホールのような利便性や合理性には欠けるかもしれませんが、家族のあたたかさや、仏さまの厳粛さを感じられる場所で葬儀をしたいという声は、にわかに増えつつあります。
お寺で葬儀 メリット
それでは、実際にお寺で葬儀を行うことで、どのようなメリットがもたらされるのでしょうか。
伝統的な荘厳、おごそかな雰囲気
お寺の本堂の中央には、ご本尊となる仏さまが祀られており、そのまわりには伝統的な荘厳が飾られています。
そのおごそかさや壮大さは、お寺という場所が何百年もの長い歴史を持っているからこそ可能なものです。
セレモニーホールでは絶対に味わうことのできない奥深さの中で、大切なご家族を送り出せます。
これこそが最大のメリットで、お寺と付き合いのある方には選択肢の一つとして考えてみる価値があります。
葬儀費用を安く抑えられる
葬儀費用で最も単価の高いものが祭壇です。しかしお寺で葬儀をする場合、すでに本堂には立派な荘厳が飾られているため、新たに祭壇を設える必要がなく、棺を安置し、両脇にお花を並べるだけなので、費用を大幅に安く抑えることができます。
スタッフの人件費なども大幅に節約できるでしょう。
また、以前はお寺で葬儀を行うと5万円〜10万円の使用料がかかっていたものですが、近年は葬儀利用のための会場費は不要とおっしゃるお寺も増えています。
お寺は檀家たちがお金を出し合って支えている場所なので、時代の変化と共にお寺も変わり、檀家であれば葬儀会館よりも安く利用できることが多くなりました。
お寺との付き合いが始まり、安心して供養ができる
お寺で葬儀をすることで、家族にとってはそのお寺により親しみを感じられ、葬儀後の法事やお墓参りなどがしやすくなるでしょう。
また、お寺は葬儀や法事のためだけの場所ではありません。
悩み事があればお坊さんが相談に乗ってくれますし、仏教の教えを学べる場所でもあります。葬儀がきっかけとなり、お寺との新たな仏縁がつながります。
家の近くで葬儀ができる。ご近所からの参列も可能
家の近くのお寺で葬儀をすることで、家族にとっての負担が軽減されるだけでなく、ご近所の人たちにも最後のお別れに参列してもらえます。
「ご近所さんは同じお寺の檀家」というケースは比較的多く、家族や親族に加えて地域の人たちも一緒に送り出すあたたかい葬儀が可能となるでしょう。
寺院葬の注意点
ここまで寺院葬への期待やメリットについてまとめてきましたが、まだまだ葬儀会館でのお葬式が主流なため、いざお寺で葬儀をしようとすると不馴れに感じる部分があるのは否めません。
お寺で葬儀をする際の注意点について、押さえておきましょう。
檀家に限定される場合が多い
本堂の利用を檀家限定とするお寺は少なくありません。
というのも、お寺という仕組みが、そもそも檀家たちが寄り集まって支えるのが基本だからです。
檀家全員でお金を出し合い、年に数回の清掃作業を行い、定期的な法要や行事に参加することで、お寺は維持されているのです。
ですから、檀家以外の人にお寺を貸し出すことに抵抗感を持つ人も少なくないのです。
もしも自身がお寺の檀家になっている場合は、まずはそのお寺に、本堂で葬儀ができるのかどうか、事前に確認しましょう。
お寺の檀家になっていないのであれば、檀家でなくても葬儀を執り行えるお寺を探すことが先決です。
お寺探しでお困りの方はどうぞお気軽に広島自宅葬儀社にご相談下さい。
檀家でなくても葬儀が行えるお寺をご紹介させていただきます。
快適性は良し悪し
施設の快適性には良し悪しがあるでしょう。セレモニーホールは通夜葬儀の2日間を快適に過ごせるよう、親族の控室、シャワールーム、安置室など、さまざまな施設が整っています。
また、公共交通機関で参列しやすい場所に出店していたり、車で来場される方のために駐車場を確保していたりと、アクセス面での配慮も目立ちます。
ほとんどのお寺には、セレモニーホールほどの設備は整っていません。
控室は畳の座敷で、テレビやソファやシャワールームを完備したお寺はなかなか見られません。
また、駐車台数に限りがあるなど、場所によってはアクセス面で不便を感じるかもしれません。
宿泊ができないこともある
通夜の夜に故人様と寄り添いたいと希望しても、宿泊できないお寺もあります。
そもそも宿泊に必要な部屋や設備が伴っていないことが多いことに加え、お寺には住職の家族が日常的に生活をしています。
本音として、夜通し遺族が境内で過ごすことを敬遠したいと考えるお寺もいらっしゃるでしょう。
一方で宿泊可能なお寺、飲食が可能なお寺ももちろんありますので、ここに関してはお寺による部分が大きいと言えます。
寺院葬の普及には、お寺側の覚悟が求められる
利用者にとっては、メリットばかりの寺院葬ですが、お寺側の視点に立つと、大変なことばかりです。
訃報が入ると、本堂の掃除や、家族と葬儀社との打合せなど、すぐに受け入れの準備をしなくてはなりません。
また、2日にわたって家族や親族、葬祭業者の出入りがあることで、お寺に住む住職やその家族にとっては、どことなくあわただしい気持ちになってしまうでしょう。
そのため、寺院葬に踏み切るお寺は、まだまだ少数派であるのが現状です。
寺院葬のニーズがあることは間違いありませんが、普及するには、お寺側の一定の覚悟が求められるのです。
寺院葬のご相談は、広島自宅葬儀社へ
ここまで、寺院葬について考えてまいりました。
葬儀規模の縮小化により、大きな場所が必要とされなくなっている今、セレモニーホールでの葬儀だけでなく、徐々にではあるものの、葬儀の場所として自宅やお寺、その他の選択肢も選ばれてくるでしょう。
従来は、お葬式を考えるとき、参列者にとっての利便性を最優先で考慮する必要がありましたが、家族葬の多い現在は、自分達家族がどのように送りたいのかに焦点を当てることが出来る時代です。
利便性だけでなく、経済的であるかどうか、心を込められる場所かどうか、選ぶポイントは人それぞれで、故人を送る方法も多様化されました。
私たち広島自宅葬儀社は、一番故人様が落ち着ける場所、思い出のある場所、そして家族が心を込められる場所は愛着ある自宅だと考え、自宅葬を専門にお手伝いさせていただいています。
一方でお寺に想いがあった方のお葬式を考えたとき、寺院葬が最良のお見送りの形になる場合もあり得ると考えました。
心を込められるお葬式のお手伝いを信条としている限り、寺院葬のお手伝いも対応させていただかなくてはいけない。
現在、寺院葬を取り扱うさまざまなお寺とのつながりがあります。
広島県で寺院葬について詳しく知りたい方、寺院葬をご検討の方は、まずは広島自宅葬儀社にご相談下さい。
どんなささいなことでも構いません。お客様の声に耳を傾け、親切丁寧に、アドバイスさせていただきます。
この記事を書いた人
廣田 篤 広島自宅葬儀社 代表
葬儀業界23年、広島自宅葬儀社代表。厚生労働省認定技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。前職大手葬儀社では担当者として 1500 件、責任者として1万件以上の葬儀に携わる。実母の在宅介護をきっかけに広島自宅葬儀社を立ち上げて現在に至る。広島市内だけでなく瀬戸内海に浮かぶ島々から、山間部の世羅町、神石高原町まで広島県内あらゆる地域の葬儀事情に精通する広島の葬儀のプロ。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。