葬儀前に会いに行くときの服装は?弔問マナーをチェックしよう
更新:2023.08.06
最近は親族中心で小規模な葬儀を行う家族葬が増えてきました。
しかし生前に故人と交流のあった人のなかには、「式自体の参列は控えるが、最後に故人の顔を一目だけでも見たい」と考える人もいるのではないでしょうか。
葬儀に参列できなくても、式前に自宅へ弔問できる場合があります。
葬儀前に会いに行くときの服装など、マナーをご案内します。
目次
故人の死を悼むため家へ伺うことを「弔問」という
葬儀の前であれ、後であれ、故人宅や喪主宅へお線香をあげに行くことを「弔問」といいます。
弔問には、以下の2つの目的があります。
故人の死を悼む
葬儀の前であれば故人のお顔を拝見し、葬儀の後であれば遺影を見てお線香をあげることで、故人の死を悼みます。
故人の好物などを持参し、お供えする人もいます。
遺族を慰める
大切な人を喪った遺族にお悔やみの言葉を直接かけることで、遺族を慰めます。
葬儀に参列できない場合は香典を持参します。
葬儀前の弔問と葬儀後の弔問の違い
弔問において、葬儀前と葬儀後では全く違う点が一つあります。それは故人の存在です。
葬儀前であれば、故人が布団もしくは棺に横たわっており、お顔を見ながら最後の別れを告げることができます。
葬儀・火葬後は遺骨となっているため、お顔を見ることはできません。
どうしても最後に故人のお顔を見て別れを告げたい場合は、葬儀前に弔問することになります。
ただ、葬儀前の遺族は葬儀の準備で忙しいため、遺族への気配りが不可欠です。
ここに紹介するマナーをしっかり守り、失礼のないようにしましょう。
葬儀前に会いたい時、まず確認したいこと4つ
弔問する前に、まずは葬儀の知らせをじっくり読みましょう。
次の4つについてしっかり確認します。
式前の弔問を受け付けているか
家族葬を選ぶ人の多くは、親族だけで静かな見送りをしたいと考えています。
よって式前の弔問を受け付けていない場合もあります。
葬儀の知らせに「弔問はご遠慮ください」と書いてあったら、弔問は諦めましょう。
なお、なかには弔問可能な時間を定めている場合もあります。
最近多くみられるのが、葬儀が始まる前に式場で一般参列者の香典を受け付けるケースです。
ただこの場合、遺族には挨拶できますが、故人のお顔を見ることは難しいかもしれません。
故人はどこに安置されているか
とくに「最後にお顔を見たい」と考えている人は、弔問場所に注意が必要です。
故人が葬儀社などの安置施設に安置されている場合、喪主宅を訪ねても目的は果たせません。
安置施設への弔問を受け付けている場合、葬儀の知らせに施設の場所や対面可能な時間が記されていることが多いため、しっかり確認しましょう。
香典を受け付けているか
葬儀の知らせに香典の取り扱いについて何も記載が無ければ、香典を用意して弔問しても構いませんが、香典を辞退する旨があった場合、弔問時に香典を持参するのはやめましょう。
「そうはいっても」と準備する必要はありません。
喪主を困らせないためにも、自己判断は避けます。
供物を受け付けているか
香典ばかりではなく、供花や供物を受け付けていない場合もあります。
葬儀の知らせに供物辞退の旨があったら、故人の好物やお花などを持参するのは避けます。
葬儀の知らせだけでは詳細が分からなければ、遺族に直接確認する必要があります。
電話の際には、最初にお悔やみの言葉を忘れずに。忙しい折ですから、用件は手短に済ませます。
葬儀前に会いに行くときの服装
葬儀前に会いに行くときは、喪服ではなく平服を着用します。
平服とは普段着ではなく、セレモニー用の服でもないお出かけ着のことです。
さらに弔事の場面では、地味めな色味を選びます。男女別に詳しく解説します。
男性
黒、紺、茶系といった地味な色味のスーツを着用します。
ネクタイも地味な色合いのものを、ワイシャツは白無地を選びましょう。
ベルトや靴下、靴、カバンは黒一色が無難です。
なお、スーツや小物はなるべく柄や装飾、光沢が入っているものを避けます。
無地を意識して選ぶのがポイントです。
女性
黒、紺、茶系といった地味な色味のワンピースに、同色系のジャケットを羽織ります。
スーツでも構いません。スーツの中のブラウスは白か、黒、紺、茶系を選びましょう。
ストッキングは肌色でも黒でも構いません。靴やカバンは黒一色でまとめます。
アクセサリーは、結婚指輪以外はつけないようにします。
髪をまとめる際は黒ゴムを利用し、装飾がついたヘアアクセサリーを使用しないよう気をつけます。
葬儀前に会いに行くときの持ち物
必要最低限の持ち物を用意します。
香典
香典を辞退していない場合は、香典を持参します。
香典袋や袋の表書きにはいくつか種類があるため、宗派を確認して用意する必要があります。
表書きについてや金額相場、香典袋の包み方などについては以下の記事でご案内していますので、参考にしてください。
数珠
宗派が仏式の場合は、数珠を用意します。
仏式以外では数珠を使いませんので、持参しないようにしましょう。
ハンカチ
弔問に持参するハンカチは、白もしくは黒の無地が望ましいとされています。
葬儀前に会いに行くときのマナー
葬儀前の弔問マナーを、順序立ててお伝えします。
ご挨拶
出迎えてくれた遺族に「このたびはご愁傷様でした」
「お悔やみ申し上げます」とお悔やみの言葉を告げてから、「お線香をあげさせてください」と伝えます。
「どうぞお上がりください」と言われたら靴を脱ぎ、仏間などへ向かいましょう。
霊前で手を合わせる
故人が安置されている布団あるいは棺まで案内されたら、正座して故人に向かって手を合わせ、低頭して祈りを捧げます。
故人のお顔が白い布で隠されており、お顔を見たい場合は遺族に「お顔を拝見してもよろしいですか」と尋ねます。
遺族が白い布をとったら静かに拝顔し、また合掌しましょう。
故人に「お疲れ様」などと声をかけても構いません。
遺族に「ありがとうございました」と述べ、焼香台に向かいます。
線香をあげる
焼香台で線香をあげます。
遺族に一礼してから座布団へ座り、焼香台の向こうの故人や遺影に一礼して線香をあげましょう。
線香は立ててお供えする宗派が大半ですが、なかには寝かせる宗派もあるため、香炉の中をよく見て前の人にならいましょう。
線香の本数についても宗派ごとに決まりがありますが、一般参列者はそれほど気にしなくて構いません。
葬儀前は他にもたくさん線香をあげる人がいるため、1本だけお供えしします。
線香をあげたらその場で合掌、低頭し、故人の冥福を祈ります。
おりんが置かれている場合、おりんを鳴らしてもいいでしょう。
合掌をし終えたら、もう一度故人に向かって一礼します。その後、座布団から離れて遺族へ向き直り、一礼します。
香典や供物を渡す
遺族に香典や供物を渡します。
直接お供えするよう案内されたら、焼香台の脇や祭壇に置かれている黒いお盆に香典を載せましょう。
供物は供物台か、供物台がなければ焼香台の脇に置きます。
おいとまする
遺族は疲れが溜まっている上、葬儀の準備もしなければなりません。
遺族に労いの言葉をかけた後は、なるべく長居せずおいとまするのが理想的です。
あるいは「何かお手伝いできることはありませんか」などと声をかけてみましょう。
葬儀は人手が足りなくなるものです。
弔問客に出すお茶やお茶菓子の手配、子どもの世話、たくさん持ち込まれる供花の手入れなど、自分にできそうなものがあったら積極的に手伝います。
葬儀前に会いに行くときはトータルマナーに気をつけよう
葬儀前の弔問において、服装はもちろん大事です。
しかし服装と同じくらい気をつけなければならないマナーがたくさんあります。
遺族はどんな状況なのか想像力を膨らませ、適切なふるまいをするのが大事です。
故人との最後の対面がかけがえのない時間となるよう、気をつけて行動しましょう。
この記事を書いた人
奥山 晶子
葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。