死亡届はなぜコピーが必要?コピーを忘れたときの対処法も紹介
更新:2023.07.01
死亡届とは、人が亡くなったとき役所に届ける書類です。
死亡届は役所で受理された後、身内の手に戻ることはありません。
しかし生命保険金の請求などさまざまな場面で死亡届のコピーが必要になります。
必要になる場面やコピーの方法、コピーをし忘れてしまったときの対処法について解説します。
目次
死亡届とは役所に死亡の事実を知らせる書類のこと
死亡届とは、死亡したことを役所に知らせるための書類です。
役所側は死亡届を受け取ると戸籍に死亡の記載を行い、住民票を抹消します。
死亡届の提出期限は亡くなった日を含めて7日目です。
届出人である身内などが、何らかの事情により死亡の事実を後で知った場合は、死亡の事実を知った日から7日目が期限となります。
死亡届が受理されると、引き換えに火葬埋葬許可証が発行されます。
火葬埋葬許可証は火葬をするとき必要になる書類です。
よって実際には、提出期限に関わらず火葬の日までに手続きを済ませます。
死亡届のコピーは亡くなったことを公的に証明する書類になる
死亡届は役所に受理された後、身内の手には戻りません。
しかし死後手続きのさまざまな場面で、死亡届のコピーが必要となる場合があります。
死亡届は、亡くなったことを公的に証明できる書類の1つだからです。
亡くなったことを公的に証明できる書類としては、他に住民票の除票や除籍抄本・謄本があります。
しかしそれぞれ取り寄せるには手続きや費用が必要です。
また、死亡の事実が戸籍に反映されるまでは数日かかります。
死亡届のコピーを取っておけば、すぐに手続きが必要になったときにもスムーズに対応できて便利です。
死亡届のコピーが必要になる場面
死亡届のコピーが必要になるのは、次のような場面です。
各種保険金の請求
生命保険金、医療保険の保険金など。
なかでも葬儀保険は申請すれば数日で保険金が支払われることから、死亡後すぐに必要な現金を確保できると人気です。
死亡届のコピーを取っておけば、スムーズな手続きが可能になります。
年金受給手続き
遺族が未受給年金を受け取る場合や、遺族年金の手続きに必要となります。
携帯電話の解約手続き
契約者が亡くなったことを確認する書類としては、死亡届のほか、葬儀案内や会葬礼状などでもよいとするケースがみられます。
公共料金の名義変更手続き
電気やガス、水道の名義変更手続きに死亡届が必要な場合があります。
死亡届のコピーでは難しい場面とは
銀行口座の名義変更
このほか、銀行口座の名義変更手続きでも口座名義人の死亡を公的に証明する書類が必要ですが、相続関係を明らかにするため名義人とその相続人の関係が確認できる戸籍謄本を用意しなければなりません。
このため、亡くなった事しか確認できない死亡届の必要性は低くなります。
学校や会社を休む場合の葬儀証明書
葬儀に参列するために会社や学校を休む場合、葬儀に参列したことを証明する葬儀証明書の提出を求められることがあります。
死亡届は亡くなった事は証明できますが、いつどこで葬儀を行なったかは記載されていません。
そして死亡診断書には、生年月日、死因や亡くなった場所、時間などが詳細に記されています。他人に見せる必要のない個人情報まで含まれています。
このような場合は、葬儀参列の際にいただいた会葬礼状、もしくは葬儀社から葬儀証明書を発行してもらって対応しましょう。
詳しくは下記の記事で詳しくご紹介していますので、よかったらご覧ください。
死亡届の提出方法
死亡届は以下の手順で提出します。
1.死亡を確認した医師から死亡診断書を受け取る
死亡届は、死亡診断書と一体化された一枚の紙です。
A3サイズの紙の右側が死亡診断書、左側が死亡届になっています。
まずは病院等で、死亡を確認した医師から死亡診断書を受け取ります。
病院ではない場所で亡くなり、遺体の検案が入った場合には「死亡診断書」ではなく「死体検案書」となります。
死体検案書も、A3用紙の左側が死亡届になっています。
2.必要事項を記載する
届出人となる遺族が、死亡届に必要事項を記載します。
故人の氏名、本籍地、戸籍の筆頭者などを書く欄があります。
また、届出人の住所、本籍、氏名を書く欄もあるため、故人と届出人の情報を混同しないよう落ち着いてしっかりと記入します。
届出人になれるのは親族のほか、同居者、家主、土地や家屋の管理人です。
後見制度を利用していた場合は後見人や保佐人、補助人、任意後見人、任意後見受任者が届出人になることもできます。
3.役所へ提出する
故人の死亡地か本籍地、あるいは届出人の所在地の役所へ死亡届を提出します。
提出するのは届出人のほか、委任者として葬儀社の人間を選んでも構いません。
実際、亡くなってから火葬までの日数が少ないなかなので喪主は身動きできず、葬儀社に代行してもらう家が多くみられます。
葬儀社のサービスに含まれているところは実際に多くあります。
死亡届は開庁日でなくても受け付けており、夜間も提出が可能です。
※夜間は受付できない市町村もありますので、事前に届出地の自治体へ確認をしましょう。
死亡届はどのタイミングでコピーする?
死亡届をコピーするタイミングは2つあります。
死亡届を提出する前に自宅やコンビニでコピーする
提出する前の死亡届であっても、証明書類としては十分に効力を持ちます。
自宅のコピー機で印刷するか、コンビニの印刷機を利用してコピーしましょう。
但し、葬儀社が予め家族の代わりにコピーを数枚とっておいてくれる所も多いので確認してみましょう。
死亡届を提出したときに写しを請求する
死亡届は他の公的書類と同様に、役所に写しを請求することができます。
ただし交付には数百円かかります。コンビニコピーのほうが割安です。
死亡届は何部コピーを取るとよい?
各手続き機関に死亡届のコピーを提出すると、多くの場合は遺族の手元に戻りません。
よって死亡届のコピーは複数枚取っておくのがおすすめです。
必要枚数は各家庭によって違いますが、3~5部は取っておきましょう。
亡くなってからしばらくはコピーが手元になくなってしまわないよう、最後の1枚を使うときに忘れずもう1~2枚コピーし、保管しておくのが大事です。
死亡届のコピーを忘れたときの対処法
死亡届の写し(戸籍届書記載事項証明書)は、後日請求することができます。
ただし、一定期間を過ぎると死亡届を提出した役所では手続きできなくなるため注意が必要です。
死亡届を提出したのが故人の本籍地の役所である場合は、死亡届を提出してから約1ヶ月以内に請求することで写しを受け取れます。
以後は本籍地を管轄する法務局へ請求しましょう。
故人の本籍地以外で手続きをした場合は、死亡届を提出してから約1年間以内であれば同じ役所で写しを受け取れます。
以後は本籍地を管轄する法務局へ請求しましょう。
どこで写しを受け取れるのかは、あらかじめ死亡届を提出した役所に確認するのがおすすめです。
また、請求できる人は家族や親族などの利害関係人で、死後手続きに必要など特別な事由がある場合に限られます。
他の書類で代用できる場合もある
死亡届のコピーだけを公的書類として認めている機関はあまり多くありません。
死亡を確認する書類の1つとして認められているのなら、他の書類で手続きができる可能性があります。
もし死亡届のコピーを忘れたり、コピーが足りなくなってしまったりしたら、別の書類で代用できないか確かめてみましょう。
死亡届のコピーは忘れにくい場所に保管を
死亡届のコピーは紛失しがちです。なぜかといえば、大事な身内が亡くなり葬儀の準備でバタバタしている最中に「コピーしておきました」と葬儀社から手渡されるものだからです。
「これは大事なものだ」と頭ではわかっていても、葬儀社からの請求書や喪主挨拶の原稿、弔電、香典袋などに紛れてしまうことがあります。
とはいえ、「大事なものだからどこか違う場所に置いておこう」と思って行動すると、肝心なその場所を忘れてしまう可能性があります。
過去には死亡届のコピーを仏壇に飾っておいた方が、親族から「葬儀のときは仏壇を閉めるものだ」と言われ慌てて閉めたところ、コピーが目に入らなくなり、紛失したと思い込んでしまったケースもみられます。
※仏壇の扉を閉めない宗派もあります。
葬儀の準備で混乱している間は無理して整理しようとせず、葬儀までの間に発生した書類はざっくりひとまとめにしておくのがおすすめです。
可能であればお菓子の空き箱などを1つ用意してそこへ何でも入れてしまい、1日の終わり、あるいは葬儀が終了した後などにゆっくり整理してはいかがでしょうか。
できれば保管場所を家族で共有しよう
できれば葬儀最中に受け取った大切な書類を保管する時は、自分一人だけで行うのではなく、家族の誰かにも「ここに保管するからね」と伝え、複数で一緒に記憶を共有するのも良いでしょう。
一人では後日実際に必要になった際に、当時どこに保管したのか忘れがちなこともあり得ます。
そんな時も一緒に保管した家族の存在があれば、どこに保管したのか尋ねることができます。
複数の人間で保管場所を共有することは、当時の記憶が蘇る手助けとなるでしょう。
この記事を書いた人
廣田 篤 広島自宅葬儀社 代表
葬儀業界23年、広島自宅葬儀社代表。厚生労働省認定技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。前職大手葬儀社では担当者として 1500 件、責任者として1万件以上の葬儀に携わる。実母の在宅介護をきっかけに広島自宅葬儀社を立ち上げて現在に至る。広島市内だけでなく瀬戸内海に浮かぶ島々から、山間部の世羅町、神石高原町まで広島県内あらゆる地域の葬儀事情に精通する広島の葬儀のプロ。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。