死後の手続きを一覧で確認|残される人に迷惑をかけたくないという方へ
更新:2024.06.06
定年を迎える、年金を受け取り始めるなど、人生の終わりを考えるタイミングは人それぞれです。
「残される人に迷惑をかけたくないけれど、何から始めたらよいかよく分からない」という人におすすめなのが、まずは死後の手続きを一覧で把握すること。
自分が今からでもできることが明確になります。
目次
死後の手続きのために、今からできることもある
死後の手続きには、例えば葬儀の手配、役所への死亡手続き、遺品整理、相続関係、仏壇やお墓の手配などがあります。
以前は、亡くなってからのことを準備する人はあまりいませんでしたが、最近では「残される人が大変にならないように、できることは準備しておこう」という動きが広まっています。
死後の準備をしておくことは「終活」などとも呼ばれ、終活をサポートするサービスも生まれてきています。
この記事では、あくまで本人が、残される人が楽になるためにできることについて解説します。
まずは死後の手続きを一覧で確認
まずはどんな手続きがあるか、一覧で確認しておきましょう。
亡くなってからの時系列で表すと、死後の手続きには、以下のようなものがあります。
・葬儀の手配
・退院手続き
・役所手続き
・世帯主変更
・生命保険金の請求
・ライフラインの解約または名義変更
・クレジットカードの返却
・法要の準備
・仏壇・お墓の手配
・遺品整理
・相続手続き
・不動産の名義変更(相続登記)
それぞれの期限や行うことの詳細は、下記の「親が亡くなったらすることリスト|期限の近い順に時系列でわかりやすく解説」で詳しく解説しています。
死後の手続きのため、今からできる9つのこと
死後の手続きは膨大なものですが、本人が生前から少しずつ準備しておくことで、家族の負担が軽くなります。
健康なうちだからこそできる9つの準備についてご紹介します。
1.不用品や使っていない家財の整理
本人が亡くなってから遺族が行う遺品整理は、遺族が働き盛りだったり、遠方に住んでいたりすると、かなりの負担がかかります。
あらかじめ、本人が家の中をできる限り整理しておくと、遺族の負担が減ります。
「うちには不用品なんてない」と思っていても、いざ家の中を改めてみると意外と出てくるものです。
また、昔子世代が使っていた勉強机や、亡くなった配偶者のタンスなど、今はもう使い手がいない家財なども整理の対象にしましょう。
「いっそ断捨離したい」と思っている人におすすめの生前整理法は下記の「終活で断捨離するには?失敗しない生前整理のコツ」で紹介させていただいています。
2.生前の形見分け
家の整理をしていると、自分はもう使わない宝飾類を見つけることがあるでしょう。
「この指輪はぜひ長女に」など、すでに行き先が決まっているものは、早めに形見分けをしておくのも手です。
ただし、値の張る物を形見分けするときは、他の相続人にも一言報告しましょう。
自分の死後、形見を譲られた人が「生前に譲ってもらった」と主張しても、他の相続人が疑いを持ってしまうことがあるためです。
3.保険証書など財産の関連資料をまとめておく
本人が亡くなると、生命保険金を請求したり、銀行口座を解約したり、不動産の名義を変更したりといった手続きが必要になります。
残された人がスムーズに手続きできるよう、保険証書や銀行通帳、土地の権利書といった財産関連の資料を見つけ、ひとまとめにしておきましょう。
残される人が見つけやすいところに置いておくのが大事ですが、盗難の不安もつきまといます。
目立たず、かつ家族なら誰でも「ここに大事なものがある」と思い当たりそうな場所を選ぶのがおすすめです。
4.ライフラインの契約資料をまとめておく
電気やガス、水道、電話などの解約または名義変更が必要になったとき、スムーズに連絡先がわかるよう、ライフラインの契約資料を一つにまとめておきましょう。
5.葬儀の準備
多くの葬儀社が生前の見積もりを受け付けています。
葬儀社に行くと、希望の葬儀形式や宗派、演出などについて問われ、自分の希望する葬儀がどんなものかが明確になるでしょう。
数社から見積もりを出してもらい、納得のいく提案をしてくれた葬儀社があれば、家族に「もしものときはこの葬儀社に連絡を」と、見積もり内容とともに伝えておきましょう。
また、見積もりにある金額を用意しておきましょう。
6.お墓の手配
お墓は生前に買っておくことが可能です。
ただ、お墓参りをするのはあくまで遺される家族なので、家族の希望も反映しながらお墓を決めましょう。
昔ながらの承継墓(代々受け継がれていくお墓)の他、最近では承継者のいらない永代供養墓や、散骨などの選択肢があります。
7.仏壇の手配
お墓と同様、仏壇も生前に買っておくことが可能です。
仏壇は通常、喪主となる人の家に置かれるもの。
遺される家族がどのような仏壇を望んでいるのか、しっかり希望を聞きながら準備を進めましょう。
実際に購入するのではなく、購入のためのお金を用意しておくだけでも、家族は助かります。
8.遺言を書く
相続をスムーズにするために、遺言を書きましょう。
遺言の種類は、基本的に手書きで構成する「自筆証書遺言」と、公正証書の形に残す「公正証書遺言」の2つが代表的です。
自筆証書遺言は、遺族が見つけてもすぐに開封してはならず、家庭裁判所による検認が必要でした。
しかし法務省が自筆の遺言を保管してくれる「自筆証書遺言書保管制度」ができてから、保管されている遺言書に関しては検認が不要になりました。
また、財産目録についてはパソコンで作成してもよいなど、遺言書を作るハードルが下がってきています。
9.スマホの中の情報を改めておく
親しい人の電話帳など、スマホの中だけで完結してしまっている情報はありませんか。
スマホを開かなければ分からない情報があると、いざというとき遺された家族が必要な情報にアクセスできない可能性があります。
スマホ内にしかない情報を外に書き出しておくか、家族など信頼できる人にスマホのパスワードを教えておくなどして、問題を回避しましょう。
スマホやPC内、ネット上に散らばっている個人情報を整理する「デジタル終活」の方法は、下記の「デジタル終活とは?現代人に必須なスマホ・PC・ネットの情報の生前整理」で詳しく紹介させていただいていますので、ぜひご覧ください。
エンディングノートの活用がおすすめ
「やることがたくさんあって把握できない」
「必要なものや希望を一ヶ所にまとめておくのが大変」という人は、エンディングノートを活用してはいかがでしょうか。
エンディングノートとは、突然の入院や亡くなってしまったときなど、自分で自分のことができなくなったときのため、介護や医療、葬儀や墓の希望を書き残しておくノートです。
上に紹介した9つの事項を網羅しているうえ、介護や医療など終末期における希望も書いておけるので、生前から活用できます。書店やインターネット通販で様々な種類のエンディングノートが出ているため、自分が書きやすいと思えるものを選びましょう。
エンディングノートの作り方は、下記の「エンディングノートの作り方は?スムーズに書くための5つのポイント」が参考になると思いますので、ぜひご覧ください。
全世代におすすめのエンディングノートはこちら、「終活ノートの作り方|家族を安心させる書き方を解説します」がおすすめです。
こんなトラブルに注意! 死後の手続きや相続の失敗例
死後の手続きは、慣れていない人が多いことからさまざまな失敗をしがちです。
トラブルを回避するためには、本人の生前からの心配りが必要になります。
どんなトラブルがあるか、事例を以下にまとめてあります。ぜひ参考にしてください。
おひとりさまには、おひとりさま特有の終活が必要
おひとりさまであっても、必要な死後の手続きは同じです。
しかし、自分の死後の希望を託す人がいないおひとりさまには、また別の対策が必要になります。
とくに、いざというとき頼れる人や専門家、サービスの存在を知っておくのは大事なことです。
以下の記事に詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
この記事を書いた人
奥山 晶子
葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。