仮通夜とは?時間はいつ?何をするもの?本通夜との違いを解説

更新:2022.06.21

仮通夜という聞き慣れない言葉を聞くと、通夜と何が違うのか、戸惑われる方もいらっしゃると思います。

この記事では仮通夜についてわかりやすく解説させていただきます。

仮通夜とは?

仮通夜と聞くと、何か行われるのではないかと思い、何時から?服装は何を着ていけばいい?と連想しがちですが、最近では何かの行事や儀式を指すのではなく、通夜の日の前日を総じて指すことが多いです。

この日は近い親族で過ごす日とされていますが、正確に言えば必ず近い親族だけで過ごさないといけないのではありません。

何か行事があるわけではないので、親族以外は集まる必要がないため、お参りに来られなくて結構ですよという気遣いの意味も含まれています。

一方で通夜・葬儀でこれから大変だから、せめて仮通夜の日だけでも家族でゆっくり過ごす時間ができるように配慮しましょうという気遣いの意味もあります。

日本人はおもてなしを代表するように相手への気遣いに注意を払う文化があるので、日本語の表面的な語句だけでは読み取れない部分があるのです。

親族以外でも生前親しかったご友人などがお参りに駆けつけることは、よくあります。

親族以外はお参りに行ってはいけないというものではありません。

仮通夜の時間はいつ?

例えば、今日の13時にお亡くなりになられた方の通夜が、明日18時から行われることになりました。

この場合、明日が通夜、明後日が葬儀となります。

明日が通夜なので、今日は通夜の前日ということになります。

通夜の前日=仮通夜なので、今日を仮通夜と呼びます。

今日の○○時から仮通夜ですというものではなく、今日という1日を総じて仮通夜と言います。

一方で今日の午前中にご逝去された方の通夜式が今晩行われるとします。

その場合、今晩が通夜、明日が葬儀となります。

通夜の前日という日は存在しませんので、仮通夜はありません。

仮通夜は何をする?

仮通夜は何をするのか、3通りあります。

1つ目 家族で過ごす

仮通夜として特別何かを行うわけではなく、自宅や葬儀会館など安置場所で家族を中心とした近親者にて静かに過ごすというものです。

訃報を知った近所の方や勤め先の同僚の方が弔問に訪れることもあります。

顔を見て、手を合わせて、遺族にお悔やみの言葉を述べて帰宅するのが一般的です。

2つ目 枕経を行う

お亡くなりになられた方に対して最初に行われるお経として枕経というものがあります。

本来は臨終直後など通夜の前に行われるものですが、最近では通夜式の時に一緒に行われることも多くなりました。

この枕経を仮通夜のお経としてあげていただくこともあります。

葬儀と言えばお経、通夜と言えばお経をイメージされる方が多いので、仮通夜と聞いてお経を連想される方が多いのも自然な流れなのでしょう。

仮通夜のお経として枕経となるわけです。

通夜の前日を総じて仮通夜と言っていたものが、この場合は通夜前日の儀式=仮通夜となるのです。

3つ目 通夜式と殆ど変わらない儀式を行う

最近は少なくなりましたが、昔は仮通夜という呼び名で通夜式に近い形で儀式を行うこともありました。

主に自宅で行われ、参列者は親族を中心に近所の方、知人、会社関係の方も普通に参列されます。

服装も喪服を着用して、読経が行われ焼香も行います。

私は、まるで自宅葬だなと感じながら当時準備を行った記憶があります。

喪家様の自宅が参列者にわかるように、目印として自宅前に看板を設置し、薄暗い時間に訪れた方にもわかるように照明器具を設置しました。

このように当時は翌日の通夜を葬儀会館で行う場合、仮通夜を自宅でまるで自宅葬のように大掛かりな準備を行うこともあったのです。

異なる3通りの存在が迷う要因

この全く異なる3通りが総じて仮通夜と呼ばれていることが、一般の方々に仮通夜をよくわからないものにさせている要因となっています。

仮通夜の服装

服装が気になる方は、周囲から「今日は仮通夜が○○時から行われる」と連絡を受けたのかもしれません。

この場合の仮通夜は、「通夜前日」ではなく、「通夜前日の儀式」を指すのでしょう。今の時代に通夜式と変わらない儀式が行われることは考えづらいため、おそらく枕経が行われるのでしょう。

枕経の服装は普段着で構いません。その日、その時の身なりのまま参加されたら結構です。

数珠が持参できるようでしたら、持参しましょう。

香典やその他に用意する必要があるものはありません。

時間の知らせを受けていないのであれば、特別何かあるわけではなく、近親者にて過ごす1日と捉えていただいて良いでしょう。

服装はその日の身なりのまま参加して構いません、喪服に着替える必要はありません。

服装よりも長居をしない、相手の迷惑にならない時間帯に行くなど、タイミングに気を遣う方が良いでしょう。

昔の方々は、この時間は故人を生きている方と同様に扱って接していました。

死の判定を正確に行うことができなかった点もありますが、亡くなったことを認めたくない、生き返るかもしれない、死でもない生でもない境界線の時間でありました。

喪服を着用することで死を決めつけてしまうという考えもあり、平服のまま仮通夜は過ごした方が良いと言われています。

仮通夜と本通夜の違い

■仮通夜

・一般的に通夜と言われる日の前日を指す

・家族や近親者にて過ごす時間、特別何かの儀式や行事を指すわけではない

・仮通夜のお経として枕経を行うこともある

・決められた時間ではなく、生前親しかった方々や親族が個々のタイミングで弔問に訪れることもある

■本通夜

・一般的に「通夜」と言われる日のこと

・一般的に通夜式が行われる

・通夜式の開式時間に合わせて弔問客が訪れる

・通夜式後に通夜振る舞いなどが行われる

・地域によって様々な風習がある

この記事を書いた人

廣田 篤  広島自宅葬儀社 代表

葬儀業界23年、広島自宅葬儀社代表。厚生労働省認定技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。前職大手葬儀社では担当者として 1500 件、責任者として1万件以上の葬儀に携わる。実母の在宅介護をきっかけに広島自宅葬儀社を立ち上げて現在に至る。広島市内だけでなく瀬戸内海に浮かぶ島々から、山間部の世羅町、神石高原町まで広島県内あらゆる地域の葬儀事情に精通する広島の葬儀のプロ。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。

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