終活を20代で始めるときに知っておきたい5つのポイント
更新:2022.09.17
終活はシニアのためのものと考えられがちですが、「いざというときのために行っておくもの」と考えれば、世代を問わず取り組むべきといっても過言ではありません。
ただ、シニアと若い世代とでは、内容の優先順位が変わってきます。
20代が終活で行うときのポイントを解説します。
目次
終活とは、いざというときの準備をし、今後をより良く生きるための活動
終活とは、葬儀やお墓、相続などに関する自分の希望を明らかにし、希望を叶えるための準備を行う活動です。
よって、死が差し迫っているという実感のない若い世代には、関係のないことと感じるかもしれません。
しかし、終活が役立つのは亡くなるときだけではありません。
20代であっても、明日突然事故に遭い、自分で自分のことができなくなってしまう可能性はあります。
そんなときのためにさまざまな準備をしておくことは、自分のためにも、お世話をしてくれる家族などのためにもなるでしょう。
また、終活を行っている間は「もし、自分が突然亡くなったら」と絶えず考えます。
すると、後悔しないようにやってみたいこと、会っておきたい人、行っておきたい場所などが明確になってくるはずです。
今後をより良く生きるためにも、終活は役に立つのです。
20代の終活ポイント1:「もし明日、事故に遭ったら」を想像する
健康な20代の方が、自分の死をしっかりイメージするのは難しいことです。
そこで「もし明日、事故に遭ったらどうしよう?」と考えてみましょう。多くの人がしなければならないのは、次のようなことです。
・家族への連絡
・職場への連絡
・入院の準備(着替えやスリッパ、コップなどの日用品)
・ペットを飼っている場合は、ペットの世話について誰かに指示
・入院に伴う費用の準備
・医療保険に入っている場合、保険金の請求
以上のようなことを、自分自身でできない状態になったら、どうしたらよいでしょうか。
亡くなる以外にも、意識が戻らないなどの状況により、サポートしてくれる家族や友人に必要なことを伝えられない事態は多々考えられます。
このことから、若く健康な人であっても、緊急連絡先のリストアップや保険証のありかを誰かに示しておかなければならないことが分かります。
また、ペットの世話については、日ごろから家族などと共有しておくのが大事なこともわかります。
20代の終活ポイント2:エンディングノートを手に入れる
「明日、事故に遭ったとき」のために必要な項目を書き入れるためには、エンディングノートが有効です。
エンディングノートとは、終末期の医療や介護、葬儀、お墓、相続などに関する自分の希望を書き入れ、喪主となる人に託しておくものです。
エンディングノートにはさまざまな種類があり、日々新しいものが書籍として発売されています。
よって書店に行けば手に取ることができますし、インターネット書店でのアクセスも可能です。
ただ、全てのエンディングノートが20代などの若い人向けであるとはいえないため、慎重に選ぶ必要があります。
ノートによっては、シニア向けに「年代別の思い出」など自分史に関するページが多く割かれていたり、相続に関する事項が充実していたりします。
しかし、20代が「年代別の思い出」に書き込めるのは、「10代」と「20代」の項目だけですし、親御さんがいれば、相続に関しても、さほど記載する内容はないはずです。
若い人向けのエンディングノートについては、以下の記事に詳しく紹介していますので、参考にしてください。
20代の終活ポイント3:写真を棚卸しする
どんな世代であっても必要で、活取り組みやすい終活が、写真の整理です。
とくにデジタルネイティブである20代の方は、スマホにたくさんの写真が溜まっているのではないでしょうか。
「写真がたくさんあって、見たい画像にすぐアクセスできない」という悩みもあるかもしれません。
不要になった写真や画像を削除したり、よく閲覧する画像をお気に入りにしたり、フォルダ分けをしたり。
整理すればするほど、使い勝手が良くなります。
写真を整理する過程で、今までの人生を振り返ることができるでしょう。
「この人に、また会いたい」「またいつか、この場所に行ってみたい」という気持ちが生じたら、「やりたいことリスト」を作って書き留めておくと、後悔しない人生につながります。
なお、自分が写っている写真の中で、特別気に入ったものがあれば、遺影用としてデータを別にとっておくのもおすすめです。
20代の終活ポイント4:学生時代にさよならし、社会人として生きるための整理をする
20代といえば、学生から大人になる節目の世代です。
シニアの終活では、老い支度のため生前整理を行いますが、20代の終活においては、学生から大人になるために持ち物を整理しましょう。
とくに、引っ越しを経験せず実家暮らしのままという人は、自分の部屋に幼少時代からのものがたくさん溜まっているのではないでしょうか。
子ども向けのコミック、お人形やぬいぐるみ、集めていたシールや消しゴム、学習ノートや教科書……いつか自分の子どもに譲りたいと感じるもの以外は手放し、子ども時代を卒業するのはいかがでしょう。
もちろん「まだ手元に置いておきたい」と感じるものがあれば、さよならできる時期が来るまで部屋に置いても構いません。
ただ、いつの日か、手放せない思い出の品が部屋を圧迫することになるかもしれません。
そんなとき思い切ってさよならできるよう、思い出の品は一つにまとめておきましょう。
このとき避けたいのが、思い出の品をまとめて「実家の、自室ではない部屋に置く」あるいは「実家に送る」という行為です。
自分のものがどんどん実家に溜まってしまうと、親御さんの暮らしを圧迫する原因になります。
シニアになってから、ものが多い中で暮らすのは大変です。自分の持ち物は、責任を持って自室で管理しましょう。
20代の終活ポイント5:「今後、どう生きていく?」を考える
エンディングノートを書き、写真や部屋の整理を終えたら、「今後、どう生きていくか」を改めて考えてみましょう。
終活をする前よりも、後の方が、やりたいことがハッキリしているはずです。
すると、希望を叶えるためにやるべきことが見えてきます。
「転職して新しいことにチャレンジしたい」という目標ができたら、一刻も早く新しい業界の勉強をしたり、転職活動をしたりするべきでしょう。
「子だくさんの家庭で賑やかに過ごしたい」という希望ができたら、結婚をしていない人は、同じ家庭のイメージを共有できるパートナーを探し始めなければなりません。
思い切った変化を望んでいない人であっても、終活によって生じた「やりたいことリスト」をクリアするために計画を練れば、きっと今後の人生にワクワクすることが増えるでしょう。
人生のアップデートに終活を有効利用しよう
終活は、「明日、もしものことがあったとき」のための活動であるうえに、今後よりよく生きるための行動を促す役割を持ちます。
よって、20代から始めるのも、決して不自然なことではありません。
人生の質を良いものにするため、人生の棚卸しを経験してみましょう。
なお、「本当は親や祖父母に終活してもらいたい」と考えている人にとっても、自身の終活を進めるのがおすすめです。
終活をしていることを、ぜひ親御さんにも伝えましょう。
きっと、終活に興味を持ってもらえます。
親御さんやおじいさま、おばあさまとともに終活を進めたい場合は、以下の記事も参考にしてください。
この記事を書いた人
奥山 晶子
葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。