葬儀後の挨拶を職場にするときのマナーは?例文も紹介
更新:2024.09.27
身内の葬儀があると、忌引き休暇を取得します。
とくに親が亡くなると1週間程度の休暇をもらうのが一般的です。
その間、自分の仕事を同じ部署の同僚や上司に代わってもらう人もいるでしょう。
葬儀後、初めての出社をするときには、仕事を調整してくれた仲間に感謝を込めて挨拶をしましょう。
出社する場合、テレワークの場合などケース別に挨拶の例文をご案内します。
また、会社にお礼を持参すべきか否かについても解説します。
目次
忌引き休暇後の初出社、どんな挨拶をする?
昔ながらの職場、昔ながらの葬儀であれば、葬儀後の初出社時には朝礼で挨拶を行い、香典返しを配るのが一般的でした。
しかし現在では、働き方が多様化しています。
朝礼が週に一度しかない、もしくは全くない会社も珍しくありません。
定刻に全員が出社するとは限らず、フレックスタイムを活用する人やテレワークの人もいます。
また、葬儀のあり方も変わり、香典を辞退する家が多くなってきています。
すると会社から香典をいただくこともないため、お礼の気持ちを伝える品として香典返しを使うことができません。
香典返しを用意していないのに会社側から香典や供花をもらい、お返しに悩む人もいるでしょう。
さまざまなケースに対応できるよう、挨拶とお礼の渡し方をパターン別にご紹介します。
出社組への挨拶:行うタイミングを上司に相談する
初出社の日は早めに会社へ向かい、上司へ「皆さんに仕事を肩代わりしていただいたお礼を言う時間がほしい」と相談しましょう。
前日に相談しておいても構いません。
朝一番、フレックスタイム制であればお昼休みの前など、最も社員が事務所に集まっているときに、挨拶する場を設けてくれるでしょう。
社員の前に立ち、大きな声で、葬儀が終わったことの報告と、忌引き休暇中のサポートへ感謝の気持ち、そして今日から気持ちを新たに頑張る気持ちを伝えます。
【挨拶例文1】
皆さん、おはようございます。
7日間の忌引き休暇を終え、本日より復帰いたしました。
急なことで、仕事に突然穴を開ける形になりましたことをお詫び申し上げますとともに、的確な対応をしてくださった皆様に感謝申し上げます。
おかげさまで○月○日、母の葬儀を滞りなく執り行い、葬儀後の手続きもあらかた終えることができました。
ご迷惑をお掛けしているにもかかわらず、皆様から温かいお言葉をいただき、心の支えとなりました。
本当にありがとうございました。
本日より、また精進して参ります。
改めてどうぞよろしくお願いいたします。
【挨拶例文2】
皆さん、お仕事の手を止めてしまい申し訳ありません。
昨日までの忌引き休暇を終え、本日より復帰しました。
休暇中の皆様のご対応により、仕事が滞りなく進みましたこと、誠に感謝申し上げます。
おかげさまをもちまして、○月○日、母の葬儀を無事終えました。
葬儀におきましては、過分なお悔やみの品をいただきありがとうございました。
ささやかではございますが、お礼の品を用意しておりますので、これから皆様のお机を回らせていただきます。
本日より、いっそう精進して参りますので、どうぞよろしくお願いします。
フレックス、テレワーク組への挨拶:グループチャットやメールで報告を
出社組への挨拶を済ませたら、出社していないテレワーク組やフレックスタイム利用者にまとめて挨拶を行います。
社内で使っているグループチャットがあれば、上司に承諾を得て利用しましょう。
チャットツールがなければ、社内で使用しているメールに一斉送信という形を取ります。
すでに挨拶を済ませた社員がメーリングリストやグループチャットに入っており、簡単にリストから外せない場合は、無理に外さなくても構いません。
グループチャットやメールで挨拶するときのポイントは2つです。
1つは短い文面にすること。
私的な連絡なので、業務時間を必要以上に割かせてはいけません。
2つめは、とくに仕事調整の上で負担をかけた人には、今後社内で会ったときに改めてお礼を述べることです。
【メール例文1】
おはようございます。
本日より忌引き休暇から復帰しています。
休暇中は大変ご迷惑をお掛けし、申し訳ありませんでした。
皆さんにご調整いただいたおかげで、滞りなく葬儀を済ませることができました。
誠にありがとうございました。
まずは文面で失礼します。
今後もどうぞよろしくお願いします。
【メール例文2】
お疲れ様です。
本日より忌引き休暇から復帰しています。
急なことにもかかわらず、皆さんが迅速にご対応くださったおかげで、滞りなく葬儀を済ませることができました。
本当に感謝申し上げます。ささやかではありますが、お礼の品を机上に置かせていただいております。
賞味期限の長い品ですので出社の際にお受け取りください。
まずは文面で失礼します。
今後もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。
香典や供花のお返しは行うべき?
最近では香典や供花を辞退する家族葬が増え、会葬礼状や香典返しを用意していない人もいるでしょう。
しかし、会社に香典や供花の辞退を伝えていなかったり、会社側に「社内規定だから送らせてほしい」と言われたりして、香典や供花が届く場合があります。
香典や供花を辞退していても、届いた品にはしっかりお返しをしましょう。
会葬礼状や香典返しは、「やはり必要になった」と相談すれば応じてくれる葬儀社も多いものです。
葬儀社に相談できない場合は、弔事用ののし紙に「志」と表書きし、菓子折にかけて持参します。
菓子店に相談すれば、のし紙を用意してくれます。
香典や供花が届かなくても、お礼の品は持参した方がいい?
会社から香典や供花が届かなかった場合、菓子折などを持参した方がよいのかどうか、迷う人もいるでしょう。
忌引き休暇後にお礼の品を持参する人は少なくありません。
自分が急に抜けてしまった穴を埋めてくれたことに対して、感謝の気持ちを表すためです。
ただ、最近では社員間の贈答習慣を排している会社も見られます。
「感謝の気持ちを示したい」という感情からであっても、誰かが有給休暇等を取得するたびにお土産が配られるようでは、そうしたくない人にも出費を強いてしまうことになるためです。
誰かが長い休暇を取った後、感謝の印としてお土産などを持参する習慣がある会社なら、お礼の品は持参してよいでしょう。
そういった習慣が見当たらない場合は、上司や総務に前もって相談するのがおすすめです。
転職したてで勝手が分からなければ、社歴の長い人に相談してみましょう。
自分自身がテレワーク中心で、出社することがめったにない場合は、わざわざお礼の品を用意する必要はありません。
事務所に送ったとしても、配布の負担をかけてしまいます。
その場合はお礼の文面に「テレワーク中心の身ゆえ、皆さんに直接お礼をすることが叶いませんが、今後よりいっそう精進して参りますので、どうぞよろしくお願いします」などと付け加えましょう。
なお、お礼の品は賞味期限が長いお菓子やお茶がおすすめです。
香典や供花をいただいていない場合、立派な包装の大きな菓子折などは相手の負担になります。
中が個包装になっている菓子折や、プチギフトを利用しましょう。
感謝の気持ちが伝わればOK
職場に葬儀後の挨拶をすると考えると、難しいと悩んでしまう人もいるかもしれませんが、感謝の気持ちが伝われば十分です。
挨拶を済ませたら、サポートしてくれた仲間を助ける気持ちで一生懸命仕事をしましょう。
感謝の想いはきっと伝わります。
この記事を書いた人
奥山 晶子
葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。