葬儀後に亡くなったことを伝えるハガキには何と書く?例文をご紹介
更新:2024.06.20
親族中心に葬儀を行う家族葬が主流になってきた現代では、葬儀後にハガキなどで亡くなった事を伝えるケースが増えてきています。
なかには、「この人はきちんと知らせを出せば、必ず葬儀に来てくれただろう」と思われる人に、ハガキを出さなければならない場合もあるでしょう。
葬儀後に亡くなったことを伝えるには、いつ頃、どんな内容のハガキを出すべきか解説します。
目次
親族中心の葬儀をすると、後で訃報に悩むことがある
最近、近親者だけで故人を見送る家族葬が増えてきています。
家族葬では会社関係など義理で参列する人を呼ばず、心おきなく話せる人たちだけで葬儀をするため、遺族の心理的負担が軽減されます。
しかし、家族葬を行うと、葬儀をした後の訃報連絡に悩みがちです。
亡くなってすぐに連絡するのではなく、葬儀後に逝去の報告をすることで「なぜもっと早く知らせてくれなかったのか」
「葬儀に参列したかった」と訴える人が現れるかもしれないためです。
とくに、本来であれば葬儀に参列してもらうべきだった人を、「最近疎遠になっているから」
「ご高齢で大変だろうから」とあえて参列リストから外したとしたら、連絡するときにはかなりストレスがかかってしまうでしょう。
相手をないがしろにしたわけではないことを誠実に伝えられれば、きっと事情を分かってもらえます。
葬儀後に亡くなった事を伝えるハガキは、丁寧に作りましょう。
葬儀後にハガキで亡くなった事を伝える時期は?
葬儀が終わったら、なるべく早くハガキを書きましょう。
理想は葬儀から1日後ですが、葬儀後は何かとバタバタしがちです。
なかなか書けない人もいるかもしれません。遅くとも、初七日が終わるまでと考えましょう。
ハガキに書く内容は?
葬儀後、亡くなったことを伝えるハガキには、以下の6点を盛りこみます。
故人の情報
最初に、誰がいつ亡くなったかを明記します。
氏名、没年月日、享年などの情報を入れましょう。
差し支えなければ、死因も入れます。
感謝の言葉
生前のお付き合いに対し、感謝の意を述べます。
葬儀が終わったことの報告
葬儀をすでに済ませたことを明記します。
ここに、ハガキを出す相手を呼ばなかった理由を、ここにすべり込ませられると理想的です。
あまりの長述はいいわけがましくなるため、さりげなさを大事にしましょう。
お詫びの言葉
連絡が遅れてしまったことをお詫びします。
不義理をしてしまったという自覚がある場合、ここで誠実な気持ちを伝えましょう。
香典や供物の辞退について
香典、供花、供物などを辞退する場合は、その旨を明記します。
辞退しない場合は、何も書きません。
差出人の住所氏名
差出人が誰なのか、先方にわかるようにしましょう。
亡くなった本人は先方と繋がりがあるけれども、ご自身は特に関わりがなかった方へ送る際は、ご自身と亡くなった本人との関係性がわかるように記載しましょう。
葬儀後に亡くなった事を伝えるハガキの文例
ハガキの文例は以下の通りです。死因や表現を変えて、3パターンご紹介します。
【文例1】
父 ○○ 儀 かねてより病気療養中のところ
○月○日 ○歳にて永眠しました
葬儀は ごく近くに住む近親者にて相済ませました
ご通知が遅れましたことをお詫び申し上げます
生前のご厚誼を深謝し心より御礼申し上げます
なお 誠に勝手ながら
御香典 供花 供物などのお気遣いは辞退させて頂きます
(差出人住所氏名)
【文例2】
父 ○○儀 天寿を全うし
○月○日 ○歳の生涯を閉じました
葬儀は○月○日 感染症対策のため身内のみで執り行いました
早速ご通知申し上げるべきところ
お知らせが遅れましたことを 心よりお詫び申し上げます
生前に賜りましたご厚情に深く感謝し
ここに謹んでお知らせ申し上げます
今後も故人の生前と変わらぬお付き合いを
どうぞよろしくお願い申し上げます
(差出人住所氏名)
【文例3】
父 ○○儀 かねてより入院中でございましたが
薬石効なく ○月○日に享年○歳にて他界しました
本来ならば 早速お知らせ申し上げるべきところでございましたが
ご通知が遅くなってしまったことをお許しください
葬儀は故人の遺志により 少人数の身内のみで執り行いました
生前のご厚誼に篤く感謝申し上げます
なお 御香典 供花 供物の類は 慎んで辞退申し上げます
弔問につきましてもご遠慮いただき 墓前にてご焼香ください
(差出人住所氏名)
亡くなったことを伝えるハガキの注意点
亡くなったことを伝えるハガキは、訃報や葬儀の案内状、結婚式の案内状などと同様に、正式な文書にあたります。
正式な文書には様々なルールがあるため、気をつけなければなりません。
とくに弔事の場合に注目し、注意したいことを解説します。
切手は普通切手か、弔事用の切手を使う
これは文章のマナーではありませんが、意外と見落としがちなことです。
弔事を知らせるハガキには、普通切手か弔事用切手を使いましょう。
わざわざ弔事用の切手を買う必要はありませんが、「自宅に記念切手しかない」
「明るいデザインの切手しかない」というときは、郵便局やコンビニで普通切手を入手する必要があります。
時候の挨拶をつけない
これは慶弔どちらにも通じる正式文書のマナーです。
時候の挨拶をつけず、いきなり本題から入ります。
句読点をつけない
これも、慶弔どちらにも通じる正式文書のマナーです。
「、」や「。」を使わず、文章の区切りは改行や空白を利用します。
行頭を揃える
これも、慶弔どちらにも通じるマナーです。
一般的な文書は最初の行や改行した後の行の頭を一字下げますが、正式な文書では行頭を揃えます。
弔事の忌み言葉を使わない
慶事にも弔事にも「忌み言葉」があります。
忌み言葉とは、縁起が悪いとされるために、特別な場所では使うのを避けるべきとされている言葉です。
慶事と弔事とでは、忌み言葉が少し違います。
弔事と慶事に共通した忌み言葉として代表的なのが「重ね言葉」です。
「いよいよ」「ますます」「たびたび」など同じ言葉を繰り返すもので、弔事では「不幸が繰り返される」、慶事では「結婚を繰り返す」ことを連想させるため、ふさわしくないとされます。
とくに弔事で使ってはいけないとされているのが、死を直接的に表現する言葉です。
「死ぬ」「亡くなる」などといったダイレクトな表現は避けましょう。
また、「苦しむ」や「浮かばれない」「迷う」といった、成仏できないことを連想させる表現もタブーです。
電話で伝えるという方法もある
正式な文書は、どうしてもそっけない表現になりがちです。
また作成に時間がかかり、投函が遅くなってしまうことも考えられます。
「もっときちんと自分の言葉でお詫びしたい」
「すぐ連絡したい」と感じたなら、ハガキではなく電話で伝えるのはいかがでしょうか。
電話をするときも、伝える内容はハガキと同じです。
最初に誰がいつ亡くなったかを明確に述べ、葬儀が終わったことを告げて非礼をお詫びしましょう。
最後に、生前のお付き合いに対して感謝の意を述べます。
ただ、電話はハガキと違い、相手とのやりとりがあります。
相手の反応を見ながら話をしましょう。
また、相手の健康状態や最近の様子をうかがうなどして気遣い、「あなたを忘れたわけではない」という気持ちを伝えるのも大事です。
誠実さが伝わる文章で、意図せぬトラブルを回避しよう
人はないがしろにされたと感じれば、とても悲しくなります。
その悲しみが怒りに変わるのも当然のこと。
「もし自分が非常に親しい人の葬儀に呼ばれなかったら」と想像すると、その悲しさが分かるのではないでしょうか。
悲しさを怒りに変えさせないためには、誠実な態度で事情を説明し、心からお詫びする必要があります。
いいわけがましくならない範囲で、きちんと説明しましょう。
葬儀後の疲れているタイミングではありますが、今後のためにも親族のケアはしっかり行うのがおすすめです。
この記事を書いた人
奥山 晶子
葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。