終活で行うべき8つの身辺整理!種類ごとに内容や流れを紹介

更新:2024.08.18

終活で行うことの1つに、身辺整理があります。

「生きているうちに自分の身の周りを整理しておくこと」という意味で、生前整理と呼ばれることも多いのが特徴です。

終活の身辺整理は、ただ身の周りをスッキリさせることにとどまりません。

自分亡き後、後に残される家族が遺品整理で苦労しないための工夫が必要です。

終活で身辺整理を進めるときの流れや注意点を解説します。

終活の身辺整理でやること8つ

終活の身辺整理には、8つの種類があります。

まずは一覧で、簡単な内容と始めるのに適切な時期を紹介します。

ただ、終活の身辺整理は自分の興味があることから取り組んでよいものですし、並行していくつかに取り組んでもよいものです。

自分だったら何から始めるか、考えてみてください。

不用品の処分

これからの自分に必要ではないものを処分します。

大きな家財など重いものを運ぶ場面が多いため、体が元気でよく動くうちに始めるのがおすすめです。

部屋の模様替え

部屋の中にものが多いと、ものにつまずいて転倒するリスクが高まります。

高齢になると骨がもろくなり、転倒すると骨折してしまうこともあるため、部屋をスッキリと模様替えしておくことが大事です。

不用品をある程度処分したら、老後の暮らしがしやすいようレイアウトし直しましょう。

形見の品を選ぶ

不用品を処分する最中、「これは子どもに、友人に引き継ぎたい」と思えるような思い出の品があったら、形見の品として仕分けしておきます。

貴重品と重要書類の場所を把握しておく

後に残された人が死後の手続きをしやすいよう、相続などに必要な書類等の置き場所をしっかり決めて把握します。

不用品の処分をしていると、思わぬところから重要書類が出てくることもあります。

写真の整理

アルバムなどを見返して、不用な写真は処分します。

長くかかることが多いため、他の身辺整理と並行して進めます。

スマホやPCの中の整理

残された人がスマホやPCの中の必要情報を見つけやすいよう、内容を整理しておきます。

スマホやPCの中の情報はどんどん変わっていくため、日々少しずつ行うのがおすすめです。

エンディングノートの作成

自分の介護や終活医療、葬儀、墓などについての希望をエンディングノートに書きこみます。

時間のかかることなので、日々、手の空いたときに書けるところから取り組みます。

遺言書の作成

重要書類や貴重品を把握できたところで、遺言書の作成に取りかかります。

それでは、次章からはそれぞれの項目について具体的な内容や流れをご案内します。

不用品の処分

終活のために処分すべき不用品は、「いらないもの」に限りません。

これまでもったいないからと取っておいたものでも、今後の自分の生活で使わないとハッキリ言えるものは、この機会に手放しましょう。

「子世代や友人など、取っておいたら誰かが使うかもしれない」ではなく、「自分がこれから使う」と断言できるものだけ家に置きます。

最も不用品を処分しやすいのは、キッチンやバスなどの水回りです。

賞味期限や使用期限が切れているものを潔く処分すると、捨て癖をつけることができ、それまで捨てるかどうか迷っていたものもどんどん捨てられるようになります。

また、子ども部屋が子世代の荷物部屋になっている人は、子どもが帰省したときに「いらないものは処分して」

「なるべく自分の家へ持ち帰って」と頼みましょう。

部屋の模様替え

不用品の処分があらかた終わったら、部屋の模様替えをします。

できれば、将来車椅子などが通りやすくなるようイメージして、ゆとりを持った配置にするのが理想的です。

なお、ものにつまずいて転ばないよう、部屋の入口近くや廊下にものを置かないよう意識しましょう。

形見の品を選ぶ

誰かに譲りたいと思うものを形見の品として選んでおきます。

生前に渡せると気持ちも伝えることができるためおすすめですが、高価なものを譲ると贈与税の対象になってしまうこともあるため気をつけましょう。

なお、生前に形見分けをする場合は、ものをあげる人だけでなく、相続人となる人全員に形見分けしたことを伝えておくのが重要です。

相続人の誰もが欲しいと思っているものを1人にあげてしまうと、あなた亡き後にトラブルが発生する可能性があるためです。

貴重品と重要書類の場所を把握しておく

土地の権利書、通帳、保険証など、自分の死後手続きに必要となる重要書類は、その場所をしっかり把握した上で、家族に伝えておきましょう。

ひとまとめにしておくと後でさがすのが楽ですが、防犯上、あまり1ヶ所に集めたくないという人もいるでしょう。

目録を作り、置き場所を書いておくと安心です。

置き場所を書くときには、なるべく家族にしかわからない表現を使うのがおすすめです。

不用品を処分していると、使わなくなった通帳類が見つかることがあります。

もう使わない口座は解約しておくのも、終活のうちです。

写真の整理

思い出の写真を収めたアルバム 

アルバムは、めくるたびに思い出が溢れてきてしまうもの。

ゆったりとした気持ちで、長い時間をかけて、残したい写真を選ぶのがおすすめです。

なかには、自分の遺影にしたいと思える写真も見つかるかもしれません。

その写真はエンディングノートに挟んでおいたり、家族に「遺影にしてほしい」と言い添えて渡したりしましょう。

なお、最近では葬儀の際に「故人の略歴紹介」として幼い頃からの写真を順番にスライドショーでスクリーンへ流すことがあります。

そのときの写真も自らセレクトし、写真を撮影したときのエピソードを添えて家族へ渡しておくと、家族の負担を減らせます。

スマホやPCの中の整理

最近、「デジタル遺品」が話題になっています。

デジタル遺品とは、スマホやPCの中、そしてインターネット上に散らばる故人の情報です。

デジタル遺品の中には連絡帳をはじめ、葬儀や相続といった死後の手続きに必要な情報が詰まっています。

もし残された人がアクセスできなければ、困った事態になってしまいます。

スマホで管理している連絡帳やデジタル通帳など、連絡先やお金の動きに関わるアプリのアイコンは、スマホ内でもなるべく目立つ位置に置いておきましょう。

PCも同様で、死後家族に見つけてほしい情報は「家族へ」などと名前をつけたフォルダにまとめてデスクトップに置いておくのがおすすめです。

また、家族にはいつかのタイミングでスマホやPCのパスワードを伝えておきます。

後にご紹介するエンディングノートに書いておくのもいいでしょう。

エンディングノートの作成

エンディングノートとは、自分で自分のことができなくなったときに、自分の希望を身近な誰かに託すためのノートです。

「介護」「医療」「葬儀」「墓」「相続」などの項目があり、それぞれ詳細に希望を書き留めておくことができます。

エンディングノートを作成すると、自分がどんなことを家族に望んでいるのかが可視化されます。

また、情報の整理ができるため便利です。

エンディングノートについて、詳しくは以下の「就活におすすめのエンディングノート|全世代が意識したい選ぶ基準とは」で解説しています。

ぜひ参考にしてください。

遺言書の作成

遺言書があると、相続の手続きがスムーズに進みます。

まずは財産目録を作ることから始め、目録が完成したら、誰に何を相続させるかを決めましょう。

草案が決まったら、本番として遺言書を作り始めます。

遺言書には、目録以外は全て自筆で作成する「自筆証書遺言」と、公証役場で公証人に遺言書を作ってもらう「公正証書遺言」があります。

自筆証書遺言は紙とボールペン、印鑑があれば作れるので費用が安く済みますが、文言があいまいだったり、遺言書の形式に沿っていなかったりすると無効になる恐れがあります。

公正証書遺言は、遺言書としてしっかり成立する文書を公証人に作ってもらうため安心ですが、数万円の費用がかかります。

終活の身辺整理はコツコツ続けるのがポイント

身辺整理というと終わりの見えるものという印象があるかもしれませんが、終活の身辺整理には、だいたい目処がつくことはあっても、終わりはありません。

生きている限り人は活動するため、日々不用品が発生し、書き留めておくべき情報は増えていくためです。

よって「まとめて一気に片づけよう」と思うよりも、「思いついたことからコツコツやろう」と考えておいた方が、失敗がありません。

思い立ったその日から、少しずつ進めていきましょう。

この記事を書いた人

奥山 晶子

葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。

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