祖父(祖母)の葬儀で孫が出来ること|何かしてあげたい孫様へ事例をご紹介
更新:2023.11.25
葬儀では亡くなった祖父(祖母)へ向けて孫が挨拶(弔辞)をされることもあります。
「亡くなった祖父母もきっと喜んでくれるだろう」
故人の為に何かしてあげたいという思いが形になった一例ですが、この他にも葬儀の中で出来ることってあるのでしょうか。
この記事ではお孫様が葬儀の中で出来ることをテーマに過去にあった事例をご紹介させていただきたいと思います。
参考になれば幸いでございます。
目次
事例1 孫が一言ずつ亡くなった祖母へ向けて挨拶
お孫さんの中で代表者の一人が亡くなった祖父母へ弔辞をするというのが最も多い形ですが、お孫さん全員が一言ずつお別れの言葉を伝えるという方法もあります。
お孫さんにとっては一人で人前へ立ちお別れの言葉を伝えるのと孫全員で一緒にお別れの言葉を伝えるのとでは緊張感が全く違います。
故人にとっては孫それぞれから自分自身へ向けての言葉をいただくので、喜ばれると思います。
注意点は時間、お孫さんの人数にもよりますが、一人一人が長くなりすぎないように簡潔に話すことが求められます。
一番思い出に残るエピソード、好きなところ、教わったこと、約束したいこと、伝えたいこと等の中から一つを選んで話すのも良いでしょう。
どの程度の長さでどんな雰囲気になるのかを共有するために、ぶっつけ本番でやるのではなく、リハーサルを行うと良いでしょう。
孫様の挨拶に関しては、下記で詳しく紹介していますので、興味のある方はこちらもご覧ください。
事例2 孫が書いた手紙を棺の中へ
人前で話すのは抵抗があるという方は、手紙を書き、その手紙の内容は周囲の前では披露することなく、棺の中へそっと収めるという方法が良いでしょう。
パソコン、スマホなどを使ってコミュニケーションを取りがちな現代のネット社会では、他人に対して手紙で気持ちを伝えるという方法はなかなか普段体験しないことです。
これまでの故人との思い出を振り返り、想いを文章にするというこの時間は、言い換えれば祖父母のことだけに集中して思いを巡らす時間になります。
この時間こそが「故人を偲ぶ」という意味では、お葬式の中で重要な役割が果たされる大切な時間になるでしょう。
事例3 孫がバイオリンを生演奏
過去には祖母様のために孫様がバイオリンの生演奏をされる葬儀もありました。
「挨拶よりも、自分の得意なバイオリンを祖母に聞いてもらいたい」
音大に通う孫様は、幼少期にバイオリンを始めたきっかけは祖母様だったそうです。
一生懸命練習して上達した今の姿を最後に見てもらいたい。
当時はアメイジンググレイスをお一人で弾いていただき、会場内の感動や涙を誘いました。
バイオリンに限らずピアノ、フルートなど得意な楽器があれば、祖父母へ贈る演奏を考えてみるのも良いでしょう。
(ピアノに関しては葬儀場によって設備の有無がありますので、事前に確認する必要があります。)
事例4 孫と故人の思い出を映像で振り返る
お孫様が葬儀で出来ることは、人前で話す、人前で演奏するだけではありません。
祖父母との思い出を集めたメモリアル動画を自分で編集して葬儀の中で上映するという方法もあります。
動画がない場合は、画像を何枚か集めてBGMを流しながらスライドショーにする方法もあります。
葬儀社のサービスとしてこのようなサービスを行なっているところもありますが、あえて自分達で作ることでその作業自体が思い出になりますし、手紙を書くのと同様に故人へ思いを寄せる時間になります。
また自分達で映像を作るからこそできることがあります。
「何歳の時、○○でこんなことがあって、おばあちゃんに○○と言われました」など、テロップ文字を細かく入れることができるメリットがあります。
祖父母と縁のあった方が集まる会場内でその映像が流れれば、きっと全員が感動するはずです。
人前には出ない形で葬儀に参加する、とてもやりがいがある作業になりますが、準備時間は短時間という難点もあります。
事例5 導師と一緒に孫様も読経
多くの葬儀では、式中に読経は導師のみが行い、参列者は静かに参加している形ですが、
地域や宗教によっては、式中に導師と一緒に読経をするのが当たり前というところもあります。
浄土真宗ではお寺様が式前にお教本を参列者に配り、一緒に読経をしましょうという葬儀もあります。
孫様にとっては不慣れな葬儀であまり馴染みのないお経かもしれませんが、祖父母のために導師と一緒に読経を行う形で葬儀に参加するのも一つの方法です。
最初は見よう見まねで始まり難しく感じられると思いますが、時間が経つにつれて慣れてきます。
音階や強弱も掴めてきますので、お教本を見ながら真似をするというのも出来てくるはずです。
孫様の行動に対して、祖父母様もきっと喜ばれるはずでおすすめです。
事例6 好きだった食べ物を孫が買って棺の中へ
お棺の中に入れて差し上げるものを一生懸命探す。
これも孫様が葬儀で関わりを持てる、自分達で出来ることです。
燃える物ならお棺の中に入れても大丈夫です。
お花、手紙以外にも好きな食べ物はいかがでしょうか。
「○○屋のケーキが好きだったから、最後に食べさせてあげたい」
この思いから葬儀前日にケーキ屋へ足を運び、大好きだったケーキを祖父母のために買ってくる。
「おじいちゃん、何が好きだったかな?」
祖父母の好物は何だったのかに考えを巡らせる時間、その好物を買いに行こうと行動する時間、全てが故人へ思いを寄せる時間でとても大切な時間になります。
お孫様がご自身で買い出しに行かれて購入された好物、お棺の中に収められた時はきっとありがとうと祖父母様も喜ばれることでしょう。
まとめ
このように葬儀の中で孫様が出来ることはいくつもあるのです。
葬儀と言えば、しきたりなどやってはいけないこと、マナーなどに捉われがちになりますが、祖父母が喜んでくれることはなんだろう?自分達に出来ることってなんだろう?
このように考えながら最後の残された時間を過ごすことは、在りし日を偲び、生前に感謝をする機会にもなります。
祖父母様と最後のお別れの時までに何かできることはないかな?
ぜひ事例を参考にしながら、あなたとあなたの祖父母様にとっての最良の形、それを見つけていただければ幸いでございます。
この記事を書いた人
廣田 篤 広島自宅葬儀社 代表
葬儀業界23年、広島自宅葬儀社代表。厚生労働省認定技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。前職大手葬儀社では担当者として 1500 件、責任者として1万件以上の葬儀に携わる。実母の在宅介護をきっかけに広島自宅葬儀社を立ち上げて現在に至る。広島市内だけでなく瀬戸内海に浮かぶ島々から、山間部の世羅町、神石高原町まで広島県内あらゆる地域の葬儀事情に精通する広島の葬儀のプロ。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。