お悔やみ申し上げますをLINE(ライン)で伝えてもいい?例文も紹介
更新:2023.09.24
最近ではSNSで日常のやりとりを行う人が増えてきました。
とくに使っている人が多いSNSとして、LINE(ライン)があります。
知り合いの家族が亡くなったと知り、お悔やみの文章を送りたいけれど、ラインの連絡先しかわからないという場合もあるでしょう。
「LINE(ライン)でお悔やみ申し上げますと言うのは失礼?」と迷う人のために、お悔やみのマナーとSNSの関係を解説します。
最後にはお悔やみの例文もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
基本的に、SNSでのやりとりはかなりカジュアルと捉えられている
ラインを代表とするSNSは、現代の私たちが普段何気なく使っているコミュニケーションツールです。
なかには、伝えたいことの何もかもをラインで済ませている人もいるのではないでしょうか。
ただし世間では、SNSはまだまだカジュアルな伝達手段であると捉えられています。
正式なお知らせ、重要なやりとりはSNSですべきではないという考え方をする人が多いのです。
なかでもお悔やみは、なるべく丁寧な方法で伝えたいもの。
急ぎであれば電話を、そうでなければ手紙を使うのが一般的です。弔電で気持ちを伝える人もいます。
しかし遺族は忙しく、いつでも電話に出られるとは限りません。
「葬儀前の忙しいときに電話で手を煩わせるのは申し訳ない。でも手紙より早くお悔やみを伝えたい」と考える人は、メールを利用します。
一時期、メールでのお悔やみはマナー違反と言われていましたが、現代ではさほど気にする人はいなくなりました。
SNSもメールと同様、デジタルでのやりとりですが、お悔やみを伝える手段としてはメールよりもカジュアルと思われている節があります。
よって、世間が考えている「お悔やみを伝えるのにふさわしい伝達手段」は、以下のような順番になります。
1 電話
2 手紙、ハガキ、弔電
3 メール
4 SNS(ラインなど)
ぜひこの順番を念頭に置きながら、以下を読み進めてください。
ふだんラインでしかやりとりしていない友人にはラインでのお悔やみも可
友人など気の置けない関係であり、ふだんラインでしかやりとりしていない相手であれば、ラインでお悔やみを告げても構いません。
いつもより少しかしこまった文章を意識して、手短に今の気持ちを伝えましょう。
ただ、常に接している親友などとくに親密な関係にある場合は、ラインだけでは素っ気ないと思われてしまう可能性もあります。
ラインをしたら、葬儀後など落ち着いた頃を見計らって電話してみるのがおすすめです。
ライン以外に連絡先を知らなければ、ラインでのお悔やみもやむを得ない
もしもラインのアカウントしか知らない相手であれば、ラインでのお悔やみもやむを得ません。
他にお悔やみを伝える手段がないためです。
文章の冒頭に「他の連絡手段がなく、ラインで失礼いたします」と断り書きをつければ、失礼にあたりません。
ただ、ラインを送る前に、本当に他の手段がないか考えてみましょう。
訃報には葬儀式場の住所が掲載されている場合があります。
弔電が辞退されていないなら、式場に弔電を送るのも1つの手です。
また、喪主の連絡先が掲載されている場合は、電話や手紙でお悔やみを伝えられます。
上司や目上の人にラインでのお悔やみはマナー違反
上司や取引先など目上の人にあたる場合は、ラインでお悔やみを伝えるのは控えた方がいいでしょう。
マナー違反と捉えられてしまうケースが多いためです。
ただし仕事関係者の場合、仕事以外の用件で電話をするのはなかなか勇気のいることです。
自己判断で自宅へ手紙や弔電を送るというのも、ためらう人は多いでしょう。
常にやりとりしている仕事用のメールでお悔やみを伝えるのが一番スマートです。
仕事関係者ではない目上の人、例えば趣味のサークルの年配者などには、できればラインではなく電話や弔電、手紙、メールで気持ちを伝えるのがおすすめです。
先に他の手段でお悔やみをしてからなら、ラインでのやりとりは差し支えない
ラインでお悔やみを送るのがふさわしくない相手であっても、先に電話などでお悔やみを伝えてからであれば、ラインでやりとりをするのは差し支えありません。
電話口で「たびたびお電話では煩わしいでしょうから、今後はラインでやりとりさせていただきます」などと断りを入れましょう。
ラインなどのデジタルコミュニケーションは電話と違い、伝達事項が電磁的記録として残るため便利です。
また、相手の都合が良いときにメッセージを開いてもらえます。
直接気持ちを伝えるためには、葬儀に参列したり電話をしたりするのが理想的ですが、葬儀日程や弔問の日取りのやりとりは、デジタルの方が優れているといえるでしょう。
ラインでお悔やみを送るときのマナー5つ
ラインでお悔やみを送るときは、以下の5つに気をつけましょう。
1.最初にお悔やみの言葉を入れる
まずは「このたびはお悔やみ申し上げます」など、お悔やみの文章を入れます。
気の置けない間柄であっても、お悔やみの文章には少し丁寧な言葉を心がけます。
2.故人の死因を尋ねない
お悔やみの文章では、死因を尋ねるのはマナー違反とされます。
相手が「どう返信しようか」と悩んでしまう内容でもあるため、死因の話題は避けましょう。
3.返信を求める内容を避ける
葬儀前にラインを送るときはとくに、返信を求める内容にならないよう気をつけます。
相手は葬儀の準備で忙しくしています。「返信しなくては」というプレッシャーを与えてはなりません。
最後に「返信は不要」と伝えると、さらに相手の負担を減らすことができます。
4. 簡潔な文章にとどめる
ラインの長い文章はただでさえ読みにくいものです。
まして、葬儀の準備で忙しい遺族に長文を送りつけると、負担を与えてしまいます。
お悔やみの言葉に、心配している気持ちを添えるだけの文章が望ましいです。
5.忌み言葉に気をつける
「ますます」「いよいよ」といった同じ言葉を繰り返す重ね言葉は、弔事における「忌み言葉」といわれ、使うのはタブーとされています。
できれば使用しないようにしましょう。
ラインでお悔やみを送るときの例文
お悔やみのマナーを踏まえたラインの文章は、例えば以下のようなものです。ぜひ参考にしてください。
【相手が気の置けない友人の場合】
お父様の訃報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。
悲しい気持ちの中、葬儀の準備もしなければならず大変な状況かと思います。
どうか体に気をつけて、私にできることがあったら何でも言ってください。
家族葬とのことなので参列は控えますが、落ち着いたら話を聞かせてね。
このメッセージへの返信は不要です。
【連絡手段がラインしかなく、やむを得ずラインで連絡する場合】
他のご連絡先がわからず、こうしてラインさせていただくことをお許しください。
ご尊父様のご逝去に接し、謹んで哀悼の意を表します。
遠方につき駆けつけることは叶いませんが、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
私にできることがございましたら何なりとお申し付けください。
このメッセージへの返信は不要です。
※「ご尊父様」とは、亡くなった父親を表す敬称です。母親は「ご母堂様」、夫は「ご主人様」、妻は「奥様」と表します。
敬称は間違えないよう気をつけましょう。
相手から見てどんな続柄にあたる人が亡くなったか不明であれば「お身内の訃報に接し…」などとします。
まとめ
ラインでお悔やみを送る人が出てきたのはつい最近のことで、特有のマナーはまだ確立されていません。
ここで紹介したような従来のマナーを守りつつ、ライン特有のフランクさを活かした文章で、故人の冥福を祈り相手を思う気持ちを伝えましょう。
この記事を書いた人
奥山 晶子
葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。