葬儀で困らない遺影用の写真選び、適した写真を解説します
更新:2022.07.07
葬儀を経験された方によると、葬儀で困ったことで多いのが、遺影写真。
これは何かと申しますと、ご遺族は通夜式が始まる迄に遺影写真を作らないといけません。
遺影写真自体は葬儀社が作ってくれるので安心なのですが、そのためには元になる写真を用意しないといけません。その写真選びで困ったということなのです。
なぜ写真選びで困るのか、困らないためにはどうすべきなのか、これからお話して行きたいと思います。
なぜ遺影探しで困るのか
なぜ遺影写真を作るための写真選びでお困りになるのか。どのような場合にそうなってしまうのか、具体的に例を挙げてみたいと思います。
写真がない
生前の写真がどこにあるのか、家族が家の中を探し回るケースです。
自分の写真はわかるけれども、家族の写真保管場所までは知らないという方も、多いのではないでしょうか。
一つ屋根の下で同居していれば、まだ把握出来るかもしれませんが、別世帯で暮らしているとなかなか写真探しも困難を極めます。
いつしか家族みんなが、自身のケータイの中に生前の写真がないかを探し始めます。
筆者のこれまでの経験をお話すると、この場合の最終末路は、免許証の写真を遺影にする事になります。
写真選びで時間を浪費
写真は一応あったけれど、写りの良い写真が無いという場合、写真がたくさんありすぎて、選ぶのに迷ってしまうという場合もあります。
候補を絞ったけれども、まだ他に良い写真があるかもしれないと、時間ギリギリまで探されるご家族もいらっしゃいます。
どの写真が良いか、家族間で意見が分かれる事もあります。
最終候補の中から、私がアドバイスさせていただいて決まるという場合も、過去にはかなりありました。
いずれにしろ、写真選びは責任重大。そう考えると難しく、時間がかかるものなのです。
遺影用の写真選びで困らないために
遺影用の写真選びで困らないためには、前もっての事前準備が大切です。
前もって写真を決めておく
前もって写真を決めておくことは、重要です。
先ほどの例のように、通夜が始まる前に写真選びで悩む、写真探しで時間を費やすという事は無くなります。
家族に渡しておく
写真を決めておいたとしても、他の家族がその写真をどこに保管しているのかを知らなければ、やはり「写真がない」となるので注意が必要です。
保管場所を決めて伝えておくか、他の家族に渡しておくのも一つです。
データで保管する場合は、ご自身とご家族で共有もできるので便利だと思います。
作っておく
過去にお手伝いさせていただいた喪家様の中には、事前に遺影写真を作ってた方もいらっしゃいました。
四つ切りサイズの遺影写真を、前もって額に入れて準備していれば、当然家の中にいれば日常的に目に入ってるでしょう。写真探しや写真選びで時間を費やす事は、もはやありません。当日忘れずに持参するのみです。
遺影にするのに適した写真
葬儀社の立場から、遺影にするのに適した写真をアドバイスさせていただきます。
写真選びでお役立てください。
笑顔がおすすめ
なるべく表情が良いもの、笑顔がおすすめです。または「その方らしいな」と周囲が思う表情です。
ピント
遺影写真は四つ切りサイズです、大きく拡大しますから解像度が低い写真、ピントが甘いと
拡大した時にぼやけてしまうので注意が必要です。
複数で写った写真でも構わない
複数で写った写真でも構いません。葬儀社が上手く加工してくれますので、大人数で写った集合写真でも大丈夫です。
衣服や背景は加工出来る
衣服や背景も、葬儀社が上手く加工してくれます。衣服を着物やスーツに着せ替える、背景を海辺、紅葉や桜にするなども可能です。
最も大切なのは
以上を踏まえて最も大切なのは、「表情が良くてピントが合ってること」です。表情とピントがOKであれば、集合写真でも服が好みでなくても、背景が好みでなくても、加工した結果、最高のお写真が出来上がるでしょう。
写真はいつ撮ったものにする?
前もって事前に写真を用意しようとしたけれども、なかなか良い写真がないという結論に至る場合もあります。一般的にいつ撮ったものを遺影用に使用してるのか気になるところです。
時期は重要ではない
「私は現在60歳です。遺影用の写真を事前に用意しようと思うのですが、何年前迄の写真なら大丈夫ですか?」と尋ねられたことがあります。
結論から申し上げますと、いつの時期にするのかは自由です。決まりはありません。
撮影時期よりも、それがご本人らしい姿なのかどうか、そしてピントも合ってて質が良いものなのかが大切です。
私は過去に90歳の女性のお葬式で、65歳の頃の写真を使用した事もありますし、60歳の女性のお葬式で、40歳の頃の写真を使用した事もあります。
年齢を重ねると写真を撮る機会が少なくなるので、写真を撮る機会をあえて作ることをおすすめします。
気に入った写真が無ければ、これから撮ろう
ご自身で自分の遺影用の写真を選ぶことが出来るなら、やはりこだわりたいと思う方も多いのではないでしょうか。
変な写真を使われるのは恥ずかしいから自分で決めておく、今のところ気に入った写真がないという方は、プロに撮影していただく事をおすすめします。
毎年、ご夫婦で記念写真のような形で写真をお撮りになる方もいらっしゃいます。
プロに頼まなくても、家族で集まる機会に、誕生日に、記念日に、定期的に写真を撮って残すというのは良いと思います。
個性的な遺影
私がこれまでにお手伝いさせていただいたお葬式で個性的だった遺影写真をご紹介させていただきます。
「あっこういう写真でも大丈夫なんだ」と思っていただけると幸いです。
革ジャンを着たバイク乗り
愛車のハーレーダビッドソンで休みの日はいつも仲間とツーリングだった男性のお葬式。
遺影は、革ジャンの姿が一番本人らしいと家族が満場一致で決まる。
カープのユニフォームを着たカープファン
カープが好きすぎて、生前にカープのユニフォームを着た姿の写真を遺影用に選んだ男性。
ご家族は祭壇に浮かぶ遺影を見て、本人らしいと笑い、温かいお葬式になりました。
釣った魚と記念写真
魚釣りが大好きだった男性のお葬式では、釣った魚を手に記念のポーズを撮った写真が、そのまま加工を一切しないまま遺影写真となりました。満面の笑顔が印象的でした。
豆知識 葬儀に遺影写真は必ず必要なの?
最後にそもそも葬儀では、遺影写真が必ず必要なのかという疑問に対してお話させていただきます。
結論から申し上げますと、遺影写真は必ず必要なものではありません。
葬儀の歴史において「遺影写真」が登場したのは、昭和に入ってからです。
遺影写真は御本尊などと違い宗教上必ず必要なものではありません。
ですから直葬、火葬式では遺影写真を作らない事は普通にあります。
葬儀において祭壇文化が出来上がり、祭壇の中心に遺影が飾られるものとされましたが、実は遺影が中心に無くても、お寺様は普通に読経をされます。
遺影を置くスペースを設けてるから、スペースが空いてると目立って変に見えるのです。
最初から遺影を置くスペースを用意しなければ、遺影が無くても違和感はありません。
このように遺影写真は、葬儀の際に必ず必要なものではありません。葬儀後に作ってもよいものなのです。
「なかなか写真が決まらないから、しっかり選んで後日きちんとした写真を作ろう」
このようなお考えを持っても良いという事です。
ただ葬儀をきっかけとして遺影写真を作るというのは、作って残しておきたい方にとっては有効な選択肢だと思います。
まとめ
ここまで遺影用の写真選び、写真探しについてお話させていただきましたが、最後に要点をまとめてみたいと思います。
・葬儀で困った事で、よく登場するのが、遺影用の写真選び
・「写真ない!写真探し」「どれにしよう?写真選び」かなりの時間を費やす
・予め写真を用意しておくことが大事
・予め用意した写真を家族で共有出来ていれば、更に良い
・写真は笑顔など表情が良く、ピントが合ってるもの
・写真は表情とピントが良ければ、衣服と背景は加工出来るので大丈夫
・気に入った写真が無ければ、これから撮ることも考えてみる
・個性的な写真でもO K、自分らしいお写真を
・遺影写真は、葬儀に必ず必要なものではないが、作るつもりであれば、葬儀をきっかけに作ったほうが良い。
この記事を書いた人
廣田 篤 広島自宅葬儀社 代表
葬儀業界23年、広島自宅葬儀社代表。厚生労働省認定技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。前職大手葬儀社では担当者として 1500 件、責任者として1万件以上の葬儀に携わる。実母の在宅介護をきっかけに広島自宅葬儀社を立ち上げて現在に至る。広島市内だけでなく瀬戸内海に浮かぶ島々から、山間部の世羅町、神石高原町まで広島県内あらゆる地域の葬儀事情に精通する広島の葬儀のプロ。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。