葬式に行きたくないときはどうする?非礼にならない言い方や注意点
更新:2022.12.09
何らかの事情で葬式に行きたくないと感じるときは、どう断ったらよいか悩むものです。
お葬式の後も遺族と変わらぬお付き合いをしたいと考えていたら、なおさら悩んでしまいますよね。
葬式に行きたくないときは、言葉を選んで非礼にならないような断り方をしなければなりません。
葬式に行こうか行くまいか迷っている人のために、遺族への伝え方、葬式に行かないメリットやデメリット、後ですべきフォローなどについて解説します。
目次
葬式に行きたくないとき、どうしたらいい?
葬式に行きたくないと感じる人の事情はさまざまです。
故人や親族との関係性が悪い、遠方につき費用面が苦しいなどなど……。
故人との関係が薄すぎて「自分は、行く必要がないのでは?」と感じている人もいれば、故人との確執がありすぎて「あの人の葬式には出たくない」と拒絶してしまう人もいるでしょう。
結論からいえば、葬式に行きたくないと感じ、さらに行こうかどうか迷う余地があるのなら、ぜひ行くべきです。
なぜなら、思い切って葬式に行けば、その後は悩まずに済むからです。
葬式に行かないと、後で遺族をどうフォローすべきか悩んだり、親族の反応が気になってしまったりと精神的に引きずることになります。
葬式に行かないことをすでに決め、「行かないことをどう伝えようか」と考えている人や、「行った方がいいのは分かっているけれど行きたくない」と悩みがこじれている人は、ぜひこの先を読み進めてください。
葬式に行かないことで生じるメリット
葬式に行かないことで生じるメリットは、主に以下の4つです。
精神的なゆとりが生まれる
故人や親族との関係性が理由で葬式に行きたくないと感じている人にとって、葬式に行かないことで生まれる精神的なゆとりは最大のメリットです。
故人の遺影を見なければ、嫌な思い出がよみがえってくることはないでしょう。
葬式に集まる親族と話をしなければ、傷つくこともありません。
費用的なゆとりが生まれる
とくに遠方の場合は、葬式に行くための交通費が発生しないことでかなりのゆとりが生まれます。
喪服を揃える必要もありません。関係性が希薄な人の葬式であればあるほど、参列するための費用はもったいなく感じてしまうでしょう。
時間的なゆとりが生まれる
仕事や育児、家事に追われている人にとってはとくに、時間は貴重なものです。
関係性の薄い人の葬式に出るための時間を「惜しい」と感じることでしょう。
元気だった頃の故人が最後の想い出になる
なかには、故人が亡くなったことが辛すぎて葬式に行きたくないという人もいるでしょう。
葬式に行き、最後のお別れをするときには、故人の顔を見ざるを得ません。
するとお別れのときの顔が脳裏に焼き付き、ずっと寂しい思いをすることになるかもしれません。
参列しなければ、思い出の中の故人は元気だった頃のままです。
葬式に行かないことで生じるデメリット
葬式に行かないことで生じるデメリットは、以下の5つです。
思いを清算できる機会を失う
故人と何かしらの確執がある人は、葬式に行き、物言わぬ故人の顔を見ることでこれまでの気持ちが清算できる可能性があります。
親族との関係性が悪い人も、改めて話をしてみれば双方の誤解が解けたり、謝罪の言葉を聞けたりするかもしれません。
全ては可能性の話ですが、気の向かない葬式にあえて行くことで事態が好転するかもしれないのです。
参列しなければ、その機会を失ってしまいます。
遺産相続に差し支える
もし自分が法定相続人であった場合、相続会議には出席せざるを得ません。
どんなに親族と顔を合わせたくなくても、相続トラブルを避けるためには、しっかりコミュニケーションしなければならないのです。
葬式に行かなければ、後の会議で必ずそれを責められるでしょう。
相続会議にも出たくないのであれば、士業に手続きを依頼するか、相続を放棄するしかありません。
後で遺族へのフォローが必須になる
葬式に行かず時間的、費用的な負担を軽減したとしても、これからも遺族と友好な関係を保ちたいと考えている場合には、遺族へのフォローが必要になります。
弔電や供物、香典を手配しなければならず、結局は時間的、費用的な負担がゼロになることはありません。
「お悔やみの気持ちをどう伝えよう?」と悩む時間も生じます。
自分の家族の立場が悪くなる
自分と故人との関係性が近いほど、葬式に行かなければ常識外れのレッテルが貼られます。
そのレッテルは自分だけではなく、自分の家族にも貼られてしまうことでしょう。
以後、親族の行事が生じたときなど、家族に肩身の狭い思いをさせるかもしれません。
心残りが生じる可能性がある
「あの人の葬式に出なかった」ということが、自分の心の奥深くに後悔として残る可能性があります。
他の参列者から葬式のときの話を聞くたびに、葬式に行けば良かったという思いが募るのは辛いものです。
葬式は、一回限りのことだからです。
葬式に行かないと決めたら、こんな風に言ってみよう
以上のようなメリットとデメリットを踏まえた上で、「やはり葬式に出ない」と決めたなら、次のように言ってみましょう。
メールなどより電話の方が、誠意が伝わります。
ただ、喪主は忙しく電話には出られないかもしれません。
一度電話して出ないのであれば、メールなどを送っても構いません。
【故人と関係性が薄い場合】
■仕事が休めない
替えの効かない仕事が葬儀日程と重なってしまい、どうしても都合がつかない旨を告げます。
この場合「葬儀後、仕事が落ち着き次第、すぐ弔問させてください」と言い添えましょう。
■体調不良につき
急な高熱、持病の悪化、入院中などの事由で参列できない旨を告げます。
「体調が落ち着き次第、すぐ弔問させてください」と言い添えましょう。
■遠方につき
海外赴任中や、葬式に行くのに飛行機を使わなければならないといった事情なら、「遠方なので参列は遠慮させてください」と言えます。
「近くへ伺ったときには、お墓参りをさせてください」と言い添えましょう。
■コロナ事情が気になる
感染症が流行中で、自分や家族が持病を持っているなど重症化リスクが高い場合には、「感染症が拡大中なので参列は遠慮させてください」と言えます。
「事態が落ち着き次第、連絡させてください」と言い添えましょう。
【故人と関係性がかなり深い場合】
故人の子や兄弟など、関係性がかなり深い場合には、仕事や遠方であることを理由にするのは難しく、体調不良やコロナなどの理由も、入院中や大流行中といった事情がなければ無理があります。
本当の理由をなるべく正直に打ち明けた方がいいでしょう。
遺族と変わらぬお付き合いをするためのフォロー
葬式に行かなくても、遺族と変わらぬお付き合いをしたいと思う人は、以下のようにフォローしましょう。
弔電を送る
葬式に間に合うよう、弔電を送ります。
そもそも弔電は、お葬式に出たくても出られない人が打つ電報です。
葬式に行かないなら、必ず弔電を送りましょう。
香典を送る
香典は、後で改めて弔問するときに持参する方法と、現金書留で郵送する方法があります。
いずれかの方法で必ず届けましょう。
供花・供物を送る
とくに故人と関係性の深い人は、葬式に間に合うよう供花か供物を送りましょう。
葬式を取り仕切る葬儀社に連絡し、自分の名札をつけたスタンド式の供花か、缶詰などを盛り合わせた盛り籠を式場に飾ってもらいます。
供花や盛り籠の価格相場は一基6000円~1万円程度です。
喪中見舞いを送る
香典や供花、供物、弔電を辞退している葬式もあります。
その場合は、葬儀後に喪中見舞いを送りましょう。
喪中見舞いとは、喪中の人にお悔やみを伝えるためのハガキです。
本来、年賀状を欠礼する喪中はがきをもらってから書くものですが、この場合は葬式が終わってすぐに書いて差し支えありません。
心を込めて、自分の言葉でお悔やみを伝えましょう。
「どちらが辛い?」を考えて、行くか行かないかを決めよう
ここまで読み進めてもまだ迷っている人は、もう一度葬式に行かないことで生じるメリットとデメリットを引き比べ、どちらが辛いかを考えてみてください。
葬式は一日で済みます。
行かない後悔は、もしかしたら一生です。
それでも自分の気持ちや時間、費用を守りたいと考えたなら、「行かないことで後悔しない」としっかり覚悟を決めましょう。
この記事を書いた人
奥山 晶子
葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。