葬式に腕時計をして参列してもいい?OKな時計とマナーを解説

更新:2022.10.09

葬儀のとき身につけるのが許されるアクセサリーは、結婚指輪と一連のパールのみとされています。

「では、腕時計は許されないのだろうか?」と悩む人もいることでしょう。

結論としては、実用的な時計であれば葬儀で身につけても問題ありません。

葬儀で身につけても構わない時計と、時計をつけるときのマナーについて解説します。

葬儀で腕時計はNG?

「冠婚葬祭の場では、腕時計をつけるのはあまりよくない」という話を耳にしたことがある人もいるでしょう。

その理由は、大事な儀式の最中に時間を気にすることが、マナー違反に当たるためです。

また、時計を実用的なものではなく腕につけるアクセサリーとして考えたときには、「儀式に必要ない、よけいなもの」と言わざるを得ないためです。

よって、腕時計を必要としないのであれば、つけないほうが無難です。

しかし、「帰りの電車の時間を気にしなければならない」など、儀式の最中に時間を確認する必要がある人は、腕時計をつけても何ら差し支えありません。

避けたいのは、スマホを時計代わりにして、儀式中に何度も時間を確認することです。

スマホの明かりが他の参列者から見えてしまい、印象が良くありません。

スマホを時計代わりにするくらいなら、腕時計をつけてそれを確認した方が、マナー違反に当たりません。

葬儀でもOKな腕時計とは?

葬儀でつける腕時計を選ぶときに気をつけたいのが、実用的なデザインであることです。以下に気をつけて腕時計を選びましょう。

【男女を問わず】

■ベルトは黒や茶系など落ち着いた色味の皮革タイプか、光沢を抑えたシルバー

ベルト部分はシンプルで地味めのデザインがいいでしょう。カラフルなもの、光沢のありすぎるものは避けます。

■文字盤はシンプルで分厚くないもの

文字盤については、丸や四角といったごく一般的な形であれば問題ありません。なるべく装飾がないシンプルなものを選びましょう。

■デジタルよりもアナログが好ましい

時間がデジタル表示になっているものより、昔ながらのアナログ時計が好印象です。

【男性が避けたい時計のデザイン】

■ゴツめのデザイン

スポーツウォッチなどの分厚いデザインは、喪服に合わず悪目立ちしてしまいます。

■遊び心のあるデザイン

ユニークな形状のものも、喪服には合いませんし、儀式にふさわしくありません。アクセサリーと見なされてしまいます。

■多機能ウォッチ

文字盤が賑やかなため、あまりふさわしくありません。

【女性が避けたい時計のデザイン】

■ビジューやジュエリーのついたデザイン

アクセサリーとしての意味合いが強いため、儀式ではつけないようにしましょう。

■ベルト部分が華奢なブレスレットウォッチ

これもアクセサリーの要素が強いデザインです。

手持ちの中に、OKな腕時計がない場合は?

最近では、スマホが時計の役割を持つこともあり、腕時計を複数持っているという人も少ないことでしょう。

手持ちの中にOKな腕時計がない場合、わざわざ葬儀のために時計を新調する必要はありません。

次のような工夫で、なるべくマナー違反にならないよう気を配りましょう。

「借りられそうな時計はない?」身内に相談

一緒に葬儀へ参列する予定のきょうだいや両親などに、シンプルな時計を持っていないか尋ねてみましょう。

事前に貸し借りするのではなく、葬儀式場へ持ってきてもらうのであれば、お互いにあまり負担はありません。

儀式中は腕時計を鞄やポケットにしまっておく

葬儀の受付を済ませたら、腕時計を外して鞄やジャケットの内ポケットにしまっておきます。

葬儀が終了してから、また腕時計をつけます。

儀式中だけでも腕時計を外しておけば、焼香中などに腕時計が人目につく心配はありません。

儀式中に時計を見る必要がある場合は、なるべく後ろの席にいる

どうしても儀式中に時間を確認する必要があるなら、なるべく後ろの席に座り、極力他の人の目につかないようにしましょう。

中座しなければならない可能性があるなら、なおさらです。

腕時計の正しい付け方

腕時計を着用したイメージ

実用的な腕時計をつけていても、つけ方が正しくなければ、マナーが完璧とはいえません。

以下に気をつけましょう。

利き腕と反対側の腕につける

腕時計は、利き腕と反対側の腕につけます。

文字を書くなど、利き腕を使って何かを行うときに腕時計が邪魔になるのを防ぐためです。

手首の付け根にある骨の出っ張りの、すぐ上に腕時計をつける

手首の小指側に、骨が出っ張った部分があります。

この出っ張りのすぐ上に、画像のように腕時計をつけましょう。

この位置であれば、ジャケットを羽織ったとき、時計が半分程度隠れます。

そして時間を確認するため腕を上げれば、袖をたくし上げなくても時計が見えます。

ベルトは指が1本入る程度のゆとりを持たせて締める

ベルトを締めるときは、緩すぎずきつすぎず、手首とベルトの間に指が一本入る程度のゆとりを持たせます。

腕を動かしたときベルトが上下にずれてしまうのは、緩すぎるサインです。

ベルトの跡が手首についてしまうのは、きつすぎるサインです。

文字盤は内側でも外側でもOK

長く、腕時計の文字盤を「男性は手首の外側、女性は内側につける」というのがマナーとされてきました。

しかし近年では、どちらでもよいとされています。

一般的には外側につける人が多いですが、「文字盤が派手なのが気になる」などマナー面で配慮したい場合は、内側に向けても良いでしょう。

ただし、女性が着物を着用する場合は、文字盤を手首の内側につけます。

これは、手首の外側につけてしまうと、文字盤を見るときに脇が開き、身八ツ口(着物の脇に空いている隙間)から下着が見えてしまうためです。

極力、腕時計をのぞき込まずに済むよう心がけよう

実用的な腕時計をつけているからといって、儀式中に何度も腕時計をのぞき込んでは、やはりマナー違反になってしまいます。

極力、腕時計を見なくても済むよう、心がけましょう。

仏式葬儀の場合、会葬者の人数にもよりますが、儀式の時間は40分から1時間程度です。

神葬祭(神式)やキリスト教式は30分から40分程度と、仏式より短い傾向があります。

帰りの電車の時間が気になる人は、この時間の目安を覚えておくと良いでしょう。

儀式が始まる前に、葬儀社へ時間の目安を尋ねておければ、より確実です。

なお、儀式が始まって、だいたい20分後くらいから焼香や献花が始まります。

焼香や献花の最中は会場に動きが生まれるため、時計を確認してもさほど目立ちません。

なるべく腕時計を見ないよう意識しながら、故人を悼み、儀式に敬意を表す心を大事に参列しましょう。

この記事を書いた人

奥山 晶子

葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。

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