法事の服装はいつまで喪服?平服指定の場合は何を着る?
更新:2022.09.07
法事の服装は、喪服と決まっているわけではありません。
没後何年も経過していたり、かなりの暑さ、寒さが見込まれたりするときは、施主の判断により平服で行われることもあります。
なかには「喪服であるとしても、葬儀のときよりカジュアルではダメだろうか?」と、少しでもラフにしたいという方もいるでしょう。法事の服装について、詳しく解説します。
法事の服装は、少なくとも三回忌までは喪服が一般的
法事の服装は、喪服が基本です。
法事の案内に「平服でお越しください」など服装についての記述がなければ、喪服で参列するのがマナーとされます。
しかし、施主に「よりカジュアルにしたい」「参列者に、楽な格好で着てほしい」という意思があるのであれば、施主側が平服を指定しても構いません。
喪服から平服への切り替えのタイミングは、七回忌以降が良いとされています。
故人が亡くなってから年が浅い三回忌までは、平服ではなく喪服とするのが一般的です。
また、回忌に限らず、施主の判断で平服となることもあります。
夏、あまりの暑さが予想されるときや、厳寒地帯の冬に行われるときなどです。
非常に寒さを感じる場合、とくに女性の喪服は中に何かを着込むのが難しいため「喪服に限らず、温かい格好で」と案内されることもあるのです。
喪服を着用するときの法事の服装
施主から平服の指定がない場合は、以下のような服装で法事に出かけましょう。
男性
葬儀のときに着用する、ブラックフォーマルが基本です。
光沢のない黒いスーツに白いワイシャツを合わせ、黒ネクタイ、黒いベルトを着用します。
20代など、まだ喪服を揃えるには若いとされる年齢の場合は、黒いビジネススーツでも構いません。
また、ワイシャツは長袖が基本ですが、真夏は半袖でも良いとされます。
靴や靴下などの小物も、黒の無地で揃えます。
女性
葬儀のときに着用する、ブラックフォーマルが基本です。
黒いワンピースに黒ジャケットを着用し、ストッキングも黒とします。
ただし、20代など手持ちの喪服がない若年層は、黒いビジネススーツでも構いません。
スカートのスーツに、白いワイシャツを着用しましょう。
パンツスーツしかない場合は、パンツスタイルでもやむを得ません。
髪留めや靴などの小物も黒無地で、アクセサリーは、結婚指輪の他は一連のパールネックレスとイヤリングだけが許されています。
パールの色は、白もしくは紫、黒です。
子ども
子どもは、制服を着用します。
制服がない場合は、黒やグレーなど、地味めの色を選んで着せましょう。
男の子ならジャケットに白いワイシャツ、女の子ならワンピースにボレロなど、大人の喪服に服装を寄せるのが理想的ですが、手持ちにおしゃれ着がない場合は、持っているワードローブの中で工夫しても構いません。
ただし、服、靴ともにキャラクターものやキラキラ光る装飾などは控えます。
音の鳴る靴も避けましょう。
平服と指定されたときの法事の服装
平服と指定されたときは、喪服を着用してはいけません。
また、ジーンズやTシャツ姿といったラフな服装でもいけません。
法事のときの平服は、一言で表せば「地味な色味のお出かけ着」です。
男性
ブラックフォーマルではない、黒や紺、グレー、ブラウンなど暗めの色味のスーツを着用します。
スーツには、ストライプなどの柄が入っていないものがよりふさわしいとされます。
スーツの中は長袖か半袖の白いワイシャツで、これも地紋などが入っていないシンプルなものを選びましょう。
ネクタイはグレーや紺などの無地を選び、ベルト、靴下、靴は黒が望ましいですが、手持ちになければ黒以外の暗い色でも構いません。
結論として、男性の平服はビジネスシーンで着用しているスーツ姿で間に合います。
ただ、長くクリーニングに出しておらずヨレヨレだったり、膝が出ていたり、ヒジ部分がこすれてテカっていたりするようなスーツはやめておきましょう。
女性
ブラックフォーマルではない、黒や紺、グレー、ブラウンなど暗色系の無地のワンピースに、同系色のジャケットやカーディガンを合わせます。
もしくは暗色系のスカートスーツか、パンツスーツを着用します。
ジャケットの下は、白いワイシャツやブラウスが最も適していますが、黒や紺のブラウスでも良いでしょう。
ストッキングは肌色とし、髪留めや靴などの小物は黒無地が無難ですが、喪服のときほど厳格ではありません。
手持ちの中で最もシンプルなものを選びます。
普段使いしているパンプスを着用する場合は、かかと部分が傷んでいないかチェックしておきましょう。
子ども
地味めのおしゃれ着を意識します。
喪服指定のときと同様に、男の子ならジャケットに白ワイシャツ、女の子はワンピースにボレロなどがいいでしょう。
なるべく落ち着いた色味のもの、無地に近いものを選びます。
厳密に言えば、子どもの制服は正装であり平服ではないため、平服を指定されたときは制服の着用を避けるのがベストといえます。
しかし、手持ちにふさわしい服がない場合には、制服を着せても、とがめる人はあまりいません。
法事の持ち物
法事の持ち物は、喪服であっても平服であっても同じです。以下の5つを忘れずに準備しましょう。
香典
法事では、黒白の水引があしらわれた香典袋を使用します。
仏式の場合、四十九日法要以降の表書きは「御仏前」です。
初七日法要など、四十九日以前の法事に参列するときは、浄土真宗なら「御仏前」、それ以外の宗派なら「御霊前」となります。
神式の場合、香典の表書きは「御玉串料」または「御榊料」です。
袱紗(ふくさ)
香典は裸で持参せず、袱紗に包みます。
袱紗の色は、紫や黒、グレー、ブラウンなどの地味な色とします。
桜色、黄色などの華やかな色は慶事用なので、持たないよう注意しましょう。手持ちに袱紗がない場合は、香典を白いハンカチに包んで持参します。
数珠
仏式の法事であれば、数珠を持参します。持っていないのであれば、必ずしも持参しなくて構いませんが、日にちに余裕があるなら買い求めるのもいいでしょう。
数珠の種類は、厳密にいえば宗派によって多少の違いがありますが、施主となる人以外はそれほどこだわらなくても構いません。
初めて購入するなら、一連のシンプルなものを選ぶのがおすすめです。
また、ご実家を出て暮らしている人なら「実家に電話をして、法事の際に自分のぶんの数珠も持ってきてもらう」という手も使えます。
ご実家の仏壇には、数珠が複数眠っている可能性があります。
ハンカチ
男女ともに、白か黒のハンカチを持参しましょう。
もしかしたら、「ついつい忘れてしまって……」と、ハンカチを持ち歩く習慣のない人もいるかもしれません。
しかし、法事に焼香はつきものです。焼香の後は必ず手を洗いたくなりますから、忘れないようにしましょう。
黒い鞄
とくに女性の場合、香典や数珠は、黒い鞄に納めて持参します。
喪服の際はブラックフォーマル用の布バッグを使用し、平服であれば暗い色味のバッグを選びます。
チャームなど装飾品があれば、外しておきます。
男性の場合、女性が使うような布バッグは持ちません。
喪服でも平服でも、黒いセカンドバッグがふさわしいですが、数珠や香典は胸ポケットに納め、手ぶらで参列する人もたくさんいます。
喪服でも平服でも、身だしなみを整えるのが一番大事
以上、法事の服装について解説しました。
喪服はふだん着慣れないものなので、いざというとき「何を準備すれば?」と慌ててしまいがちです。
服装をしっかり整えたら、最後に身だしなみをしっかり整えるのも忘れずに。
ヒゲのそり忘れや、寝癖のままでの参列は、どんな服装であってもマナー違反になってしまうため気をつけましょう。
この記事を書いた人
奥山 晶子
葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。