エンディングノートの作り方は?スムーズに書くための5つのポイント
更新:2022.08.10
エンディングノートとは、自分の介護や医療、葬儀や墓の希望を書き残しておくノートです。
「終活の一環として買ってみたは良いものの、まだ書き始めていない」「何から書けば良いのか分からない」という人も多いのではないでしょうか。
エンディングノートをスムーズに書き進めるためには、コツが必要です。エンディングノートの作り方のポイントを解説します。
エンディングノートとは、自分で自分のことができなくなったときのための「指示書」
エンディングノートとは、「突然亡くなった」「急に入院した」「認知症になった」など、自分で自分のことができなくなったときのために、自分の希望や必要なことを家族や身近な人に託すための「指示書」です。
エンディングノートを「死後の希望を叶えてもらうためのノート」「自分の気持ちを残された人に伝えるためのノート」と捉える向きもあります。
確かにそういった側面もありますが、このように捉えていると「死後のことなんて、まだ考えられない」「ノートを作るのは、もう少し先でいい」と感じ、取り組みが先延ばしになってしまいがちです。
エンディングノートを使うのは、自分が亡くなったときばかりではありません。
例えば急に入院したら、ペットの世話や家の維持管理、光熱費ほか自分の入院費用の支払いなどを、他の誰かにやってもらわなければなりません。
仕事先や友人への連絡も必要です。
離れて暮らす家族はもちろん、同居している家族でさえ、連絡先の詳細を伝えていないことは多いのではないでしょうか。
エンディングノートを作るときには、「死後のことを家族に託す」というより「自分ではない誰かに指示書を残す」と考えてみましょう。
書き残さなければならないことがよりいっそう具体的になり、筆が進むようになります。
エンディングノートをスムーズに書くための5つのポイント
エンディングノートをスムーズに書くためには、以下の5つのポイントを押さえましょう。
取り組むべき順番に沿って解説します。
ポイント1 「作るのはこれ一回限り」と思い込まない
エンディングノートは、生きている限り、何回作っても良いものです。
まずは表紙に、書き始めた年月日を大きく書き入れましょう。
「作るのはこれ一回限り」と考えていると、「葬儀の希望」や「お墓の希望」といった死後の希望を記す項目はとくに「今後気が変わるかもしれない」と書くのを敬遠しがちになります。
後で削除したり追加したりするのが面倒で、住所録を作りたくなくなります。
しかし、希望が変わったり、交流関係が変化したりすることは、何歳になってもあり得ます。
大事なのは、今現在の自分の状況や希望を記しておくことです。
「人生の最後に書けば良いのでは?」とためらっていると、いつまで経っても書くことはできません。
削除や変更が面倒になってきたら、新しいエンディングノートを購入し、また書き始めれば良いのです。
その際、やはり書き始めた年月日を表紙に書いておきましょう。
それによって、いざというとき残された家族が、更新日の新しいノートを優先させることができます。
ポイント2 自分が倒れたら困ることから優先して書く
エンディングノートは、最初から書く必要はありません。
「明日、自分が突然倒れたら」をイメージし、困ることから優先して書きましょう。
優先事項として考えられるのは、例えば「親族・友人の連絡先」や「ペットの世話について」、「各種保険の証書のありか」「通帳やクレジットカードの一覧表」などです。
配偶者が管理しているケースでは、自分も配偶者に何かあったときのためにしっかり把握するチャンスになるので、必ず聞き出します。
ポイント3 ひとまず書ける項目だけを埋める
多くのエンディングノートは項目が細かく分かれ、各項目に対して書き込み欄があります。
真面目な人は、「全ての項目を埋めないと落ち着かない」と考えてしまうかもしれません。
しかし、すぐに全ての項目を埋めなくても良いものと考えましょう。
そもそもニーズは人それぞれなので、エンディングノートが提案する項目に全て応えなくても良いのです。
反面、「こうしたいという希望があるけれど、エンディングノートの項目にはない」ということもありえます。
空いているスペースに、どんどん希望を書き入れましょう。
ポイント4 「モノを指定する項目」に行き詰まったら身の回りを整理してみる
エンディングノートを作っていると、行き詰まることがあります。
とくに行き詰まりやすいのが「財産一覧」や「形見分けの希望」、「遺影の希望」など、モノを指定する項目です。
一度身の回りを確認しないと、なかなか書けません。
行き詰まったときは、家のあちこちを少しずつ捜索するのではなく、いったん生前整理をするつもりで荷物をすっかり点検してみるのがおすすめです。
家の中のもの全てをチェックすれば、宝飾品や加入していること自体を忘れていた保険の証券など、思いがけない財産が見つかる可能性があります。
見つけたものは洗いざらいエンディングノートへ書き入れ、もう二度と忘れないよう、一カ所に集めておきましょう。
余裕があれば、ついでに不用品の処分や片付けを終わらせてしまうのが理想的です。
このように、エンディングノートを書く過程で、家の中もスッキリ片付きます。
ポイント5 「希望項目」に行き詰まったら情報を集めてみる
希望の医療や介護、葬儀、墓など、自身の希望を書き記す項目で行き詰まったなら、いったんペンを置いて、情報収集を始めてみましょう。
具体的にどのような選択肢があるかが分かれば、希望を記しやすくなります。
情報収集は、実際に出かけてみるのが一番です。
「アクセスの良い介護施設」や「感じの良い葬儀社」、「雰囲気に好感の持てる霊園」などに、感染対策に気をつけながら見学へ出向きます。
葬儀社や石材店が主催する終活イベントで情報収集をするのも、いい手です。実際に目で見ることで、イメージが膨らみます。
また、インターネットやチラシ、数多く出版されている終活本などで情報収集をすると、見学だけでは得られない知識が包括的に身につきます。
外出を控えたい事情があるときにも有効です。
エンディングノートを作ると、自然に家と心の整理ができる
エンディングノートは、ポイントを押さえれば、今の自分に必要な項目から書き進めることができます。
現在の状況や希望について考えを突き進めていけば、家の中を片づけたり、自分の内なる希望を可視化させたりといったことができるでしょう。
このように、エンディングノートを作ると、家と心の整理につながります。
定年の節目に、古希の記念になど、今の自分の棚卸しをするイメージで書き始めましょう。
この記事を書いた人
奥山 晶子
葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。