家族葬は喪主の挨拶をしなくてもいい?挨拶が苦手な方の対処法
更新:2022.06.28
近い親族を中心に身内で故人を送る家族葬の場合、喪主は挨拶をする必要があるのだろうか?
疑問に思う方へ最近の実情を葬儀社の立場からお話させていただきます。
また、挨拶を行った方が良い場合、挨拶をすることになった場合に挨拶が苦手な方のための対処法もご紹介させていただきます。
家族葬では挨拶をしないことも増えている
家族葬において、式の中で喪主が挨拶を行うことは年々減少傾向にあるのが実情です。
どのような理由でそうなっているのか、見てみましょう。
身内ばかりで形式に捉われる必要がない
参列者への接待や挨拶で疲弊することなく、近い身内でゆっくり故人を送りたいと考えていたご家族の場合、喪主の挨拶を行うとなれば、思い描いていた葬儀とは異なってしまうと感じる場合もあります。
形式に捉われることなく、故人を送ることに専念したい。
そんな方は、式の中での挨拶は省略する方が増えています。
挨拶を行うとなれば、挨拶のことを考える時間が必要になるからです。
かしこまって挨拶をする必要が感じられない
これが最も多い理由ですが、喪主が我が子や孫へ挨拶をする必要があるのか?
わざわざ挨拶をするほどかしこまる必要はなく、挨拶を行うことが大げさになると感じる場合もあります。
このような時、式の中で挨拶を行うことを省略することはあります。
家族葬では式の中で喪主挨拶を省いても構わない
家族葬で喪主挨拶を省くことは問題ありません。
理由は下記になります。
式以外の場面で挨拶を済ませている
家族葬に集まった参列者は親族です。
これらの方々とは、式が始まる前に挨拶を済ませてる場合が殆どです。
一度も会話することなく、式が始まったとは考えづらく、「この度はわざわざありがとうございます」と挨拶を済ませているのではないでしょうか。
そのため、改めて挨拶を行わなければならない必要性はありません。
すでに挨拶は終えているのです。
式の中で挨拶をした方が良い葬儀とは
式の中で挨拶をした方が良い葬儀は、式が始まる前に挨拶が出来なかった方がいる、言葉を交わすことが出来なかった方がいらっしゃると想定される葬儀です。
親族以外に、近所の方、会社関係の方、友人が集まる従来の葬儀では、参列者の一人ひとりへ挨拶を行うことが出来ない場合もあり得ます。
喪主がある参列者と3分間話せば、その間に訪れた別の参列者とは言葉を交わすことができません。
わざわざ足を運んでくださった参列者全員に、一人も欠けることなく挨拶を行うため、非礼とならないように、式の最後で全員へ向かって挨拶を行うのです。
従来は、このような理由があったため、葬儀の最後に喪主挨拶が行われてきました。
家族葬で喪主が挨拶をする場合はどんな時?
では家族葬を行った方が、挨拶を行うのはどんな時が多いのか見てみましょう。
親族から挨拶があった方が良いと必要に迫られた
家族葬でも挨拶を行った方が良いかどうか、周囲に相談した結果、きちんと行うべきだという結論になったため、挨拶を行ったという事例はよくあります。
この場合、周囲がそう感じているのですから、喪主は大変かもしれませんが、挨拶を行えば少なくとも周囲から後で批判されることは防ぐことが出来ます。
周囲に聞いて欲しい故人にまつわる話がある
葬儀の主役は故人です。
人生で一度きりの葬儀の場で、故人にまつわるエピソードを紹介したい。
周囲が知らない故人の一面を紹介したい。
このような思いがある方はぜひ挨拶を行いましょう。
周囲も聞きたいはずです。
かしこまる必要はありません、ご自身の言葉で話されると良いでしょう。
これまでなかなか言えなかった自分の思いを伝える
親子だから本音で言えない、夫婦だから素直に言葉に出来ない。
日本人は、なかなか自分の思っていることを素直に普段から口に出せる人は少ないものです。
これまでなかなか言えなかった故人への思いを、葬儀の場を借りて話すというのは良いことです。
皆の前でわざわざ話すことではない、棺の前で話すからという方もいらっしゃるでしょう。
それでも構いません。
葬儀の場というキッカケがないと話せないという方は、本音で思っていることを伝える場として活用してください。
挨拶が苦手な方の対処法
できれば挨拶は苦手だから省略したいと考えている方は、どのように対処したら良いか。
5つの方法をご紹介させていただきます。
例1.来られた時、帰られる時に対面で挨拶をする
家族葬は少人数の親族で行うものですから、人数は多くありません。
それぞれの方が来られた時、帰られる時に対面で挨拶を済ませることで、
式の中で挨拶を行う必要はなくなります。
例2.出棺時に簡単に一言挨拶をする
葬儀告別式が終わり、火葬場へと出棺する前に、霊柩車へ乗車する前に簡単に一言だけ挨拶するのもおすすめです。
「本日は、父のためにお集まりいただき、本当にありがとうございました」
この一言で結構です。
火葬終了後、収骨を終えて解散する前でも良いでしょう。
葬儀社に相談して、どこかでそういう場面を作っていただきましょう。
例3.葬儀社に代読してもらう
式の中で葬儀社の司会係に挨拶を代読してもらうのも一つです。
挨拶文はご自身で考える必要はありません。
司会者行う質問にお答えいただければ、司会者が挨拶文を考えます。
挨拶に頭を悩ませることもありません。
例4.葬儀社に例文をもらって、挨拶をする
葬儀社に挨拶の例文を紙でもらい、それをそのまま読みながら挨拶するという方法です。
これが実は一番多い対処法です。
挨拶文を考える時間と労力が不要になります。
下記の記事でも事例をご紹介していますので、挨拶を行おうと思っている方は、よかったらご覧ください。
例5.挨拶を省略する
挨拶を省くのも一つの選択肢となります。
家族葬で通夜・葬儀の2日間、全く言葉を交わさず、挨拶を行わない親族の方はいないでしょう。
顔が合えば、どちらかが声をかけ、挨拶は行われるものです。
挨拶をその場で済ませて、式の中では省くというのは、おかしいことではありません。
この記事を書いた人
廣田 篤 広島自宅葬儀社 代表
葬儀業界23年、広島自宅葬儀社代表。厚生労働省認定技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。前職大手葬儀社では担当者として 1500 件、責任者として1万件以上の葬儀に携わる。実母の在宅介護をきっかけに広島自宅葬儀社を立ち上げて現在に至る。広島市内だけでなく瀬戸内海に浮かぶ島々から、山間部の世羅町、神石高原町まで広島県内あらゆる地域の葬儀事情に精通する広島の葬儀のプロ。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。