禅宗(曹洞宗・臨済宗)のお布施金額相場を解説【早見表付き】
更新:2022.05.29
禅宗(曹洞宗・臨済宗)のお布施はどのくらいなのだろう?
疑問を持つ方にも予め相場を知っていれば安心に繋がります。
この記事では禅宗のお布施金額について解説させていただきます。
禅宗(曹洞宗・臨済宗)お布施の目安一覧
まずは下記の早見表をご確認ください。
曹洞宗・臨済宗ともにお布施の金額相場は下記の通りです。
お布施 | お車料 | お膳料 | |
枕経 | 10,000~20,000 | 5,000 | |
通夜 | 20,000~30,000 | 5,000 | |
導師 | 150,000〜300,000 | 5,000 | 5,000 |
副導師 | 100,000~200,000 | 5,000 | 5,000 |
初七日 | 20,000~30,000 | 5,000 | |
週参り | 3,000~7,000 | ||
四十九日 | 20,000~50,000 | 5,000 | 5,000 |
祥月命日 | 3,000~7,000 | ||
百箇日 | 10,000~30,000 | 5,000 | |
盆・彼岸 | 10,000~30,000 | ||
一周忌 | 20,000~50,000 | 5,000 | 5,000 |
三回忌 | 20,000~50,000 | 5,000 | 5,000 |
入仏式 | 10,000~30,000 | 5,000 | 5,000 |
納骨 | 10,000~30,000 | 5,000 | |
墓石建立 | 10,000~50,000 | 5,000 |
なぜ相場に幅があるのか
曹洞宗・臨済宗の葬儀のお布施相場は20万円〜50万円となります。
先ほど上記でご覧いただいた早見表でも、金額にかなりの幅があります。
一体なぜなのかを解説させていただきます。
お寺の人数による
一つ目は、お勤めするお寺の人数によって価格が大きく異なります。
曹洞宗・臨済宗の葬儀では、通常最低2名以上のお勤めで行われます。
お一人でお勤めの場合は20万円になりますが、お二人でお勤めの場合は、2名分のご用意が必要になるため、相場は30万円以上になるでしょう。
お寺の格による
2つ目の理由は、曹洞宗・臨済宗では2名以上でお勤めされる場合が多いのですが、2名とも住職の場合もあります。
ある住職が別のお寺の住職に副導師として葬儀のお手伝いを依頼する場合です。
この場合、お二人とも住職なので相場は高くなります。
一方で住職がご自身のお寺の息子様を副導師として手伝いを依頼する場合もあります。
この場合、別のお寺の住職がいらっしゃるケースよりは相場が下がります。
地域性による
地域によってもお布施の相場は異なります。
上記の早見表よりも相場が高い地域もあるはずです。
目安として参考にしていただき、お住まいの地域が実際どうなのかは、お近くの葬儀社に尋ねてみるのも良いでしょう。
なぜ複数名でお勤めする事が多いのか
曹洞宗・臨済宗の葬儀は、お寺が3名以上でお勤めすることも珍しくありません。
これはなぜなのかを解説させていただきます。
物理的に一人では不可能
曹洞宗・臨済宗は、鳴り物を使用します。
「チーン」、「ドン」、「シャーン」と葬儀場に響き渡る音は特徴的です。
「チーン」は印金(いんきん)、「ドン」は懺法太鼓(せんぼうだいこ)、「シャーン」は妙鉢(みょうはち)という仏具になります。
「チーン、ドーン、シャーン」とお一人で道具を持ち替えながら読経をする姿を想像してみてください。
急いで持ち替えないとタイミングがズレてしまいますし、慌てずにやれば、今度は間延びして、リズムがおかしくなってしまいます。
つまり一人でお勤めするのは、本来不可能なのです。
お布施が欲しいからではない
一生に一度のお葬式。大切なご家族を亡くした遺族のためにしっかりと責務を果たしたい。本来あるべき形で葬儀のお勤めとしたいと思うのは、葬儀の司式者として当然です。
決してお布施が欲しいからでも、豪華な葬儀をしたいからでもないのです。
曹洞宗・臨済宗の葬儀を行おうとすれば、お勤めする方が2名以上の葬儀になってしまうものなのです。
ちなみに3つの鳴り物を一人ずつが持てば3人になります。それに導師を加えた合計4名でお勤めする形を「片鉢(かたはち)」と言います。
この4名で行う形でさせ簡略した形式なのです。
歴史を辿れば元々は、3種類の鳴り物を2人ずつが持ち、それに導師を加えた合計7名の形を「両鉢(りょうはち)」が本来と言われています。
家族葬で行うのにお寺は2名でお勤めになった、お布施が高くなるから困るという声を聞くこともありますが、お寺からすれば本来7名を2名で行っているのです。
家族葬だと理解した上で簡略してくださっているのです。
お一人で行う場合は妥協が必要
このような理由から曹洞宗・臨済宗の葬儀をお一人でお勤めする場合、ご遺族からすれば用意するお布施は少なくて済みます。
しかしお寺からすれば、本来不可能なことを可能にするために、どこかを省く割り切りが必要になるのです。
「本当は、○○が必要なんだけどなあ」
このように思っていらっしゃることもあるでしょう。
依頼する側は、そこをお寺に求めている自覚は必要です。
家族葬が主流になった今、割り切って協力的に行ってくださるお寺もあります。
一方でそれは間違っている、出来ないとおっしゃるお寺もあります。
お付き合いのあるお寺がある方は、そのお寺の考えにしたがって行いましょう。
お布施以外に必要なもの
曹洞宗・臨済宗では、お布施以外にも下記のものが必要になります。
戒名料が必要
葬儀の式進行では、仏弟子になるための戒名を授かる「授戒」がメインイベントになります。
戒名料をいただく際は謝礼として戒名料が必要になります。
お布施とは別にもう一つ袋を用意してお渡しします。
相場は5万円〜50万円とランクや文字数で異なります。
詳しくは、下記の記事をご覧ください。
お車料が必要
交通費としてお車料を用意しましょう。
お車で来られる場合は、往復分のガソリン代と考えると良いでしょう。
相場は5千円〜1万円、タクシーでお越しになる場合は往復分の料金を想定してご用意する必要があります。
ご家族が送迎を行う場合、お寺で葬儀を行う場合は、用意をする必要はありません。
お膳料が必要
お寺様と一緒に会食をしない場合は、お膳料を用意しましょう。
昔は法要後にお寺様も一緒に会食を行うのが一般的でした。
現在は、お膳料を渡して済ませる方も多くなっています。
相場は5千円です。
この記事を書いた人
廣田 篤 広島自宅葬儀社 代表
葬儀業界23年、広島自宅葬儀社代表。厚生労働省認定技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。前職大手葬儀社では担当者として 1500 件、責任者として1万件以上の葬儀に携わる。実母の在宅介護をきっかけに広島自宅葬儀社を立ち上げて現在に至る。広島市内だけでなく瀬戸内海に浮かぶ島々から、山間部の世羅町、神石高原町まで広島県内あらゆる地域の葬儀事情に精通する広島の葬儀のプロ。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。