広島県の葬儀での風習や特徴をまとめてご紹介
更新:2022.02.18
お葬式は地域によって手順が異なっていたり、独特の風習があったりします。
背景には、火葬場に元々食事ができるスペースがなかったから生まれた風習など、地域によってお葬式を行う諸条件が異なっていたことが主な理由として挙げられます。
この記事では今も残る広島県のお葬式の風習や特徴をまとめてみましたのでご覧ください。
目次
広島では浄土真宗の葬儀が圧倒的に多い
広島は浄土真宗の方が8割
広島県の約8割の方は浄土真宗の門徒と言われています。
安芸門徒という言葉があるくらい浄土真宗が多い地域です。
つまりお葬式の殆どが浄土真宗のお葬式であることが大きな特徴です。
風習は浄土真宗が由来していることが多い
浄土真宗のお葬式が多いため、お葬式の手順や風習も浄土真宗を由来にしたものが多くなっています。
例えば、浄土真宗は友引を気にしない宗派です。
亡くなった人と共にあの世へ連れて行かれてしまうから友引を避けるという考えはありません。
お亡くなりになられた後に三途の川を渡る旅もありません。
死後、誰もが旅や修行をしなくても極楽浄土へ行ける教えです。
友引も火葬場は稼働している
火葬場は友引も稼働
浄土真宗が友引を気にしない宗派ですから、火葬場も友引を気にしてお休みすることはできません。
広島県内の全ての火葬場が、友引でも通常通り稼働しています。
火葬場の休館日は、1月1日のみ、もしくは1月1日、1月2日、秋分の日がお休みとなっている火葬場が多いです。
葬儀もすぐ行われる
火葬場がほぼ年中稼働しているため、関東のように火葬場の空き待ちという日はありません。ほぼご遺族の希望する日程で葬儀が行われています。
お亡くなりになられた当日を含め、2〜3日間で葬儀が行われています。
仏飯はお鉢さんと呼ぶ
浄土真宗のお葬儀では、他宗派でよくある枕団子や、一膳飯、枕水などのお供えはありませんが、仏飯は供えます。それを広島ではお鉢さん(おはちさん)と言います。
お釈迦様の言い伝えから出来た風習で、毎朝炊きたてのご飯をお供えすると良いとされています。
通夜振る舞いは親族のみで行う
関東の通夜では参列者全員へ食事を振る舞う風習があります。
これを通夜振る舞いと言いますが、広島では参列者全員ではなく近い親族のみで行います。
コロナ禍の今は、広島県から大人数が集まって行う会食は、控えるよう呼びかけもあります。
ご家族ご親族の中にも抵抗のある方が多いため、通夜振る舞いは行わず、すぐに散会しているのが実情です。
参列者へ通夜菓子を配る
広島では、通夜の日に通夜振る舞いを一般参列者へ振る舞うことはしませんが、その代わり通夜菓子を参列者にお持ち帰りいただきます。
「よかったらこちらを食べながら故人を偲んでください」という意味合いがあります。
元々は、お饅頭、羊羹などが主流でしたが、現在はクッキー、コーヒー、砂糖などが好まれています。
香典返しは茶の子と言う
お葬式で香典をいただくと喪主は四十九日を目安に香典返しを行います。
この香典返しを広島では「茶の子」と言います。
茶の子と言えば、お茶をお出しする時に添えるお茶菓子を連想しますが、広島では香典返しを意味します。
ですから品物も茶菓子ではなく、タオル、お茶セット、洋菓子セットなど様々なものがあります。
お返しする品物の包みに「茶の子」と書かれた熨斗を貼って郵送します。
参列者みんなで読経をする地域も
参列者が一緒に読経をする地域もある
広島県の8割の方が浄土真宗ということで、幼少期から浄土真宗のお経に慣れ親しんで育っている地域もあります。
私が見た呉市のある島で行われたお葬式では、近隣に住む皆様が通夜に集まり、お寺様に合わせてみんなで一緒に読経をしていらっしゃいました。
経本を見なくても読経できる方も多くいらっしゃったのが印象に残っています。
広島市内の浄土真宗では、葬儀に経本を配布
広島市内でも式が始まる前にお経が書かれた経本を参列者へ配り、みんなでお寺様に合わせて読経を行うお葬式も多くあります。
広島市内では、推奨しているお寺様も多く、葬儀社も協力して行っています。
元々浄土真宗のお経に馴染みのない方が多く、恥ずかしがっていらっしゃる方も多いのですが、それでもとても良い試みだと個人的には思っています。
浄土真宗では葬儀の場は仏様を通じて生まれた縁と考え、みんなでご縁に感謝し、命の尊さを知り、阿弥陀様に感謝する場でもありますので、このような取り組みが行われています。
お盆には盆灯籠をお墓に立てる
お盆の時期が近づくと広島では、どこのスーパー、コンビニでも盆灯籠が店頭に並びます。
広島県民は、お盆の時期にお墓へこの盆灯籠を立てます。
初盆を迎える方は白い盆灯籠、それ以外の方はカラフルな盆灯籠になります。
親族の多い方であれば、一つのお墓に10本の盆灯籠が並ぶなど当たり前にあります。
あちこちに盆灯籠が立てられ、墓地は盆灯籠だらけになります。
他県から来た方がお盆の時期に墓地を見ると驚かれるかもしれません。
この記事を書いた人
廣田 篤 広島自宅葬儀社 代表
葬儀業界23年、広島自宅葬儀社代表。厚生労働省認定技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。前職大手葬儀社では担当者として 1500 件、責任者として1万件以上の葬儀に携わる。実母の在宅介護をきっかけに広島自宅葬儀社を立ち上げて現在に至る。広島市内だけでなく瀬戸内海に浮かぶ島々から、山間部の世羅町、神石高原町まで広島県内あらゆる地域の葬儀事情に精通する広島の葬儀のプロ。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。